番外編 閃と恋人達のクリスマス②
恋人達とのクリスマスパーティーが開始して1時間半くらいか。
パーティーもそろそろ落ち着いてきたな。程よく腹も満たされ、全員が各々で寛いでいる。
他愛の無い会話に華を咲かせる娘達。
俺の傍に寄り添う娘達などなど。
こんなのんびりした時間すら楽しく感じるんだ。それだけ、皆といることが自然になってきてるんだろうな。皆も満足そうだ。
『さぁ。ついに、ついに!。この時が来ました!。八雲さん!。代刃ねぇ様!。準備を!。』
『了解。』
『おっけー。持ってくるよ。』
突然立ち上がった灯月の合図に動き出す2人。
いったい何が始まるのか?。何でだろう。灯月が動くと胸騒ぎがする。暴走しなきゃ良いんだが…。代刃は兎も角、八雲とも最近仲が良いし。
『お待たせ~。』
『沢山用意した。』
大きな箱の中。
中には様々なゲーム。ボードゲームやトランプなどのパーティーゲームが入っていた。
凄いな。よく、この世界でこれだけのモノを用意できたな。
『皆さん、遊びましょう!。』
『へぇ。用意がいいな。』
『はい!。この日の為に用意しました!。楽しいゲームです!。』
『この日の為?。』
随分と大層な言い回しだ。ますます不安だ。灯月の笑顔が眩しすぎる。
『それはもちろん。にぃ様と皆さんの絆を深め楽しい時間を過ごす時間を作ることです!。皆さん、こちらに集まってください。』
灯月の言葉に全員がオロオロと円形のソファーに集まる。全員が座れるように作った特注の巨大ソファーだ。何せ人数が人数だからな。
『いったい何をする気じゃ?。』
『なんか…ドキドキするね…。』
『わくわく。』
『おー!。おー!。』
どうやら、灯月と代刃と八雲以外のメンバー
は何をするのか聞かされていないらしい。
どんなことが始まるのか、全員が緊張しているようだ。
『では、早速始めましょう!。ダダン!。にぃ様大好きクラブの~。王様ゲ~ム!!!。』
『王様ゲーム!。』
『わーーー!。パチパチ!。』
盛り上がる3人。きょとんとするメンバー達。
王様ゲーム?。それって、アレだよな?。王様の命令は絶対ってヤツ。
『ちょっと待て。ボードゲームとかするんじゃないのか?。折角、その箱の中身を用意したんだろ?。』
色々用意した箱の中身は取り出さず、灯月は懐から…てか、胸の谷間から取り出した大量の割り箸を高らかに掲げた。あの谷間は異次元か…。それに流石の人数だけあって、あの本数は両手持ちだし。
何せ、この場には、睦美、灯月、氷姫、瀬愛、智鳴、代刃、無華塁、翡無琥、美緑、砂羅、累紅 、燕、夢伽、詩那、兎針、奏他、八雲
の17人と俺の合計で18人いるんだ。
『それは後程、各々で楽しんで貰うために用意したのです。今日のメインイベントこそ!。私がずっとやりたかった王様ゲームですよ!。』
ああ…やりたいって言ってた気がする。ずっと前に。
『そ、そうか…。』
一気に嫌な予感が押し寄せて…。
『では、皆さん。ここに用意したのは17本の割り箸です。1本ずつ引いてください。先端が赤い色の割り箸を引いた方が王様ですよ。』
『え?。ちょっと待てよ。俺を入れたら18人だぞ?。1本足りなくないか?。』
『にぃ様は王様にはなれません。』
『え?。』
何で?。どういうこと?
