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第135話 夜の見回り 悪組

 深夜2時。

 黄華扇桜の支配エリア内に潜入する人影があった。侵入先は隣接している元赤蘭煌王の支配エリアから。人数は5人。狙いは黄華扇桜に貯蔵された物資か、それとも、生活している女性を狙っているのか…。

 ここ最近、侵入してくる者達が極端に増えたのだが、大抵がこのどちらかの理由なのだ。

 そして、今日も…。


『上手いこと潜入できましたね、兄貴。』

『ああ。』

『昼間は別のグループが侵入に失敗したみたいですが、夜なら奴等も油断している筈。現にここまで容易に侵入出来てますし。』

『ああ。』


 兄貴と呼ばれた男。おそらくリーダー格なのだろう。一人だけレベルが100を越えている。


『しかし、兄貴。どこか具合でも悪いんですか?。いつもと様子が違いすぎるッスが?。』

『いや。なんともない。』

『そ、そうですか?。なら良いんですが?。』


 その男の性格は、普段は豪胆。そして気随気儘。己の決めたことは何がなんでも実行し、手段を選ばず成し得て来た。今回の侵入も、その男の独断で決められ、レベルの低く弱いプレイヤーを拉致し高値で売り払うのが目的であった。彼等が耳にした噂では、黄華扇桜は女性のみで構成されたギルドであり、平均的なレベルも六大ギルドとは思えない程低いという。そして、何よりも最近になって目撃される女性が増えたということ。しかも、目撃される女性全てが美女だらけと来た。これは金になる。そう思い立っての行動だった。自分たちよりも強く、巨大なギルドに取り入るチャンスとばかりに潜入を決行したのだった。

 しかし、昨日からリーダーの男の様子がおかしかったことに他の4人のメンバーは気がついていた。質問に対する応えには短い返事でしか返してこない。時には周囲の様子を眺め何かを探しているような行動を。1人の時は何かをブツブツと呟いていたりと…まるで人が変わってしまったようだった。


『兄貴…アレを見てください。誰か居ますぜ?。』

『ああ。』

『男?。』


 男達は前方からゆっくりと近付いてくる男に気が付いた。生気の無い表情、目の下のクマ。ボサボサの黒髪。動きからして雑魚そうな気配を纏っている猫背の男だった。


『ははは。何だ?。お前。殺されに来たのか?。』

『悪いことは言わねぇ。とっとと帰りな。俺達は優しいからな。今、目の前から消えれば見逃してやるぞ?。』

『女だけと聞いていたんだが…もしかして俺達と同じ目的か?。』

『ははは。そうかもな。やめとけ。お前ごときじゃ女どころか子供にすら殺られちまうぞ?。』

『あーーーーー。』


 猫背の男…クロノフィリアの矢志路を格下と判断した男達が次々に罵声を飛ばす。しかし、リーダーの男だけは矢志路を視界に捉えたまま薄気味悪い笑みを浮かべていた。


『…はぁ…。俺が出るまでもないな。おい、お前達に任せても良いか?。血が勿体ねぇ。』


 暗がりに向かって声を発する矢志路。


『うん。任せて!。矢志路君!。』

『お任せください。』

『ぅん。雑魚狩り。』


 建物の陰から現れる3人の少女。

 黒璃、聖愛、暗の3人だった。


『へへへ。何だ?。もう女をゲットした後かよ?。』

『しかも、随分と上手く躾た様子だぞ?。』

『上玉。ばっかりかよ…。てか、あの帽子のガキは男か?。女か?。』


 中性的な暗を見て男達が笑う。


『むっ…。僕…。女の子…。』


 男の言葉に普段から無表情の暗の顔がピクリと動く。


『ご主人様。黒璃。聖愛。僕がやって良い?。』

『うん。良いよ。』

『ええ。貴女の力を見せてあげましょう。』

『構わん。だが、あの真ん中の男は殺すな。連れ帰る。』

『ぅん。』


 暗が前に出た。


『ははは。一番弱そうなガキが出てきたぞ?。』

『おい。坊主。とっとと帰ってママのおっぱいでも飲んでな。』

『そうそう。痛い思いをしたくなければな。』


 笑う男達。

 この世界において、相手の強さを察することが出来ない者は生きてはいけない。


『坊主…また男扱いしたの…。スキル【限定成長】。』


 暗がリスティナの力で新たに手に入れたスキル。一時的に肉体を自らが望んだ年齢に成長させるスキルで発動時に全身を巡らせた魔力量によって効果時間が変わる。時間の経過で元の年齢に戻る。


