第151話 1日お部屋デート 睦美の場合②
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本当にありがとうございます。
本編の進行状況は全体の大体半分くらいです。
もし、宜しければこれからも読んで頂けると嬉しいです。
昼食を食べ終えた私達。
朝食の時と同じく私の あ~ん で旦那様は完食して下さりました。
旦那様は美味しそうに食べてくれるので、それだけで私は幸せな気分になります。
『御待たせ致しました。』
『ああ。ありがとな。』
昼食の洗い物を済ませ旦那様の元へ戻る。
『午後はどうするんだ?。』
『僭越ながら、旦那様を癒して差し上げようかと思います。』
『癒す?。』
『はい。少々御待ち下さい。』
私は木製のテーブルを片付け、押入れから柔らかいマットを取り出して畳の床に敷く。
棚から道具一式を取り、マットの上で正座をする。
『旦那様。私の膝に頭を乗せて横になってください。』
『もしかして、耳掻きか?。』
『はい。耳掻きから。ですが。』
『え?。』
『全身をマッサージします。』
『ああ。そういうことか。良いのか?。』
『はい。どうぞ。』
私は自分の膝へ旦那様の頭を誘導します。
さらさらとした旦那様の髪の毛がこそばゆいです。つい、その髪を撫でてしまいました。
さらさらで気持ちいい。はっ!?。
『し、失礼しました。』
『いや、大丈夫だ。気持ち良かった。睦美が満足するまでして欲しいくらいだ。』
『そ、そうですか…。はい。仰せのままに。』
私は旦那様の髪を堪能しました。
はぁ…旦那様…可愛い…癒されますぅ。
…はっ!?。いけない…いけない…。危うく、本来の目的を忘れてしまうところでした。
『で、では…耳掻きを始めますので、旦那様。動かないで下さいね。』
『ああ。頼むな。』
『はい。では、始めに。』
私は耳用の剃刀で旦那様の耳の産毛を剃っていく。
『あれ?。冷たい?。金属?。』
『はい。耳の産毛を剃る剃刀です。産毛や細い毛用なのでそこまで切れ味があるわけではありませんが刃物ですので動かないで下さいね。』
『ああ。少し、びっくりしただけだ。』
『ふふ。ごめんなさい。色々用意しましたので堪能してくださいね。』
『ああ。睦美に任せるよ。』
『はい。』
すーーーーー。すーーーーー。
ショリショリ。ショリショリ。
すーーーーー。すーーーーー。
シュッ。シュッ。シュッ。シュッ。
すーーーーー。すーーーーー。
耳の中の毛も剃っていきます。
旦那様の耳は、あまり毛が生えていないようなのですぐに終わってしまいました。
『次です。軽くマッサージしますね。』
耳には沢山のツボがあります。
耳の形に沿って指で刺激していきます。
くにくに。くにくに。くにくに。
もみもみ。もみもみ。もみもみ。
くにくに。くにくに。くにくに。
もみもみ。もみもみ。もみもみ。
『おお。結構、気持ちいいな。これ。』
『ありがとうございます。旦那様は少々疲れがたまっていますね。所々が固くなっています。少し強くしますので、痛かったら教えてください。』
『あ、ああ。』
ぐっ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。
ぐいーーーーー。ぐいーーーーー。
ぐにーーーーー。ぐにーーーーー。
ぐいっ。ぐいっ。ぐいっ。ぐいっ。ぐいっ。
『痛くないですか?。』
『ああ。痛くない。むしろ、適度な力加減が気持ちいい。睦美のひんやりした指先も、優しい手つきも最高だ。』
『ありがとうございます。』
血行が良くなってきたのか、耳が赤く、そして熱を持ってきました。
そろそろ、良いでしょうか?。
『では、耳掻きに入りますので。動かないで下さい。』
『ああ。わかった。』
まずは濡れた布で耳を拭いていきます。
きゅっ。きゅっ。きゅっ。
すーーーーー。すーーーーー。
きゅっ。きゅっ。きゅっ。
『熱くなった耳に、冷たくて気持ちいいな。』
『ふふ。堪能して下さいませ。』
きゅっ。きゅっ。きゅっ。
すぅーーーーー。すぅーーーーー。
『耳に入れますね。』
『ああ。』
竹製の耳掻きで旦那様の耳の周囲を綺麗にしていきます。
普段から耳掻きをしているので、旦那様の耳はあまり汚れていませんね。