まさかのここで仲間外れだと!?。
『にぃ様は神様です。文字通り。』
もっと、どういうこと~。
『意味がわからんのだが。』
『簡単です。これは、にぃ様大好きクラブの王様ゲームなのです。』
『あ、はい。』
堂々たる宣言。何も説明になっていないが楽しそうだから良いか。
『簡単にルールの説明をしますね。にぃ様は神様なので此方の椅子にお座り下さい。』
『ええ…。』
めっちゃ豪華な椅子が運ばれてきた。
金色の外装と骨組み。赤いクッションが座板に置かれ背もたれまで延びている。所々に宝石があしらわれ眩しいくらい輝いている。
どっかの王様でも座ってそうな椅子だ。
嫌だなぁ。こんなのに座るの…。
『どうぞ!。神さま!。』
これまた灯月と同じくらいニコニコした八雲が椅子に誘導してくる。こんなに嬉しそうな八雲は見たことがないくらいだ。
『もしかして…この椅子…お前が?。』
『はい!。神さまの座る椅子です!。頑張りました。』
『お、おう。あ、ありがとう?。』
『へへ。どういたしまして。』
マジで嬉しそう…ふむ。もう何も言うまい。
椅子の座り心地は最高だった。
『では、説明の続きです。私達クラブのメンバーで一斉に割り箸を取ります。もちろん。ちゃんと「王様だ~れだ」と言って下さい。ルール、これ絶対です!。そして、赤い色の先端のモノを引いた方が王様です。』
灯月が1本取ると割り箸の先端が赤くなっていた。
『王様に選ばれた方が命令できるのは通常のルールと同じですが、これは にぃ様大好きクラブ の王様ゲームです。特殊なルールがあります。』
『特殊なルール?。』
『はい。王様の命令は「○○番が神様に○○して貰う もしくは ○○する。」と言った形式で命令を出して頂きます。』
『っ!?。』
え?。
『どんな命令でも良いの?。』
『そうです。そして、最後は必ずキスで締めて貰います。』
『キ、キ、キ…キス!?。』
『はい。例えば、私が王様だとして「3番の方が、にぃ様と抱き合いキスをする。」この様な感じでお願いします。合法的ににぃ様とキスが出来るのです。最高です。』
ごくりっ。
『ですが、それでは、王様はハズレではありませんか?。実質、閃さんとキスをするチャンスを失っているようなモノでは?。』
『チ、チ、チ!のチです!。それは甘い考えですよ。兎針ねぇ様!。』
『何ですと!?。』
『このゲームの最大のポイントは皆さんの目線が集中する中で、にぃ様と共に命令をやり遂げることにあります。どんなに恥ずかしい命令でもです!。』
『はっ!。』
そうか…俺は、出される命令を全て実行しないといけないのか…。
『え、えげつない…。』
『はわわわわわ…。』
『気がつきましたか。そうです。自分では恥ずかしくて出来ないような命令を他の方にして貰う。その様子を眺められる!。はぁはぁ…興奮してきました!。』
ごくりっ。
『灯月ちゃん…それが目的?。』
『はいっ!。』
『わぁ…凄く元気な返事…。』
『ああ。因みにですがHな命令は駄目ですよ?。そういうことは、にぃ様と2人きりの時にお願いします。』
『灯月。』
『はい?。氷姫ねぇ様?。』
『Hって何処までが駄目?。』
『もちろん チョメチョメ までです。』
『わかった。それなら大丈夫。』
『なぁ。灯月?。』
『はい。にぃ様。』
『俺に拒否権は?。』
『ありません。』
おっと。即答。おかしいな。俺は神の筈なのに。
『普段、恥ずかしがり屋な代刃ねぇ様ですらヤル気になっているのですから!。そのぉ。にぃ様。駄目ですか?。』
上目遣いの灯月。
はぁ…仕方ないか…。何か、全員の目が輝いてるし…。
『はぁ。良いぜ。俺も皆と楽しみたいし。』
『へへ。ありがとうございます!。にぃ様!。ではでは、早速始めましょう!。』
こうして17人での王様ゲームが始まった。
やっぱ多くね?。
『王様だ~れだ!。』
全員が割り箸を1本ずつ取った。
『あっ。私だ。』
最初は無華塁か。
どんな命令を出すんだ?。何か怖いぜ。
『では、無華塁ちゃん。命令をどうぞ。』
『うん。じゃあ。11番が閃に頭をナデナデされてキスする。』
おっ。以外に普通な命令だ。
『11番は誰ですか?。』
『あ、瀬愛です!。瀬愛!。』
赤い先端の割り箸を掲げてジャンプする瀬愛。
『瀬愛ちゃんですね。では、にぃ様の方にどうぞ。』
瀬愛がトコトコと小走りで近付き俺の膝の上に乗った。
『えへへ。お兄ちゃん。大好きぃ~。』
『ああ。俺もだ。良いか?。』
『うん!。』
頭を向けてくる瀬愛。
