表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/425

第169話 観測の神

『【観測神】…。ですか…。しかし女王、我々は…その存在と名を知らない。知らされていなかった。』


 イルナードが問う。


 転移にて現れた【女王】が閃の姿を見て語る。


『【観測神】は【絶対神】【創造神】と並び立つ神であり、【絶対神】である主が望まれた存在。主が何故【観測神】に拘るのかは妾も知らぬ。』


 女王の登場に閃の動きが止まった。

 赤い眼光が女王を観察するように上に下にと動き続けている。


『妾が分かるのは。【観測神】が【神に最も近い存在】である【人間】からのみ誕生する可能性があることと…その在り方だけだ。』


 世界に存在する数多の現象や事象、生物の病気や行動などには神が宿る。

 スケールが大きくなると惑星や衛星、果ては、宇宙そのものにすら神としての意思が生まれる。

 つまりは、【世界】の全てに神々は宿っていることとなる。その力の強弱は別として…だが。


 しかし、それらは。

 【人間】という種族が、成長し進化。一部の天才と呼ばれる者達が才能と経験と運によって発見、研究、実験を繰り返し発展していった科学力により【観測】され 認識 されたことで、初めてその 存在を証明 されることになる。

 それは、空間や時間とった概念であっても例外ではい。


【観測し認識する者がいなければ、その存在は無いものと同義である】


 その定義、哲学に宿る神こそ、


 【対象の存在の有無を決定し操る神】


 …【観測神】である。


『あれは、妾と半身よりも 上 の神だ。しかし、奴はこの世界には不要の者。』


 女王が杖を構えた。


『【ミクロコスモス(人界)】。』


 女王の周囲に出現した小さな星々。

 女王を中心にゆっくりと回っている。


『悪いが、この場で排除させて貰う。』

『女王。我々も御供します。』

『よい。お主達には。』


 チラリと女王が代刃達を見る。


『っ!?。』


 視線を感じた代刃達。

 同時に代刃が放心状態で動けない灯月を背中に担ぎ、無華塁が神具の薙刀を床に突き立てた。


『【震動破砕】。』


 震動を利用し床を破壊。出来た穴から下の階層へと移動した。


『決して逃がすな。必ずこの世界から排除せよ。』

『『はっ!。』』


 イルナードとノイルディラが同じ穴から代刃達を追った。


『…お主は行かぬのか?。』


 ただ1人動かなかったアイシスに女王が問う。


『ええ。私はダーリンと一緒の方が良いわ。』

『そうか。相手は妾よりも上位の神だ。下手をすれば死ぬぞ?。』

『ええ。理解しているわ。けど、私はダーリンが欲しいの。どんな姿になってもね。』

『………ふくざつ………。』

『あら?。何か仰ったかしら?。聞き取れなかったのだけれど?。』

『気にするな。独り言だ。』

『そうなのね。女王も独り言を言うのね。』

『しかし、【略奪の神】よ。その身体は何故に蝕まれている?。彼奴等を追えぬのもそれが理由だろう?。』

『あら?。気付いていたのね。…少しね。肩代わりしただけよ。問題ないわ。』

『そうか。なら良い。』


 2柱の会話は終わり。

 閃と向かい合う。


 その間も閃の眼光は2柱を見据えていた。


『ああ。分かるわ。ダーリンの強さ。真面に対峙すれば1秒も持たないわね。』

『そのようだな。だが、退くわけにはいかん。この世界にお主のような神は大きすぎる。』


 神同士の戦いが始まった。

 開始の合図は、閃の姿が消え2柱の後ろに突如出現したことで始まった。


ーーー

ーーー代刃ーーー


『灯月!。しっかりして!。』


 背中に担いでいる灯月に何度も呼び掛ける。

 けど、一向に反応はない。

 完全に正気を失ってる。閃に殺されかけた。

 その事実だけで灯月の心が折れてしまった。


『代刃。穴。開けた。』

『うん。早く逃げよう。』


 無華塁の能力で床を破壊し下の階層へ降りていく。

 しかし、時間が掛かる。この建物内の床や壁には、魔力による攻撃を無効化する性質を持つ箇所があり、その部分は無華塁の力を持ってしても破壊できない。

