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第255話 同化 トゥリシエラ

 薄れ行く意識の最中、聞き覚えのある声が聞こえたような気がした。


『見つけた。こっちだ!。』

『あっちゃ~。これはちっとマズイ状態だね。早く治療しないと。このままじゃ、手遅れだわ。』

『俺は周囲を確認してくる。後は頼む。』

『おっけ~。任せて。絶対助けるよ!。』


 男女の二人。

 男の声は知っている…そうか。アヤツも転生していたのじゃな…。

 しかし、女の声は記憶にないのぉ…。


 沈んでいく意識を包み込むようにワシの身体を温かな液体のような 何か が覆っていった。

 自然と安心する輝きを感じる。

 今まで全身を蝕んでいた痛みは徐々に薄れて、旦那様の温もりを感じた。懐かしくて温かい。心が落ち着きを取り戻し、同時にワシは意識を手離した。


~~~


 お姉ちゃん!。お姉ちゃん!。

 知らぬ男に担がれ連れ去られているフェリティスの泣き顔。

 気を失った母様達は荷台へ乱暴に放り込まれる姿。

 母様!。父様!。伯父様!。伯母様!。

 助けたいのに…抗うことも出来ずに遠くへと連れて行ってしまう。

 力がないワシには…何も…出来ない。

 地面に這いつくばり自らの無力さに絶望する中でフェリティスの声が脳内で反響していた。


 お姉ちゃん…助けて…。


 …っと。


『っ!?。フェリティス!。』


 勢い良く上半身を起こす。

 静まる周囲。最早、見慣れた部屋の中。

 ワシの自室…。どうして?。

 寝間着に着替えて…場所もベッドの上じゃ。

 まさか夢だったのか?。

 いや、そんな筈はない。


『いったい…何が?。』

『わおっ!?。びっくりしたぁ~。それだけ元気ならもう大丈夫そうだね。基汐~。睦美が起きたよ~。』

『え?。』


 赤いチャイナドレスに羽毛のあしらわれたもふもふのコート。髪を左右のお団子で結んだ少女。紫色の瞳と人懐っこい表情でワシを見ている。

 誰じゃ?。知らぬ顔じゃ…分からぬ。

 それに基汐?。ここに?。

 

『起きたか。睦美。無事で何よりだな。』

『基汐。』


 見知った顔。

 記憶の姿と変わらぬ風貌の仲間。

 基汐はワシの顔を見て安心したのか、近くにあった椅子を持ってベッドの横に移動した。


『久し振りだな。睦美。また会えて良かった。』

『ワシもじゃ。しかし、分からぬことが多い。何故、ここに基汐が居る?。それに此方の女性は?。』

『そうだな。色々と知りたいこともあると思う。俺も同じだ。俺からの説明の前に睦美がこの場所で目覚めた時からの話を聞かせてくれないか?。こっちの情報と照らし合わせたい。整理して俺達のことを説明するよ。』

『分かった。ワシが目覚めたのは………。』


 ワシは、この場所で目覚めた半年前からの、ここでの生活を順を追って説明する。

 不死鳥の種族のこと。新しい家族のこと。

 そして、自分の身に起きている現状。このことに関しては端骨に能力を奪われた、あの戦いについても説明を加えた。


『………。そうか。やっぱり一足遅かったんだな。繁華街で良くない噂を聞いてもしかしたらと思って連中を尾行していたんだが、道が複雑すぎて迷ってしまったんだ。』

『良くない噂?。』

『ああ、華桜天の連中が不死鳥の棲みかを発見したって噂だ。この世界で不死鳥は絶滅危惧種。数は少なくその姿を見たものも少ない。だが、不死鳥の身体は各国に高値で取引されているようで、赤国の経済面を支配するグループが不死鳥を狩りに動くって話を聞いたんだ。』

『華桜天というのは…さっきの連中か…。』


 母様を…父様を…フェリティスを拐った連中…。


『そうだ。睦美はこのリスティールについてどれくらい知っているんだ?。』

『父様と母様に聞いたことくらいだ。』


 リスティールという星に、七大国家。