優しく撫でる。てか、いつもしてるせいか新鮮度が足りなくないか?。
『えへへ。んーー。えへへ。気持ちいぃ~。』
まぁ、満足そうだしな。細かいことは考えないようにしよう。
『お兄ちゃん!。んんーーー。』
『ああ。んっ。』
唇を突き出して来た瀬愛の唇に軽く口付けする。
『えへへ。お兄ちゃん。ありがとう!。』
『こっちこそな。瀬愛。』
『うん!。』
ご機嫌な瀬愛はお礼を言って俺から離れる。
何か。平和だな。こんな命令ばかりなら良いんだが。生憎、油断のならないメンバーが揃っている。
『では、次に行きましょう!。』
『王様だ~れだ!。』
『あっ!。私です!。』
どうやら次の王様は夢伽のようだ。
夢伽なら安心だな。
『じゃ、じゃあ。命令しますね。えっと、1番がお兄さんと抱きしめ合って…見つめ合ってキスをしてください。………自分で言って恥ずかしいです。』
凄い!。まさに優等生のような命令だ!。
夢伽。信じてたぜ。
『1番…私だ…。』
『頑張れ、燕!。』
『し、代刃君!?。いや、流石に代刃君の前じゃ…その…恥ずかしいような。』
『大丈夫だよ。あの夜のことを思い出して。そう僕達3人で…。』
『余計恥ずかしいよ!?。…うん。女は度胸だ!。』
一歩一歩。覚悟を決めたように床を踏み締める燕。だが、身体はガチガチだ。
『せ、閃さん。し、失礼します。』
『お、おう。』
こっちまで緊張してくるんだが。
燕がぎこちない動作で俺の膝の上に乗って来た。近いよな。改めて。燕の大きな瞳が俺を見つめ…て、ないな。微妙に視線を逸らしてる。真っ赤に染まった顔。けど、その両手はしっかりと俺の身体に抱きついていた。
『閃さん…恥ずかしいよ。』
『燕。』
『っ!?。』
背中をさすってやる。
最初は肩をピクッと震わせたがすぐに落ち着いて来たようだ。
『閃さん。』
『失礼するな。』
『ん!?。……んっ……。』
強引にキスをする。暫くして唇を離すと互いの視線が交わった。
『閃さん。好き…。だよ。』
『ああ。俺も好きだ。』
『うん。代刃君も好きだけど。閃さんのことも好きだからね。』
『ああ。分かってるよ。』
燕が小さく微笑んで戻っていく。
後ろから見ても耳まで真っ赤だった。
『良い感じですね。では次です。』
『王様だ~れだ!。』
『あっ。私です。ふふ。どうしましょうか。』
次の王様は砂羅か…。アイツは結構イタズラが好きなんだよな…。
『それでは、16番がお兄様とポッ○ーゲームをしてください。』
ポッ○ーゲーム?。確か両端を加えて食べ進むヤツだよな?。それで恥ずかしくなって途中で口を離した方が負けだったか?。
『16…ワシじゃ…。』
次は睦美か。安牌過ぎる。
この安心感。これが信頼なのだろうか?。
『ポッ○ーは此方です。』
『よ、用意が良いのぉ…。』
睦美がゆっくりと近付いて来る。
『だ、旦那様。し、失礼致します。』
『ああ。おいで。』
『はい。』
俺の膝に向かい合うように座る。着物だからか綺麗に横向きだ。
『では、ポッ○ーをお互いに咥えて。』
『っ。んっ。すー。はー。すー。はー。』
近い顔。視線をさ迷わせる睦美。少し息もあがっているようだし。顔も赤い。可愛いな…。
『スタートです。』
もぐもぐ。もぐもぐ。もぐもぐ。
両端から食べ始める。しかし、まぁ、俺も睦美も互いに愛し合う者同士。途中で口を離すことなど有り得なく。そのまま、唇同士が触れ合う。柔らかな睦美の唇とチョコの味が混ざりあった。
『あの…その…ご馳走さまでした。旦那様。』
『睦美のも美味しかったよ。』
『えへへ。何か…照れますね。それでは失礼します。』
『はいよ。』
ゆっくりと流れるような動作でお辞儀をして俺から離れていく睦美。
『砂羅!。』
『はい。』
『ありがとうなのじゃ!。』
『どういたしまして。』
お礼、言ってるし。嬉しそうだな。
『次~。王様だ~れだ!。』
『ふむ。私か。』
八雲か…。ヤバいか…。
突拍子もないことを言いそうだ。
『では、言い渡す。5番が神さまにパンツを見せる。』
やっぱり、言いやがった。
『は?。』
『え?。』
『5番が神さまにパンツを見せる。』
2回言った。コイツは何を考えているんだ?。
『ひ、灯月!?。Hなのは駄目なんだよね?。』
『いいえ。代刃ねぇ様。これくらいなら。良いですよ?。それに皆さんはもう、パンツ以上のモノを見られているではありませんか?。』
『すっげぇ冷静に言われた。』
『では、5番は誰ですか?。』