 何度か試して破壊できる場所を見付け穴を開ける。その繰り返し。このままじゃ追い付かれる。


『まだ大丈夫です。神は追って来ません。』


 周囲の警戒を累紅にお願いしている。

 僕に出来るのは灯月に呼び掛けて正気に戻すことだけ…けど、相当ショックだったんだ。一向に灯月の瞳に光が戻らない。


『穴。出来た。』

『よしっ!。入ろう!。っ!?。累紅!。』

『っ!?。』


 僕の叫びに反応した累紅がしゃがむ。

 その瞬間、累紅の頭があった箇所に刀が走った。


『およっ?。気付かれたか。お前、勘が良いな。』


 いつの間にか至近距離まで近付いていたイルナード。

 まずい。もう追い付かれた。


『1人担いでいる状態で逃げられると思ってんの?。』


 イルナードの銃口が僕に向けられた。


『代刃!。』

『代刃さん!。』

『お前達の相手は私だ。』

『『っ!?。』』


 無華塁と累紅の2人を同時に斬りに掛かった大剣。ノイルディラだ。

 何とか2人で大剣の一振を防ぐことに成功するも、振り抜かれた大剣の力に2人は後退。戦力を分断された。


『はい。残念。まずは2人。』

『くっ!。【魔柔念金属】!。』


 神具で薄い鉄の盾を作り発射される銃弾を防ぐ。


『はっ。うぜぇ。そんなことまで出来んのかよ?。』

『侮るなよ。イルナード。ソイツは女王の神人だ。未知の能力を持っているかもしれんぞ。』

『ああ。どおりで…おーけー。ガチで排除しに掛かるわ。』


 イルナードの身体から溢れ出る魔力。

 その魔力に触れた壁や一部の柱が形を保てず腐ったように崩れていく。


 あれは…黄華さん達と戦った時に使ってた。


『俺ッチは【感染の神】だ。俺ッチの魔力に呼吸、皮膚接触で感染すれば忽ち腐って死ぬぜ?。さっきの鉄の盾をよぉく見てみろ。』

『っ!?』


 僕の魔柔念金属で作った盾。銃弾を受けた箇所から緑色に変色してボロボロと崩れていってる?。しかも、どんどん広がって!?。


『く…そ。』


 腐った部分を切り離す。

 床に落ちた途端、床にも感染し崩していく。


『ははは。呆気ないね。周りを見な。お前もう逃げ場が無いぜ?。』

『っ!?。』


 気付いた時には遅かった。

 僕の周囲を取り囲むイルナードの魔力。

 吸っても触っても感染する魔力が徐々に接近していた。


『代刃!。』

『代刃さん!。』

『お前達に他人を心配する余裕はないと思うのだがな。』

『くっ!。』


 ノイルディラの大剣の猛攻。

 無華塁も累紅も防ぐだけで精一杯のようだ。


『終わりだな。これで任務完了だ。とっとと女王の加勢に向かうぜ。』


 イルナードは既に勝った気でいる。

 その通りだ。完全に逃げ場を失い。魔力に侵されるのも時間の問題だ。


『あらあら。諦めちゃうの?。そんな弱弱な気持ちじゃ。閃ちゃんの恋人枠は私が貰っちゃうわよ?。』

『え?。』


 諦め。俯いた時。

 僕の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。


『つつ美さん!?。』

『育ちなさい。【魔吸植物】。』


 大きな胸の谷間から植物の種を取り出し感染魔力に向けて投げる。すると、魔力を吸収し急速に成長した植物が更なる魔力を求めイルナードに襲い掛かる。


『へぇ。仲間を助けに来たのか?。何処に隠れてたか知らねぇが、そんなモンじゃ俺ッチの感染は止められねぇよ。』


 イルナードへの距離が近付くと感染は速度を上げ瞬く間に植物は朽ち果てる。


『ええ。けど、その魔力を栄養に最初の発芽から育った植物ならどうかしら?。』

『へぇ。なかなか面白いことしてくれんじゃん!。良いぜ。ちょっと遊んでやるよ!。』


 感染魔力で育った植物は免疫力を持って発芽した植物は朽ち果てることなく感染魔力の中を暴れまわる。


『さぁて~。』


 魔吸植物とイルナードが戦っている。

 僅かな時間が出来たことを確認すると、つつ美さんが僕達に近付いてきた。


『ありがと~。代刃ちゃん。うちのダメ娘が迷惑かけちゃったわね~。』

『え?。ああ。いや…。』


 つつ美さんは僕の背にいる灯月を下ろさせる。