 この場所が赤国でも人目につかない渓谷に存在するということ。


『そうか。なら、俺達の…クロノ・フィリアの現状から説明するか。』

『頼む。』

『俺達は神々が作り出した仮想世界の住人だった。その俺達は神々に殺されちまった。』

『うむ。』

『この世界でのリスティナ。ええっと、リスティナの 本体 の力によって俺達を含め、数十人がこの世界、リスティールに転生した。新たな生物としての肉体を与えられてな。』

『リスティナの…。創造神の力か…。』

『転生はエンパシス・ウィザメントで与えられた各種族が生息、生活している場所で発生するんだ。俺が目覚めたのも【竜鬼】の里だった。最近、不死鳥に関する噂を聞き付けて、もしかしたら仲間が、睦美がいるかもしれないと行動に移した訳だ。』

『成程。』

『ついでに転生した俺達には仮想世界とは異なる変化が肉体に起きているんだ。睦美も少なからず感じていると思うが、まず、アイテムBOXが消失している。』

『ああ、確かにそうじゃ。あれに慣れてしまっていたからか若干不便でな。』

『その理由は俺達が肉体を手に入れたことに起因するらしい。』

『肉体?。』

『あれは、あくまでも俺達が データ の存在だったから与えられていた特典みたいなものらしい。場所が仮想空間、身体もデータ。仮想世界の物質もデータ。各々の持つ空き容量を利用して、その空き領域の中に入れる。それがアイテムBOXってモノだったらしい。』

『では、リスティナの言っていた。エンパシス・ウィザメントのゲーム内で手にしていたアイテムはどうなる?。こちらは現実なのだろう?。データではない。ワシ達が倒したモンスターの素材や、入手したアイテムは何故アイテムBOXに収納出来たのじゃ?。』

『それは俺にも説明が難しいんだが、考えられる可能性は2つ。リスティナの魔力が影響していたらしい。元々、ゲームのキャラクターとしてこの世界で活動していた俺達の身体は半分データ、半分が擬似的に作られた肉体だった。その偽りの肉体を媒介にしてアイテムBOXに収納されたこの世界の素材は、構成を作り替えられデータ化されていたってパターンと。もう1つは、俺達が倒したモンスターや、入手したアイテムは一時的に神達が住む場所に転送され、そのコピーが俺達のアイテムBOXに送られていた場合。その2つの方法が考えられるらしい。』

『…結局、アイテムBOXに収納されていたのは実物の物質ではなく。神々によって作られたデータだった。だから、仮想世界でも問題なくアイテムを取り出すことも能力を使うことも出来たってことじゃな?。』

『おそらく。』

『ふむ。』

『それで、次だ。能力を奪われた睦美は気付いていないようだが、今の俺達はこの世界で転生したことで仮想世界とは異なる身体に変化が起こっている。その1つがこれだ。』


 基汐の手のひらに魔力が集まっていく。

 いや、違う。魔力ではない!?。魔力よりも強力な…母様達を拐った者達の中にいた3名が纏っていたエネルギーじゃ。基汐も扱えるのか?。


『そ、それは?。』

『これはエーテルってエネルギーらしい。』

『エーテル?。』

『エーテルは星そのものが生み出すエネルギーの総称だ。魔力はこのエーテルを生物が操れるように弱めた力だったみたいだな。だが、今の俺達はエーテルを扱えている。その理由は俺達の存在そのものが仮想世界で言う人間ではなく、与えられた種族の頂点、神になったってことだ。簡単な話。今の俺達は常時【神化】している状態なんだ。』

『神に…なった?。』

『そう。俺は竜鬼種の神として転生した。多分、睦美は不死鳥の神になっていると思う。その根拠として心臓が失くなって別の何かに変化しているだろう?。』

『確かにそうじゃ。ワシの心臓は鼓動を止めておる。しかし、別の何かがそこにある感覚があるのじゃ。脈動する熱い何かが…。』

『それが神になった証だ。エーテルを生み出す核が俺達の心臓になったんだ。』


 魔力を…エーテルを操れん今のワシには確認のしようがないのぉ…。