入り口から始まり、徐々に耳の奥へ。
『気持ちいい…。』
旦那様の口から溜め息に似た吐息が…。
はぁ…。私の行動で旦那様が幸せそうな表情を…。私も…幸せ…。
『おっ。』
とある、一点を耳掻きが擦った瞬間に旦那様が反応する。一瞬、身体がピクリと動いた。
『………。』
もう一度、その辺りを刺激していく。
『んっ…。んっ…。』
旦那様の表情は少しずつ崩れていく。
とろんっとした表情で耳から送られてくる刺激に酔っているみたい。
『ふふ。旦那様…ここ。気持ちいいですか?。』
『ああ。くすぐったくてゾクゾクする。全身に電気が走ってる感じだ。』
『ふふ。では、この辺りを中心にしますね。』
旦那様が反応した部位を中心に耳掻きを走らせていく。
しゅっ。しゅっ。しゅっ。しゅっ。
しゅぅーーーーー。しゅっーーーーー。
くるくる。くるくる。くるくる。
すぅーーーーー。すぅーーーーー。
旦那様の耳は本当に綺麗です。
途中から小さな汚れすら無くなってしまったので、耳のつぼのマッサージに切り替えました。
耳掻きのヘラを反転させて、ピンポイントでつぼを刺激していきます。
『はぁ…。はぁ…。』
旦那様の口からもれる吐息が凄く色っぽい…。
『仕上げに入りますね。』
私は音叉を取り出す。
旦那様の耳へ鉄の棒を軽く入れて叩く。
すると独特の振動する重たくて低い音が部屋中に響いた。
『おお。何か…うまく言葉に出来ないけど凄いな。』
『気持ちいいですか?。』
『ああ。』
『もう一度しますね。』
もう一度叩く。
同じ音が部屋の中を駆け巡る。
暫く繰り返して、次は梵天です。
もふもふとした触感。それを旦那様に耳の中へ。
くるくる。くるくる。くるくる。
モワッ。モワッ。モワッ。
くるくる。くるくる。くるくる。
モワッ。モワッ。モワッ。
『仕上げです。』
前に垂れる髪の毛を耳に掛け旦那様の耳に顔を近付ける。
旦那様の綺麗な凛々しいお顔が目の前に…ドキドキしますっ!。
『ふぅ~~。』
『おおっ!?。』
耳に吹き掛けた私の吐息に旦那様がピクリと反応する。
ああ~。ダメです。旦那様が可愛すぎるぅ!。
『いきなりゾクッとしたぞ。』
『ごめんなさい。けど、反応が可愛かったので…つい。』
『可愛いって…。あんまり言われないから新鮮だな。』
『そうですね。旦那様は格好いいですから。』
『そうなのかね…。あんま自覚ないんだけどな…。』
『ふふふ。旦那様らしいです。』
旦那様に断りを入れ反対の耳も同じ手順で耳掻きを始めます。
こちらの耳も目立った耳垢はなく。丁寧にマッサージへ移行しました。
『耳掻きは終了です。お疲れさまでした。』
『ありがとう。睦美。気持ち良かったよ。』
『いいえ。あっ。ダメです。旦那様。』
『え?。』
起き上がろうとする旦那様を優しく止める。
『どうした?。終わったんだよな?。』
『はい。耳掻き は 終了です。』
『は?。』
『次は、どうぞ。仰向けになってください。頭はそのままで結構です。』
旦那様の身体を誘導し、膝枕のまま仰向けになってもらう。
『何をするんだ?。』
『目の疲れを癒します。』
『目?。』
『はい。目を閉じていて下さいね。』
『あ、ああ。』
横たわる旦那様の目の横から5本の指を使って刺激を加えていく。
ぐっ。ぐっ。ぐっ。
ぐっ。ぐっ。ぐっ。
『痛くないですか?。』
『ああ。痛くないよ。絶妙な力加減だ。』
『そうですか。良かった。動きますね。』
目の横から始まり。目の上。額へと徐々に刺激する位置を頭の天辺へ移動していく。そして、耳の横から再び始め、頭の上の方に移動させる。
終わって、もう一度目元から頭。次は耳から頭。
それを3回繰り返す。
『旦那様。そのまま頭を少し上げて頂けますか?。』
『あ、ああ。』
旦那様が頭を上げる。その間に私は膝枕を止め代わりに柔らかい枕を旦那様の頭の下へ入れる。
『おっ?。膝枕はおしまいか?。』
『申し訳ありません。枕は合いませんか?。』
『いや、睦美の膝枕が恋しかっただけだ。ずっとしていて欲しかった。』
はぅっ!?。
ずきゅーーーん。っと、胸を矢で抉られました。そんな…そんな嬉しいこと…。言わないでぇ~。
『申し訳ありません。次のマッサージは足の方でしたので…。』