『つつ美さん。あの…灯月は、閃に…。』

『知ってるわ~。』

『え?。』

『私の~。スキル~。【精神端末】よ~。灯月ちゃんの~。背中に付けてたのよ~。』


 【精神端末】

 10cmくらいの2頭身つつ美さん。

 5感を共有でき、本体の意思で端末の場所へ本体を転移させることが出来るスキル。


『ああ~。そう言えばそんなスキルがあったね。』

『念のために~。端末ちゃんを~。付けておいて~。良かったわ~。閃ちゃんが~。あんな風になっちゃうなんてね~。』


 つつ美さんが灯月の肩を持って左右に揺らす。

 けど、灯月に反応はない。きっと目の前につつ美さんがいることも分かってないんだ。


『あらら~。ダメね。』


 パンッ。

 …という音が響き同時に灯月の身体が右に傾いた。


『ビンタ…。』


 しかも、相当強く。頬に手のひらの痕がくっきりと残ってる…。


『え?。あっ…母…さ…ま…。』

『灯月!。』


 灯月が正気に戻った。


『ふふ。世話が焼けるわ~。じゃあ~、時間も無いことだし~。行きなさい~。ここは~。私が~。時間を稼いであげるから~。』

『え!?。母様?。』

『つつ美さんも一緒にっ!。』

『無理よ。ほら、私の植物もあっという間に殺られてしまったわ。』


 見ると、免疫力を持って生まれた魔吸植物が朽ち果てていた。


『ははは。楽しかったな。だが、俺ッチの感染魔力が1種類だけとか言った覚えはねぇぞ?。』


 イルナードがこっちを見る。


『どうだ?。相談事は済んだか?。』


『代刃ちゃん。灯月ちゃん。』

『『?。』』


 つつ美さんが神具を展開した。

 【束縛封魔吸布】。自在に操れる魔力を吸収する布。

 それを伸ばし無華塁と累紅の身体に巻き付けた。


『む?。この布は?。』


 ノイルディラが布に注意を向けた一瞬の隙をつき2人の身体を引き寄せた。


『これ!?。』

『つつ美さんの!?。』

『閃ちゃんのこと頼んだわよ。』


 つつ美さんが指を鳴らすと爆発的な速度で植物の蔓が伸び壁を破壊する。

 壁が破壊されたことで出来た穴から僕と灯月は突き落とされ、布に巻かれた無華塁と累紅は投げ飛ばされた。


 つつ美さん。僕達を逃がす為に…。


『母様!。嫌です!。母様も一緒に!。』


 僕達は80階層辺りから空中に投げ出され地上まで落ちていく。

 灯月が泣きながらつつ美さんを呼び掛け翼を広げて戻ろうとするのを僕は必死に止めた。

 つつ美さん…死ぬ気なんだ。僕達を助けるために犠牲になろうとしてる…その思いを無駄には出来ない。


 微かに見えた、こっちを見下ろしている笑顔のつつ美さんの顔。口元が動いた。


 あ、い、し、て、る、わ。


 確かに、そう灯月に対して言った。


ーーー

ーーーつつ美ーーー


 どうにか、うちの娘達を脱出させることに成功した。

 ふふ。本当に世話が焼けるわね。

 こんなことなら、早いとこ閃ちゃんを私のモノにしておくんだったわ。


『で?。最後に残ったお前が俺達の相手をするってか?。』

『ええ。そうよ。』


 こっちの生意気そうなのがイルナードちゃん。


『理解に苦しむ。お前がやったことは結果の変わらない時間稼ぎでしかない。無駄死にだぞ?。』


 で、こっちの無愛想なのがノイルディラちゃんね。


『そんなことないわ。私は希望を繋いだの。未来を手にする為のね。』

『はぁ?。意味分かんね。』

『良いのよ。分からなくて、神の尺度で私達を測らないで頂戴な。』

『まぁ、俺ッチも知る気はねぇけどな。』


 ドンッ。と銃声が一発。

 私の顔の横を銃弾が通る。


『へぇ。避けたか。』

『ええ。遅いんだもの。けど、いきなりなんて酷いじゃない。』

『どうせ。死ぬんだから関係ないだろうが。』


 ええ。そうね。

 私はここで死ぬでしょう。

 私が足掻いたところで貴方方には遠く及ばないことは分かっているわ。

 けど、うちの娘達が体制を立て直せる時間は稼がせて貰うつもりよ。


『【神化】発動。【魔聖吸淫女神化】!。』


 私の神化。

 魔力を吸収することに特化した種族。

 神具の布が複数枚。身体の周囲に浮かぶ。

 天女の如く美しき女神が顕現した。