『ついでにスキルと神具も失っている。スキルと言っても、種族のレベルアップで覚えたスキルは最初から肉体に備わっている能力だから普通に使えるけどな。使えなくなったのは、素材やアイテムを媒体に使って覚えたスキルだ。神具も同様に皆、色んな任務を達成して完成させた物だったからなのか消えちまっていた。』

『そうか…スキル1つ1つ。神具にも…様々な思い出があったのじゃがな…。』


 失った思い出は胸に秘めておこう。

 今は、目の前の問題を解決せねば。


『しかし、それだけの情報をいったい何処から?。』

『それは…。』

『ねぇ。そろそろ、私の紹介をしてくれないかな?。私、ただ話を聞いてるだけのお人形になってるんだけど?。』

『すまん。ある程度、現状を把握してからじゃないと睦美が混乱すると思った。紹介するよ。睦美も何度かゲーム時代に会っている。トゥリシエラだ。』


 トゥリシエラ………トゥリシエラ………。

 トゥリシエラ!?。


『トゥリシエラじゃと?。あの旦那様が契約いていた神獣のか?。クミシャルナ達と同じ?。』

『そうだよ~。久し振りだね。改めてよろ~。』

『し、しかし、何故に人型の美少女なのじゃ?。確か巨大な炎の鳥ではなかったか?。』

『ちょっと~。美少女とか照れるって~。まぁ。正確には睦美ちゃんと同じ不死鳥だよ。で、この姿はリスティナ様に貰ったんだ。クミシャルナ達も人型になれるようになったからって。』

『そ、そうか…リスティナが…。』

『迷った俺がここまでたどり着けたのも彼女のお陰なんだ。トゥリシエラも睦美を探していたらしくてな。』

『ワシを?。』

『そうだよ。リスティナ様の命令でね。転生した睦美に あるもの を届ける役目を与えられたの。』

『あるもの?。』

『そ。睦美の能力。』

『っ!?。可能なのか?。失ったスキルを取り戻すことが?。』

『もちのろん。その為に私がここまで来たんだから。というわけで長話もなんだから、早速始めちゃおうか。基汐。私の知っていることはさっき話したので全部だよ。後はよろ~。』

『本当に良いのか?。』


 心配そうにトゥリシエラへ声を掛ける基汐。

 どうやら、これから何をするのか基汐は知っているようじゃな。

 しかし、あの基汐の反応。

 ワシの能力を取り戻すためには、何かしらの制約なり誓約が必要なのかもしれん。

 そうでなければ、完全に奪い取られてしまった能力など簡単には戻らないじゃろう。


『良いよ。その為にここまで来たんだし。それに心の整理はもう終わらせてる。心残りは…確かにあるけど。仕方ないよね。睦美の為だし。命令だし。神獣である私は創造神と契約者の命令には逆らえないからさ。』

『………。分かった。じゃあ、俺は外で待っている。』


 そう言い残し基汐が退室する。


『さてと。始めようか。睦美。』

『いったい何をするのじゃ?。あの基汐の心配した表情。絶対何かあるのじゃろう?。』

『そうだね。基汐には全部説明したからさ。睦美達のこれからのことも説明した。ちょっと失礼するよ。』


 トゥリシエラがワシの胸元のボタンを外す。


『な、何をしておる?。』

『これから行うこと。それは同化だよ。』

『ど、うか?。』

『ある条件下で行える神獣が他者と融合する儀式。ある条件っていうのは、エーテルを操れていない者、エーテルにルールを与えていない者と対象の神獣が心を通わせた場合のみ行えるということ。』


 トゥリシエラがワシの胸元に手のひらを当てる。

 その接触部からトゥリシエラのエーテルが流れ始めた。

 温かい。それでいて炎のように激しい。不死鳥の神炎。命を司る神獣が持つ強大なエネルギーがワシの中に眠るエーテルと1つになろうと渦巻いている。


『融合する?。ワシとトゥリシエラが?。』

『そう。全てが1つになる。種族も、能力も、エーテルも、心も、思考も、意思も、身体も………想いも。………睦美。』