『ははは。すまん。困らせるつもりはなかったんだ。けど、後でもう一度して欲しいな。』
『はい。喜んで。』
私は、予め用意していた次の道具を持ってきます。
『旦那様。御待たせしました。』
『あれ?。着替えたのか?。』
『はい。これから少し動きますので汚さないようにです。折角、旦那様から頂いた宝物ですから。』
『そうか。大切にしてくれてありがとう。けど、体操服なんて持ってたんだな?。』
私が今着ているのは体操服。
学校で体育の時に着るような運動着です。
『はい。恥ずかしですが。光歌に貰いました。』
『ああ…。そう…。』
『悔しいですが。動きやすいのは事実なので使っています。』
胸には 睦美 と書かれた刺繍。
はぁ…気にしていても仕方ありません。旦那様優先です。
『旦那様。失礼しますね。』
『おっ。温かい。』
旦那様の目に温めたタオルを乗せる。
これで目の筋肉を柔らかくします。
そして、その間に。
『足を、上げますね。』
旦那様の足を上げて台を足の下へ入れる。
『次は足をマッサージします。靴下を脱がします。』
『おお。至れり尽くせりだな。』
『はい。ご堪能下さい。』
用意した桶。その中にはマッサージオイルを入れてある。人肌の温度に温めたものだ。それを旦那様の足に塗っていく。
『旦那様。失礼します。少しくすぐったいかもしれません。』
『ははは。確かにくすぐったいな。けど、温かいよ。』
『良かったです。では、始めます。』
オイルを塗った足の裏に刺激を加えていく。
ぐっ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。
ぐいーーーーーーーーーー。
ぐっ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。
ぐにぐにぐにぐにぐにぐに。
ぎゅーーーーーーーーーー。
ぎゅーーーーーーーーーー。
ぐっ。ぐいーーー。ぐっ。ぐいーーー。
指先から始まり、踵まで。
足の裏全体を指圧していきます。
『痛いところはありますか?。』
『いや、痛くないよ。気持ちいい。』
『そうですか。けど、少し疲れているみたいですよ?。こことかどうですか?。』
一点を集中して押し込む。
『ああ、うん。軽い痛みだけどね。感じるよ。』
『最近忙しかったですしね。では、この辺りを中心に…。』
『ああ…つい、声が出ちゃうな。』
『ふふ。』
もっと聞かせてください。
『反対の足もしますね。』
『ああ、頼む。』
反対の足も同じ動作で進めていきます。
旦那様から時折発せられる吐息が…。私の欲望を刺激していきます。
もっと、もっと。聞かせてください。
…って、これでは灯月のことを言えないですね…。
両足の裏のマッサージを終えた後は脹脛へオイルを塗り込み強めに指圧。両手の指で挟み込んだままスライドを繰り返す。
『ふぅ。足はこれで終わりです。』
最後に足全体に塗ったオイルを濡れタオルで拭き取って終了です。
『次は手のひらをほぐします。お手をお借りしますね。』
旦那様の手のひらを持ち上げる。
足と同じ要領でオイルを塗り、両手で指圧していく。
各指先から付け根まで。そして、手のひらのツボを刺激していきます。
もみもみ。もみもみ。もみもみ。
ぐいっ。ぐいっ。ぐいっ。
ぐぅーーー。ぐりぐり。
もみもみ。もみもみ。もみもみ。
ぐいっ。ぐいっ。ぐいっ。
ぐぅーーー。ぐりぐり。
最後にオイルを拭き取って両手も終了です。
ふぅ…。結構、力を入れたせいか汗をかいてしまいました。
『ありがとう。足も手も目も凄く軽くなった。お疲れさま…って!?。睦美!。』
目に乗せていたタオルを取り上半身を起こした旦那様が私を見て目を見開いて驚いています。
どうしましたか?。何かありました?。
ふと、旦那様の視線を辿ると…視線は私の胸元に…っ!?。
『し、しししし失礼しました。お見苦しいモノを…。』
自分の汗で透けた体操服と僅かに前屈みになったことで隙間から丸見えになった私の…。
『お前…下着は?。』
『あっ…その…動くので…邪魔かなぁ…と。朝から着物だったので…ちょっと、下着を出すのが億劫だったもので…。』
姿勢を正して胸元を隠す。