『遊ばないわよ。』


 今まで溜めた魔力を集束させる。


『神技…。』


 神具の布が形を弓へと変化させる。


『っ!?。コイツは!?。ノイルディラ!。』

『ああ。理解してる。』


 魔力で編んだ矢を装填。


『【魔吸収放填神弓】!。』


 私の切り札。

 今までに溜めた魔力を矢にして放つ神技。

 出し惜しみはしない。全ての魔力を注ぎ2柱の神の足を止める。


ーーー

ーーー智鳴ーーー


 ゾンビ達との戦いは終わりが見えなかった。

 次々に湧くように地面から出てくる様は映画で見たホラーシーンそっくりだ。

 分身体と狐を総動員し更に広範囲の炎のスキルで焼き払っても切りがない。

 

『智ぃちゃん。上。』

『え?。』


 氷ぃちゃんに言われ上を見る。

 そこには、遥か上空から落下してくる皆の姿が…。って、あの高さ…落ちたら不味くない?。

 どういう訳か、飛べる筈の灯月ちゃんの翼を代刃ちゃんが必死に押さえ付けてるし、どういう状況?。

 それに、確認できるのは灯月ちゃん、代刃ちゃん、無華塁ちゃん、累紅ちゃんだけ。


『閃ちゃんが…いない?。』

『閃…。』


 って、まずは皆を助けないと。


『氷ぃちゃん。氷お願い!。』

『うん。』


 氷ぃちゃんが瞬時に氷の塊。巨大な直方体を出現させ、すかさず私が炎で中心の氷を溶かして水にし大きな水槽が完成。


 落下してくる4人が次々に水の中に落ちた。

 氷を少しずつ溶かして皆を引きずり出す。


『ぶはっ!?。はぁ…はぁ…ありがとう。智鳴、氷姫。』

『ううん。全然。他の皆は大丈夫?。』

『うん。無事。』

『はい。助かりました。』

『……………。』


 灯月ちゃんの様子がおかしい。どうしたのかな?。閃ちゃんが居ないことに関係が?。

 一先ず、周囲のゾンビ達は分身体と狐達に任せて事情を聞いた。


 要約された説明。

 閃ちゃんが神へと覚醒し灯月ちゃんを殺そうとした。

 標的を神々に変えた閃ちゃんと女王が交戦。

 力及ばずその場から逃げた代刃ちゃん達を追ってイルナードとノイルディラが迫って来た。

 つつ美さんが転移で現れ足止めし、代刃ちゃん達を逃がしてくれた。

 目の前で閃に殺されかけ、つつ美さんまで犠牲にしてしまった灯月ちゃんは今、俯いたまま泣いている状態。


『そう…だった…んだ。』


 私は灯月ちゃんを抱きしめた。


『智…鳴…姉…様…。』

『灯月ちゃんは全然悪くないよ。閃ちゃんを大好きな灯月ちゃんだもん。そんなことが起きたら取り乱して当たり前。それに、つつ美さんのことも灯月ちゃんが万全な状態だったとしても、絶対…つつ美さんは助けてくれた。だから、灯月ちゃんが自分を責めることなんか無いんだよ。』

『…はぃ…。』


 流れる涙を我慢して何度も袖で拭う。

 

『皆。逃げよ。神。追って来るよ。』

『そうだね。皆で協力してこのゾンビの大群を突破しよう。』


 見渡す限りのゾンビ達。

 これは、手こずるよ。


『何だ?。もう行っちまうのか?。もっとゆっくりしていけよ。』

『!?。』


 建物の入り口からの声に視線を向ける。


『うそ…イルナード…。』

『っ!?。じゃ…母…様は…?。』


 そこに立つのは映像で観たイルナードとノイルディラと呼ばれていた神。

 さっきの話じゃ…つつ美さんが時間を稼いでくれたって…。

 ここに…神が居るってことは…つつ美さんは…。


『てかさ?。お前達、何なの?。あの黄華とかいう女といい、さっきの女といい…しぶとすぎんだろう?。全身感染しながらさぁ?。』


 2柱の神に目立った傷はない。

 つつ美さんでも相手にならなかったってこと?。


『感染されてさぁ。苦しいだろうに無駄に頑張っちゃってさ?。意味分かんねぇわ。最期には全員排除されんのによぉ。』


 イルナードの言葉に周囲の気温が一気に下がる。


『アイツ。ムカつく。』


 氷ぃちゃんが怒ってる。

 そうだよね。私達はただ皆で平和に暮らしたいだけ。それを邪魔したのは他でもない神達なのに私達を理解できない存在みたいに言って…私だって怒ってる。


「止めときなさい。」


 心の中でもう1人の私が話し掛けてきた。

 