『しかし、それでは、どちらかの意識が?。』

『安心して。睦美の中に私が入るだけ。貴女は何も失わない。神獣である私が貴女の中に溶け込み自己を失うだけだから。』

『っ!?。』


 基汐が心配していたのはこのことか。

 トゥリシエラと同化する。それは…つまり…トゥリシエラの消滅を意味する。


 室内をワシとトゥリシエラのエーテルが暴風のように暴れまわっている。家具は飛び交い、硝子は割れる。

 

『睦美。聞いたよ。主様の恋人になったんだって?。』

『あ、ああ。』

『羨ましいなぁ。神獣の私じゃ。貴女のような関係にはなれないから。それに、主様から告白されるとかマジ最高じゃん!。』

『トゥリシエラ?。』

『だからさ。私の全てを貴女に託す。ちゃんと主様のこと支えてあげてね。何でも出来る主様だけど、一番 孤独 を恐れている人だから。睦美が側にいてあげて、私のかわりに、ね。』

『トゥリシエラ…。しかし…ワシは…。』

『大丈夫。言ったでしょ。全てが1つになるって。睦美が感じた幸せも、喜びも、嬉しさも全部私も共有するから。私は貴女の中で生き続ける。だから、そんな顔しないで。』

『………ああ。…いえ。はい。貴女の力。お借りします。共に旦那様の力となりましょう!。』

『うん!。頑張ってね。』


 一際強い輝きの後、トゥリシエラの姿は消えていた。散乱した部屋の中で一人佇む。


『感じます。トゥリシエラ…貴女の心を。』


 翼を広げる。

 炎の鳥。不死鳥としての生命の躍動を激しさで表現するように燃え盛る。


『終わったのか?。』

『ああ。取り戻したよ。トゥリシエラのお陰じゃ。』


 涙を拭う。


『そうか。なら、これからのことを話そうか。』

『そうじゃな…その前に…暫し待て。』

『どうした?。』

『この部屋を片付ける。』

『………手伝うよ。』

 

 こうしてワシは不死鳥の力を取り戻した。

 フェリティス達を助け出せる力を。


 待っておれ。ワシの家族よ。 


ーーー


ーーートゥリシエラーーー


ーーー心象の深層の世界ーーー


『はてさて?。命令通り、睦美に力を渡したら消える運命だった筈なのだけど?。ここは何処かな?。』


 キョロキョロと周囲を見渡す。

 視界いっぱいに広がる白い砂の足場。空は満天の星空。

 地平線で交わるまで何処までも続いている。


『天国?。な、わけないか~。凄いなぁ~。この砂。1粒1粒がエーテルの塊だぁ~。』


 エーテルは星そのものが生み出すエネルギー。

 操れる者は 星 という巨大な存在に近いものだけ。星に役割を与えられた自然の摂理の具現…神々が扱う力だ。

 それが…辺り一面を敷き詰めている。

 ここは…何処?。

 知らない場所なのに、不思議と恐怖も不安も感じない。それどころか。


『凄く安心する。』


 まるで、主と共に大空を飛び回った時のような…。充実した気分だ。


『そ、そうだ。この感じ。主だ。』


 主の気配が充満している。

 もしかして…ここって…。

 考えていても仕方がない。何処に行き着くかも知れない砂の世界をひたすらに歩くことにした。

 歩き、走り、時には飛び。

 そして、行き着いた先には一軒家。砂の世界にポツンと佇む不思議な家。

 主に聞いたことのある家の外壁と外観。

 もしかして…主の?。もしかしたら、主に会える?。会いたい!。


 早る気持ちを我慢できずに、敷地内に入り玄関のドアを開け…ようとしたところで勢い良くドアが開く。

 身体前面がドアと激突。容赦なく身体は吹っ飛ばされた。


『ぐばっ!?。』

『トゥリシエラ姉様!?。』


 聞きなれた声。

 数週間前まで共に行動していた仲間の声だ。


『痛いわぁ!。』


 傷付いた箇所に炎が灯り傷が自然に癒えていく。

 はて?。睦美に託した力なのにまだ使えるとは?。これ如何に?。


『ご、ごめんなさいです!?。そ、その慌ててたもので…す…。』