『どう?。これでも、僕が男だって言えるの?。』


 成長した暗は、つつ美並のスタイルを持つ女性へと成長した。見た目だけの美しさなら女版の閃にすら負けていない程の美女だ。

 元々、男の子が着るような服装の暗。帽子とフード付きのパーカー。そして、短パン。それが、身体の急激な成長に耐えられず裂け、破れていく。あられもない姿になった暗を見て、その場にいた全員が驚愕した。

 少し前の話。初めて暗のこの姿を見た矢志路、黒璃、聖愛は各々違う反応を示した。矢志路は普段からやる気の感じられない瞳を見開き言葉を失った。黒璃は唯一自分よりもスタイルがお子様だと信じていた人物に裏切られ膝から崩れ落ちる。聖愛は唯一の自慢だったスタイルの良さというアイデンティティを奪われ気を失った。

 男達も暗の美女っぷりに言葉を失っていたが次第に目を充血させ鼻息が荒くなっていく。


『こいつは…やべぇな。』

『ええ。こいつを差し出せばどんな大ギルドとも交渉が出来ますぜ?。』

『なぁなぁ。その前に俺達で楽しんでも良いよな?。』

『そうだな。味見くらい良いよな。なぁ、兄貴。』

『………。』

『兄貴?。』


 暗の姿に興奮を抑えられない子分の男達とは別に腰の短刀を鞘から抜くリーダーの男。


『悪いけど。僕はご主人様のモノなの、君達の好きにさせる訳にはいかないの。で、君達はそろそろ気付くべきなの。』

『は?。』

『え!?。ちょっと動けないぞ?。』

『どうなってんだこれは!?。』


 いつの間にか男達の身体は地面から生えた赤黒い無数の腕に握り締められていた。


『スキル【呪血千手腕】。』

『ぐっ…ぐるじい。』

『だずげでぐれ…。』

『いぎが…がらだがいでぇ…。』

『がぁ…ごぉ…ぐぉ…。』


 次々に生える腕は重なり合い、締め付けは徐々に強くなる。全身にかかる圧力により、呼吸も出来ず、全身の骨は砕けていき、最後は全身から血液を噴き出し原型を留めない肉塊になっていた。

 

『終わりなの。僕を男の子呼ばわりした罰なの。血だけは美味しく頂くの。』


 破れた服装のまま嬉しそうに矢志路へ駆け寄ってくる暗。


『ご主人様。終わったの。どう?。僕。凄い?。』

『ああ。良くやった。強くなったな。』


 矢志路は羽織っていた黒いマントで暗の身体を包む。


『ありがとう。ご主人様。ちょっと寒かったの。』


 身体は成長しても中身は変わっていない暗。元々、羞恥心が欠落している性格なので自分の姿がどれだけ周囲から異様に見られるかなどは考えていないようだった。


『で、あの男も捕らえたと。』

『うん。動きを封じただけなの。殺してないの。』

『ならそのまま連行だ。叶さんのところに運ぼうか。』

『うん。』


 4人は男を捕縛し、そのままの足で黄華扇桜と赤蘭の支配エリアの境にある教会へと足を運んだ。


ーーー


ーーー教会ーーー


『成程。この方が…。』


 私の前に横たわる一人の男。

 幽鈴さんのスキルで身動きを封じられた男。5人組のリーダーらしき立場の男だった。ここ最近増えている黄華扇桜の支配エリアへの余所者の無断での侵入。その殆どが5人組であり、そのリーダーの男には…ある特徴が見受けられた。

  

『ええ。そうなのよ、叶。複数人でこのエリアに侵入して来たのだけど。他の男性達とは違ってこの方だけが別の目的で侵入してきていたみたいなの。』

『ふむ。最近、この黄華扇桜のエリアに踏み入れようとする方々の数は日に日に増え続けている。目的は、その大部分が女性の誘拐、もしくは物資の強奪でありました。』

『ええ。その通りよ。けど、リーダー格の方は違った。目的…。では無いわね。彼等は既に 壊されて いた。』


 そう、彼等の意識は破壊されていた。

 操り人形。ある行動を遂行するための道具に成り果てていたのだ。


『【バグ修正プログラム】ですね。』

『ええ。まったく嫌になるわ。これ、彼等を利用して私達のこと監視してるのかもしれないわ。』

『監視…よりも偵察の方が近いかもしれませんね。我々にリスティナがついた今、敵側からすれば、我々がどのようにリスティナの加護を受け強化されたのか…いち早く情報が欲しいと思いますので。』

