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第186話 終焉

ここまでのストーリーを読んでくださった方々どうもありがとうございます。


今回の話で第二部が終わりです。


次の第三部で完結する予定です。少し長くなりそうですが、良ければこれからも読んで頂けると嬉しいです。

ーーー灯月ーーー


 神2柱を相手に戦いました。

 【感染の神】イルナードと、【吸収の神】ノイルディラと言いましたか。

 スキル【白黒翼分神】で作り出した分身が消滅。普段の姿に戻ります。

 このスキルの弱点は、分身が受けたダメージやスキルの効果が元の姿に戻っても引き継ぐところですね。

 半身は全身が【感染魔力】によって変色し激痛を伴い腐ったような異臭を放っている。もう半身も、魔力を奪われ指一本動かせない。

 既に身体の消滅が始まっていますね。

 全身が光の粒子に変化していっている。


 そう…私は……悔しいですが…負けたんだ…。


 元の姿に戻るも、立つ力が残っていない私の身体はその場に倒れました。

 倒れる瞬間、今までの思い出や楽しかったことが思い返され…ああ。これが走馬灯というヤツですか…。にぃ様…。


 思い出の中は、にぃ様でいっぱいです。

 はぁ…最後に…にぃ様に…会いたかった…。


 その願いは叶えられた。

 倒れる私の身体を支えて抱きしめてくれる優しい温もり。身体に伝わる感触は懐かしさを感じ、自然と私は涙を流していました。


『お兄ちゃん…。』


 にぃ様の顔を腕の中で見上げる。そのお顔は私を優しく見つめていました。


ーーー

ーーー閃ーーー


 ゲートを潜り現実の世界に帰還した俺の前には偶然にも倒れ込む灯月がいた。

 その身体を優しく抱き寄せる。

 冷たい。最初に感じたことだ。

 灯月の小さな身体は黄華さんや基汐と同様に肌が変色し爛れている。そして、半身からは魔力を一切感じなかった。生命力ともいえる魔力を感じない。それは、つまり死に体と同義ということ。灯月の半身はもう指一本動かせない筈だ。

 

『灯月…すまん。遅くなった。』


 突然の俺の登場に驚き一瞬目を見開いた灯月だったが、すぐに状況を理解し俺に微笑んだ。


『お兄ちゃん…良かった…いつもの…にぃ様…だぁ…。』


 消え入りそうな声。

 けど、その笑顔は嬉しそうで…。


『灯月…辛い思いをさせて…ごめんな。』

『ううん…こうやって…お兄ちゃん…に…抱っこ…された…だけで…ぜんぜん…へいき。』

『灯月…。』


 俺は光になり、この世界から消滅し始めている灯月の身体を強く抱きしめた。


『お…兄…ちゃん…私…頑張っ…た…よ…?。』

『ああ。頑張っ…たな…。』


 俺は灯月にキスをした。

 灯月が満足するように、灯月の最期の想いを受け取るように。


『えへへ。…うれ…しい…。お兄…ちゃん。だい…す…。』


 その言葉を最期に俺の腕の中から消え灯月。

 俺は何も言えずに天に昇っていく灯月の光を眺めていた。


 灯月…。俺も大好きだ…。


『………………。』


 俺は周囲を見渡した。

 今のやり取りを傍観していた神達。

 1、2、3……………女王を除いた10柱の神が集結していた。


『まじか…。ここまでの…バケモンかよ…。』


 その内の1柱。【感染の神】イルナードだったか?。

 ソイツが俺を見て驚愕している。


『ダーリン…。』


 アイシスか…。

 少し離れた位置で俺の様子を伺っている。

 彼女からは他の神と違い戦闘の意思や殺気を感じない。


『なぁ。お前等。』


 俺の言葉に神全員が警戒体制に入るのを感じた。


『俺の仲間に手を出したんだ。そっちにも事情はあるんだろうけど…俺に何をされても文句は言えないよな?。』


 俺は全身から【エーテル】を放出した。

 それは周囲に影響を与え神の居城である建造物を忽ち砂に変えた。

 100階建ての建造物が崩れ落ち俺を含めた神全員が地上に舞い降りた。


『ははははは!。これは凄い!。エーテルをここまで使いこなすとはな!。もっと早くに会いたかったぞ!。【観測の神】よ。』


 全身からエーテルを放出し、ただ一人だけ空中に停滞した神。【無限の神】ガズィラムが嬉しそうに俺を見下ろしている。

 