『じゃあ、さっきの俺の作った服の時も?。』
『…はい。和服の時は下着を着けませんので…。そのまま…。申し訳ありません…。私の…その小さいから…。見苦しかったですね…。』
『いや、謝るな。謝るのは見てしまった俺の方だろう?。それにお前のは平均的な大きさだぞ?。周りが化け物なだけで…。それに、前にも言ったが男は好きになった女の胸が一番好きなんだ。俺は睦美の大きさだって大満足で大好きなんだぞ。……………って、何言ってんだ!?。俺は!?。』
『ふふ。ありがとうございます。旦那様。』
私以上に慌ててる旦那様を見て可笑しくて…つい、笑ってしまいました。
『旦那様。今から下着を着けるのも憚られますので、そのまま俯せになってくださいませんか?。そうすれば、私も隠さずに済みますので。』
『あ、ああ。わかった。』
『あっ。その前に上の服を脱いで頂いても良いでしょうか?。』
『俯せで、服を脱ぐ…次は背中か?。』
『はい。本日最後のマッサージになります。』
服を脱ぎ、俯せになる旦那様。
鍛えられた広い背中。女性のものとは違う硬くて…熱くて…それでいて、適度な弾力が…。
ドキドキします。
『し、失礼します。』
『ああ。』
私は旦那様の腰に股がり背中全体にマッサージオイルを塗っていく。
旦那様の身体から伝わる体温と感触に私の心臓が、はち切れんばかりに高鳴っています。
『始めますね。』
腰から肩にかけて念入りに時間を掛けて指圧していく。
部分によって手の平を使い、身体全体で体重を掛けたりして、背中の硬くなった筋肉をほぐしていきます。
『おお。気持ちいいな。』
『はい。ありがとうございます。心行くまで御堪能下さい。』
『ああ。お言葉に甘えるよ。』
30分くらいが経過したでしょうか?。
『ふっ!。ふっ!。ふっ!。』
汗を流しながら、誠心誠意。真心を込めて旦那様にマッサージしていると。
『睦美。』
小さな。
近くにいる私だけに囁いている声で旦那様が私を呼びました。部屋には私達しか居ませんので十分に聞こえる声量です。
『えっ!。はい?。どうしましたか?。痛かったですか?。』
『…いや、気持ちいいよ。何て言うかな…。こんな体勢で言うのも何だが…。』
『?。』
『いつも、ありがとう。愛してるよ。』
『っ!?。』
旦那様のその言葉に身体がバランスを崩しそうになったのを必死に耐える。
完全に不意打ちです!。旦那様!。
『その…旦那様…私も…心底から…愛して…います。』
『………。』
あれ?。
旦那様から反応が…ない?。
『あっ…。』
『すぅ…。すぅ…。すぅ…。』
旦那様の顔を覗き込むと、微かな寝息と無防備な横顔が確認できた。
『あら?。ふふ。旦那様。ごゆっくり、お休み下さい。』
私は旦那様が起きない程度の力でマッサージを続けた。
~~~~~
旦那様が寝ていた時間は1時間程。
その間にマッサージは終ったので背中のオイルを拭き取り、小道具を片付ける。
旦那様の身体が冷えないようバスローブを被せます。
幼く見える横顔…頬に接吻をしたのは秘密です。
旦那様が起きた後は、夕食を2人で頂きます。
献立は旦那様の好物を中心に用意しました。
肉じゃが、ハンバーグ、青椒肉絲。
旦那様白米がお好きなので、ご飯に合うメニューを選んでいます。
因みに、デザートはプリンです。
『旦那様…。』
『睦美…。』
食後の後、少し時間が出来たので私は旦那様の腕の中にいます。
座椅子に座る旦那様の膝の上に座り互いに触れ合う。
時折、接吻を交わし、手を握る。私は終始、旦那様の厚い胸板に手を当て体重を預ける。その私の腰に手を回した旦那様の力強い腕に引き寄せられ、耳元で甘く囁かれる。
『旦那様…。愛しています。』
『俺もだ。これからも…ずっと。』
少し恥ずかしい台詞も旦那様のお顔を見ながらなら言えちゃうんです。不思議です。恥ずかしさよりも伝えたい気持ちが上回って…自分を抑えられなくなります。
『旦那様。そろそろ湯浴みの時間です。』
『そうか。もうそんな時間か?。』
『はい。』
私達は2時間近く触れ合っていたようです。
時間が経つのがとても早く感じます。
『旦那様。先にお入り下さい。』
『ああ。睦美の部屋の風呂は風情があって好きなんだ。』
私の部屋のお風呂は旅館の個室にあるような木製の床と石造りの浴槽で出来た特注です。