 どうして?。アイツ。つつ美さん達のことを…。


「だからよ。こういう時こそ冷静になりなさいな。今、この場で戦っても見す見す全滅よ?。今の戦力で神の奴に勝つのは難しいわ。奴等に勝つには絶対に閃様の力がいる。なら、閃様を助けることが最優先だと思うけど?」


 確かに…そうだけど。

 逃げられるの?。この状況で…。


「難しいでしょうね。けど、可能性があるわ。多分、本人も分かってる。ほら見てごらんなさい。代刃を…。」


 もう1人の私の言う通り代刃ちゃんを見る。


『君達のせいで僕達の平和な毎日が壊されたんだよ?。黄華さんも…基汐も…睦美も瀬愛も…つつ美さんも死んだんだ。もう、皆で一緒に過ごした日々に戻れないんだ!。』

『その日常が俺ッチ達、神に与えられたモノだって理解してんだろ?。なら、終わりも神が決める。いちいち抗うなって!。』


 イルナードが跳躍。

 刀で代刃ちゃんに斬り掛かった。

 

『代刃ちゃん!。』

『そんな神なんて僕は認めない!。神具!。発動!。【並行世界接続門】!。魔力レベル最大値に設定!。』


 突き出した手のひらの先に空間の歪みが生まれた。代刃ちゃんの神具は並行世界から注いだ魔力に応じた神具を10分の1の性能にしたコピーにして呼び出すことが出来る。


『レベル10!。』


 並行世界への門が開く。

 レベル10はゲームの時ですら使わなかった奥の手。代刃ちゃんですらコントロール出来ず、何が出るかも、どんな性能かも分からない完全な運任せなくじ引き。

 けど、この状況を打開するには代刃ちゃんの神具に賭けるしかないのも事実。


『お願い。強い神具よ!。来て!。』


 魔力が集束して門の中から神具が現れる。

 周囲は門から発せられた魔力が放出され光とけたたまし音が稲妻のように迸った。


『うざってぇ!。』


 けど、イルナードはそんなものお構い無しで斬りかかる。

 そして…。


『は!?。今度は何さ!?。』

『いったぁぁぁあああああいですぞぉぉぉおおおおお!?!?!?。』


 イルナードの刀はくねくねと動く 何か とぶつかり弾かれた。

 

『ここは何処でいきなり何ですかぁぁぁあああ?。』


 一言で言うと出現したのは【杖】だった。

 支柱の部分がくねくねとうねって…宙に浮いてる?。イルナードの刀がぶつかった箇所を棒先でスリスリと撫でてるし…。

 杖の先端は楕円形になっていて様々な装飾品に飾られて。そして、その中心には、小さな目玉が浮いて…泣いてる…。しかも、喋ってるし。意思があるの?。


『き…君は?。』


 呼び出した代刃も目を白黒させてるし…。


『ん?。おや?。もしや、貴女が私を呼び出したのですかな?。』

『え?。あ…はい。』

『そうですか。そうですか。そうですか…ぇぇぇぇぇえええええ!?!?!?。凄いですなぁ?。私を呼ぶなど!?。』


 目を白黒させてるのは杖の方も同じみたい…。


『まぁ。詳しいことは後にしましょうか。私が呼び出されたのも何かの縁でしょうし…。貴女の名前を聞かせて頂いても?。』

『え?。あ…代刃…です。』

『代刃…はい。覚えました。僅かな時間だと思いますが、此度の召喚。私の持ち主は貴女と認めましょう。』


 杖がその長い支柱で代刃ちゃんの周りを囲む。


『私の名は【クライスタイト】。世界最強の魔術師を主に持つ神具でありますぞぉぉぉおおお!。』

 

ーーー

ーーーステータスーーー

 

・つつ美

  ・刻印   No.17(右下乳)

  ・種族 【聖淫魔神族】

  ・スキル

   【精力吸収】

   【外見年齢操作】

   【感情操作】

   【思考同調】

   【肉体操作(女性)】

   【魔吸植物】

   【精神端末】

  ・神具【束縛封魔吸布】

  ・神化【魔聖吸淫女神化】

  ・神技【魔吸収放填神弓】

次回の投稿は15日の木曜日を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