 知っている。

 お前が一番俺の仲間を殺した。


『お前は必ず俺が殺す。』


 ガズィラムを睨みながら俺が宣言すると、俺の間合いにイルナードとノイルディラが接近した。


『王に手を出すなら。』

『俺ッチ達をどうにかしてからだろう!。』


 イルナードは感染魔力を、ノイルディラは吸収の魔力を宿し俺に襲い掛かった。


『ああ。最初から、そのつもりだ。』


 俺は【神力】を発動した。


 奴等にはどの様に感じたのか。

 奴等が気付いた時には俺は奴等の後ろに移動していただろう。何をされたのか理解することすら出来ずに。

 そして、その時には奴等の魔力を宿した腕は消え去っていた。


『バカ野郎!。違い過ぎるだろ!?。』

『くっ…。これ程…とは…。』


 これが…神の力…。

 ああ。この力なら いずれ 世界を手中にすることだって出来るだろうな。


『ははははは!。その力!。【絶対神】に匹敵するぞ!。』


 神々が驚愕し言葉を失っている中でガズィラムだけが高く笑い声を上げていた。


ーーー

ーーーメリクリアーーー


 神の拠点が崩れ落ちる様を遠く離れた崖の上で眺めていたメリクリア。

 その時に感じたエーテルの波動。


『そうか…閃君…戻って来たんだね。良かった。』


 メリクリアもエーテルを放出し始める。


『これで、準備は整ったね。【神力】発動。【宇宙の神】メリクリアが宇宙に命令を下す。決定する結果は【収束】。無限に広がる膨張を止め、その働きを反転させよ!。』


 【宇宙の神】の命令は直ぐ様聞き届けられた。

 拡大し続けていた宇宙は停止。そして、収束を始めた。やがてはビッグクランチを迎えることとなる。


『これで、よし。はぁ…流石にエーテルが残ってないね。この宇宙の終焉、そして、いつかまたビッグバンから新しい宇宙が始まるんだ。』


 メリクリアはゲートを開く。接続先は閃の元。


『さて、この世界での僕の役割も終わりだね。そろそろ向こうも終わった頃だし。戻ろうかな。』


 ゲートを潜るメリクリアはその場から姿を消した。


ーーー

ーーーアイシスーーー


 ダーリン…いえ、もう私よりも上の存在になってしまったので…閃様とお呼びしましょう。

 閃様は【観測神】として覚醒なされたわ。

 その力は【存在の有無】。

 世界に存在する あらゆるもの を創造し、そして…消滅させることの出来る神。


 今の閃様の前には如何に【神王】であるガズィラム様ですら敵わないわ。

 ほら、現に今、その瞬間が訪れたわ。


『ははははは!。これ程に違うか!。余と主との差は!。』


 ガズィラム様の胸。人でいう心臓に位置する箇所を閃様の右腕が貫いたわ。その手には赤く輝く宝石のようなモノが握られている。

 人でいう心臓は神にとっても急所。【神核】と呼ばれる神の能力とその在り方を示す重要な器官。それが破壊されるということは神の死を意味するの。


『ははははは!。余を殺すか!。良い!。余は此度の世界を存分に楽しんだ。主の仲間も多くを排除した。ならば主にはその資格があろう!。存分に己の復讐心を満たすが良い!。』


 閃様は躊躇い無くガズィラム様の神核を握り潰した。その瞬間、ガズィラム様の肉体は消滅。正直、王が負ける姿なんて想像すらしたことがなかった。それだけ王は圧倒的な存在感と能力を有していたのだから。