湯浴みが趣味の私の贅沢で、部屋の改装の際にお願いして造って貰いました。
『はい。御堪能下さい。』
浴室に入っていく旦那様の後ろ姿を眺めながら私は早くなる心臓の鼓動を必死に耐えていた。
~~~
『ふぅ…。極楽~。極楽~。』
旦那様の声が浴槽から聞こえます。
コンコン。
軽く扉をノック。
『ん?。睦美か?。』
『はい。旦那様。湯加減は如何ですか?。』
『丁度良いよ。気持ちいい。睦美がマッサージしてくれたお陰で全身蕩けそうだ。』
『ふふ。そうですか。こちらにバスローブを用意しました。上がりましたらこの御召し物にお着替え下さい。』
『おっ。サンキュ。何から何まで、ありがとな。』
『………。』
『睦美?。』
突然、無言になる私を不思議に思った旦那様が心配そうな、戸惑いの声を上げた。
『旦那様。』
『あ、ああ。居たのか。急に声がしなくなったから驚いた。』
『失礼しました。少し…心の準備をしておりました。』
『ん?。何の準備?。』
『失礼します。』
私は意を決して旦那様のいる浴室に進入した。
タオル一枚を身体に巻いて、旦那様の前に飛び出した。
『おっ!?。ど、どうした?。急に入ってきて。』
『その…お風呂でもご奉仕させて頂きますね。その…お背中お流しします。』
『あ、そういうことか。なら、お願いしようかな。』
『はい。』
湯船から立ち上がり露になる旦那様の全身。
一糸纏わないそのお姿は私の緊張を加速させる。
ああ…。逞しいお身体…。
私の視線は…徐々に…旦那様の…下半身へ…。
『睦美?。』
『ひゃい!?。』
『流石に、そんなに凝視されると恥ずかしいぞ?。』
『し、失礼しました。』
『もう、何回も見てると思うんだけどな?。俺の身体なんて、そんなに顔を赤くするモンでもないだろう?。』
『そんなことありません!。』
つい、大きな声を出してしまう。
『旦那様のお身体は…とても逞しくて、綺麗で…格好いいです…。その身体に…腕に…抱かれたい欲求と抱かれた時のことを考えただけで…私は…もう…。』
『お…おい…。』
一気に喋ったせいか、頭に血がのぼったせいか。急にくらくらして体勢が崩れてしまいました。…が、旦那様が空かさず私の身体を抱きしめ支えて下さいました。
その時に、私の身体に巻いていたタオルが落ちたことに、まだ…私は気づいていませんでした。
『大丈夫か?。』
『あ、はい。失礼しました。つい、興奮してしまいました。』
『まぁ、なんだ…。そんなに俺の身体のことを褒めてくれてありがとな。けど、俺は睦美の身体も綺麗だと思うぞ?。小柄だけど柔らかくて、年相応に凹凸があって。いつまでも抱いていたくなる。離したくない。』
『旦那…様…。嬉しいです。私も離れたくありません。』
『なぁ。睦美?。』
『はい?。』
『今日1日。色々尽くしてくれて、ありがとうな。睦美と一緒に過ごしたデート、楽しかったよ。』
『…はい。私も、楽しかったです。』
願わくばこれからもずっと、お慕い致します。
『けど、これからの…風呂を出た後の時間は俺にくれないか?。』
『これから?。』
『ああ。睦美を抱きたい。』
『っ!?。』
『朝まで愛し合おう。』
その言葉で、私の全身が熱くなるのを感じました。
恥ずかしさと嬉しさと。様々な感情が入り乱れて…。
『…はぃ。旦那様のお心のままに…。』
短く、そう答えるしか出来ませんでした。
『ありがと。』
旦那様が軽く唇で私の額に触れる。
『じゃあ、取り敢えず身体にタオルを巻いてくれないか?。このままじゃ、風呂から出る前に俺の理性が吹っ飛びそうだ。』
『え?。』
私は視線を自分の身体に向ける。
そこには一糸纏わない姿で旦那様の腕に包まれている自分の身体が。隠すべき部位も露になり、旦那様には丸見えで…。
その瞬間、興奮で熱くなった身体が臨界を迎えた。
『ひゃぁぁぁぁぁあああああ!?!?。あぅ…。』
一際大きな私の悲鳴がお風呂場に響き。
私は、そのまま気を失ったのでした。
次回の投稿は13日の木曜日を予定しています。
次話からストーリーを進める予定です。
各キャラクターの1日デートのお話は、
キャラが多く、少し長くなりそうなので番外編という形で書いていきたいと思っています。