『大丈夫。痛かったけど。治ったから。それより久し振り。ムリュシーレア。命令は無事に遂行できた?。』

『は、はいです!。無事に瀬愛さんに私の能力をお渡しできたです!。』


 ムリュシーレアに手を引かれ立ち上がる。


『そう。じゃあ、もう1つ。ここは何処?。私等って同化したら消えるんじゃなかったっけ?。』

『そ、それがですね。同化しても、主様との契約による繋がりは消えないみたいなのです。』

『わおっ!。それは嬉しいわ!。』

『それとですね。ここはおそらく主様の心の世界です。肉体を失った私達の魂は契約によって繋がれた主様の心象の世界に引っ張られる感じでここに来た…と思うです。』

『おおー。それっぽいね。じゃあ、このお家は主様が心に強く残している思い出の場所なのかな?。さてさて、俄然興味が出てきたよ。』

『何処に行くです?。』

『お家の中探索だよ!。ししし。主様。エッチな本とか隠してるかもしれないし!。』

『エ、エッチな…本…です…わわわ。探したけど無かったような…。』


 お邪魔しま~す。

 玄関に入ってすぐに通路。突き当たりに左に階段。右手に居間。

 目的は主様の部屋。何処かな~。

 きっと2階だよね。

 階段を上って…部屋が4つ。あっ、部屋のドアに名前入りのプレートが下げてある。

 えっと、つつ美に…あれ?。氷姫?。何で主様と一緒の家に?。…あとは、灯月と、隣が閃!。見つけた!。一番奥なんだね。


『2回目の~。お邪魔しま~す。』


 主様の部屋。

 ん~。主様の匂いに満たされてる。

 えへへ。ベッドにダ~イブ!。ボフッと音を立てて主様の枕に顔を埋める。


『や、やっぱり、しますよね?。主様の…枕に…。私もしちゃったです。』

『えへへ。だよね~。主様の匂いを堪能できるし~。ムリュシーレアの匂いもする~。緑の森の中に居るみたいな匂いだ~。』

『は、恥ずかしいです。』


 立ち上がって、お部屋探索。

 机。引き出しの中には…特に目新しい物はなし。

 大きいTV。下のボードの中には多数のゲーム機とソフトの数々。

 じゃあ次は。ついに…タンスに手を伸ばす。この中には、主様の衣服が~。

 開いたのは、主様の下着…わおっ!。トランクスが並んでる。こっちはボクサーパンツってヤツかな?。女物とは随分違うね~。

 あれ?。何か違和感が?。


『………ムリュシーレア?。』

『………な、何ですか?。』

『主様の下着…取った?。』

『っ!?。ととととととととととってません!です!。です!。です!。』

『分かりやすい!。』

『はう…。』

『まぁ、良いけど。ムリュシーレアはムッツリさんだもんね。綺麗に並べて誤魔化してるけど僅かに物色した形跡がある!。』

『うぅ…。鋭すぎです…。姉様。どうして分かるですか…。』

『ふふふ。簡単よ!。私も同じことをするから!。』


 主様の下着~。本当は使用済みが良いけど…今はこれで我慢よ!。どれにしようかな~。

 暫く物色した後、再び探索を再開。残るは~。


『さて、と。次は。こっちの押入れは?。』


 高まり続ける鼓動を抑えきれず好奇心に任せて行動する。


~~~


 勢い良く開けた押し入れの中には、様々な漫画の本が綺麗に整列していた。

 二重、三重に改造された本棚。

 収納されたタイトルは数え切れず、当時、閃がハマっていた全てのコミックが全巻揃った状態で陳列されている。

 更に奥には小さな、人一人が入れる扉がありそこを抜けると漫画の本で埋め尽くされた書斎が存在していた。

 その後、時間を忘れて押入れと書斎に引きこもり、中にある漫画本を読破するトゥリシエラ。

 無限に近い時間の中で、食事も摂らずに読書に勤しみ続けた結果、トゥリシエラは…エセ関西弁になっていた。


~~~

次回の投稿は28日の日曜日を予定しています。

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