 ガズィラム様が消滅した後、すぐに閃様はその場に倒れ込んだ。

 無理もない。【観測神】へと覚醒した直後に神々との戦いに身を投じたのだ。

 それに、その力はまだ完全にコントロール下に置いたわけではないみたいだったし、身体が悲鳴を上げていたのは見ていて分かった。

 けど、王を倒すまで戦い続けられたのは…閃様の排除された仲間達へ対する想いなのだと理解できた。


『羨ましい…関係ね…。』


 私は倒れている閃様に近づき、その頭を自分の膝の上に乗せた。

 既に閃様の意識はなく。身体も光になり始めている。


『【略奪の神】よ。』

『あら?。女王。そちらは終わったの?。』


 ゲートから現れる女王。


『ああ。全て計画通りだ。して?。此方の現状は?。』

『見ての通りよ。【神兵】6柱、【神騎士】2柱、【神王】1柱を閃様が倒したわ。全員消滅。この世界から退界したわ。』

『そうか。如何に【王】といえど【観測神】には勝てなかったか…。』

『ええ。相手になっていなかったわ。』

『……………。』


 女王の視線が閃様を見つめる。

 ああ。やっぱり貴女もなのね。

 恋を初めて知った時の私と同じ表情。

 

『代わります?。』

『ん?。何をだ?。』

『この体勢。』

『…………………………ああ。頼む。』


 私は女王と位置を代わる。

 女王はぎこちない動きで閃様の頭を撫でる。

 もう反応の返ってこない閃様を少し残念そうに見つめながら一言をもらした。


『閃君…お疲れ様。』


 その女王の表情は女神そのものの慈しみに溢れていた。


ーーー

ーーーステータスーーー


・閃

  ・刻印    No.0(左目)

  ・種族   【人神族】【観測神】

  ・使い魔

    ・クミシャルナ  地母龍

    ・ラディガル   雷皇獣

    ・月涙      水姫魚

  ・スキル

   【初撃無効】

   【状態異常無効】

   【全能】

   【瞬神脚】

   【剛神腕】

   【身体強化・極】

   【女性化】

   【神力 観測神・創造神・絶対神】

  ・神化   【闘神化】

        【極 闘神化】

        【人神化】

  ・神具   【時刻法神・刻斬ノ太刀】

        【時刻ノ絶刀】

  ・神技   【極 天刻地絶人】



ーーー

ーーー第二部 世界崩壊消滅編 完ーーー











ーーー

ーーー閃ーーー


 沈んでいた意識。

 僅かに自我を取り戻す。


 俺は…どうなった?。

 確か……………ああ、そうだ。覚えている。

 仲間を、皆…失って…。皆を生き返らせようと神達と戦って…。

 【神王】ガズィラムを倒したところまでは覚えている…けど、それより先を思い出せない。


 いや…多分…俺は……………死んだ…んだろう…。


 【神力】を酷使し身体が限界を迎えるていた。使用する度に全身が破壊されていくのが分かったんだ。

 【創造神】の力は、まだマシな方だ。

 しかし、【絶対神】の力を行使すると全身が悲鳴を上げた。

 何とか制御を試みるも上手くいかず、最期はプツリと糸が切れたように意識を失ったんだ。


 まどろみの中で徐々に意識が覚醒へと向かう。


 俺は…生きているのか?。

 あれから…どうなった?。神々は?。皆は?。世界は?。


 様々な疑問が頭の中で渦巻き。

 俺は目を開けた。


『こ、ここ…は?。』


 何処だ?。

 視界に飛び込んできたのは、見慣れない木造の天井だった。


ーーー


 その日…7つある巨大国家に所属する【7人の巫女】に神からの神託の言葉があった。

 その内容は…。


【異世界からの神が、この世界を侵略するために現れる。我々は彼等を【異神】と呼ぶ。彼等の【神力】による世界の侵食を食い止め【異神】を殲滅せよ。この世界を護るのだ。】


 …という内容だった。

次回の投稿は13日の日曜日を予定しています。

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