『私。安心して。全然平気!。むしろ見て!。閃!。』
『ああ。そうだね。氷姫なら問題ないや。』
『むっ。代刃の謎の納得。不満。けど、気にしない。』
すすすぅ。と寄ってくる氷姫。
そして、俺にだけ見えるようにジーパンのファスナーをおろす。薄い水色の下着。くるりと隙間越しに見せるように一回転。うん。綺麗な真っ白のお尻が見えました。
『勝負下着のTバック。どう?。閃?。興奮した?。』
『うん。した…かな?。こんな雰囲気もへったくれもない状況でなければ。』
『閃。ちゅっ。』
『ん。』
『ふふ。いつでも。部屋に呼んでね。』
短い口づけ。それに満足して氷姫が戻っていく。相変わらずだなぁ。
『さてさて。どんどん行きましょう!。王様だ~れだ!。』
『わっ!?。ウチだ!?。ど、どうしよう。』
詩那か。詩那なら大丈夫だろう?。多分。
『じゃ、じゃあ。10番が先輩の…好きな部分を…舐める…とか?。』
何か…変態くさいの来たな…。
『おお。良い感じにエロいです!。ナイスです!。詩那さん!。それでは10番の方。名乗り出て下さい!。』
『…わ、私、だね…。』
累紅か。てか、この命令。性癖的なの暴露しちまうな。
『せ、閃君…い、良いかな?。』
『あ、ああ。何処にするんだ?。』
『あ、あの…私ね。閃君の二の腕が…その、好きなんだ。抱きしめてくれた時の…力強い腕がね。』
二の腕か…。服脱がないといけないな。
とりあえず上の服だけで良いか。服を脱ぐと更に累紅の顔が赤くなった。
『い、いただきます。』
『あ、ああ。』
これどんな羞恥プレイだよ!。
しかも、全員が食い入るように見つめてるし。命令を出した本人である詩那なんか両手で顔面隠して指の隙間から覗いてるぞ?。
ペロッ。と、くすぐったい感触。
ペロ。ペロ。ペロ。ペロ。ペロ。ペロ。ペロ。ペロ。ペロ。
あれ?。一向に終わらない累紅の舌の動き。
『累紅?。』
『え?。』
『やりすぎじゃね?。』
『はっ!?。つ、つい夢中になっちゃった…。』
『ははは…。まぁ、うん。細かいことは気にしないさ。ほら、これでお相子だ。』
『んっ!?。』
累紅の顎を持ち上げ口づけをする。
『ふはっ!。もう!。いきなり過ぎだよ…けど、嬉しかったです。』
一礼して戻っていく累紅。
腕が唾液まみれに…まぁ、累紅のだし。良いか。気にせず上着を着直す。
『はぁはぁ。やっぱりエロは素晴らしいです!。さぁ。次に行きましょう!。王様だ~れだ!。』
『あ。私だ。』
………今度は氷姫か。油断できないなぁ。
『ふふふ。私の時代来た。皆覚悟してね。4番が閃におっぱいを触らせる。』
『ええ…。』
『きゃぁぁぁあああ!。ついに来ましたね!。流石です!。氷姫ねぇ様!。エロ!。エロ!エロです!。』
テンションが爆上がりな灯月。
『あ。あの…Hなのは駄目なんですよね?。』
今度は美緑が疑問を投げる。
『安心して下さい。美緑ちゃん。おっぱいはOであってHではありませんので大丈夫です。』
『あ…確かにそうですね。納得です。』
美緑…何に納得したんだ…。
『それに、皆さんならむしろ大好きなにぃ様に触られたいのではありませんか?。私はいつでもウェルカムですが?。』
『いや、時と場所は弁えたいよ…。』
『皆さんはどうですか?。』
数人を除いて静かに視線を逸らした。
『あらあら。では、4番でおっぱいを触って貰う方は誰ですか?。』
『わ、私ですね…。』
『砂羅…頑張って下さい!。』
『はい。ありがとうございます。美緑ちゃん。』
恥ずかしそうに近付いて来る砂羅。
そのまま俺の膝に乗った。向かい合って俺を見る砂羅。
『お兄様。優しくしてくださいね?。』
『あ、ああ。だが、良いのか?。』
『はい。お兄様なら平気ですよ。愛していますから。』
そう言った砂羅は俺の腕を取って自らの胸に導く。柔らかい感触が手のひら全体に広がる。
『ど、どうですか?。んっ…。あっ…。』
『や、柔らかいな。』
『ふふ。キスをしても良いでしょうか?。』
『ああ。ん。』
『んっ…。』
静かに身体を離す砂羅。
『ふふ、少し興奮しました。後で…いえ、今度…部屋に行きますね。ふふ。』
『ああ。待ってるよ。』
何故かスッキリした表情で戻っていく砂羅の足取りは軽かった。
『何故でしょう。思っていたのと少し違いました。』
『うん。砂羅。強敵かも。』
こうして、まだまだ。王様ゲームは続いていく。
ーーーつづくーーー
次回の投稿は1月1日を予定しています。
次回も番外編になります。
今回の話の続きは出来次第投稿します。