『そうね…。私の新しいスキル【邪心金縛】は、捕縛中の対象を外部干渉から守る効果もあるから、ここを盗み見されることは無いわよ。』

『ええ。素晴らしい能力です。邪なる心。欲望に染まりし者を束縛し身動きを封じるスキル。敵対心などの敵意はもちろん、怨み、憎しみなどの負の感情にも効果が及びますしね。』

『ふふ。あの時のことを思い出したわ。』

『その能力を与えられた日のことですね。』

『ええ。灯月ちゃん達はやっぱり面白いわ。』


ーーー


『…という能力なの。』


 私は新たに得たスキルを皆に話した。種族スキルを見直し、より実戦で使える能力をと考えてリスティナちゃんにお願いしたのだ。


『素晴らしいスキルですね!。幽鈴ねぇ様!。つまり、そのスキルで身動きが止められた方は、7つ集めたら願いが叶う玉が出てくる物語に登場する空飛ぶ雲に乗れるか乗れないか、ということですね!。』

『例えが独特だよ…灯月。』

『では、幽鈴ねぇ様。私達にそのスキルを使ってください!。』

『ええ!?。何でだよ?。』

『ふふふ。これでもし動けなくなる方がいましたら、その方は、にぃ様に邪なことを考えているということ!。つまり!。ムッツリスケベということ!。』

『ええ…。それは灯月じゃないの?。いっつもエッチなことしか考えてないじゃん。』

『ええ!。そうですよ!。いつも考えています!。』

『そんなハッキリ…。』


 くすくす。面白いわ~。


『わ…私も?。』

『私も?。』

『ワシもか…。』

『ええ!。勿論です!。この場にいるクラブの皆さん全員ですよ!。』


 例の閃ちゃん大好きクラブね。

 この場にいるのは…灯月ちゃん、代刃ちゃん、睦美ちゃん、智鳴ちゃん、氷姫ちゃんの5人ね。皆、閃ちゃんが大好きなのは伝わってくるわ。くすくす。どうなるのかしらね。


『じゃあ、やるね~。』

『お願いします!。』

『スキル【邪心金縛】。』

『『『『『!?。』』』』』


 あらあら。これは意外ね。


『う…動けないよ…。』

『うう…私も…。』

『あらあら~。動けないということは~。代刃ねぇ様に、智鳴ねぇ様~。その心は~?。』


 動けなくなったのは代刃ちゃんと智鳴ちゃんか~。灯月ちゃんは意外ね。


『どうしてさ!。何で僕なの?。灯月の方がヘンタイなのに!。』

『ふ、ふ、ふ。私は確信しました。このスキルは 純粋 な心の持ち主には無効となることを!。』

『ええ…。何それ?。』

『例えばですね。氷姫ねぇ様。』

『ん?。何?。』

『にぃ様のことをどう思ってますか?。何でも1つ、にぃ様にお願いできるとすると何をお願いしますか?。』

『閃のことは大好き。お願い出来るなら…私のことを閃の好きにして欲しい。この身体は、閃のものだから。』

『…という訳です。純粋に、にぃ様のことだけを想っています。』

『………。』

『では、睦美ちゃんにも同じ質問です。どうですか?。』

『ワ、ワシは…その、旦那さ…閃が望むことは全て叶えてやりたいと…思っただけじゃ。』

『はい。一途に、にぃ様を想ってのことですね!。素晴らしいです!。』

『よせ、照れるわ。』


 くすくす。やり取りだけで面白いわね。


『そして、代刃ねぇ様と智鳴ねぇ様にも同じ質問です。どうされますか?。』

『う…。言いたくない。』

『私も…。言いたくないよぉ。』

『ふふふ。わかります。わかります。縛られて鞭で打って欲しいとか。』

『ヴァッ!?。』


 凄い声出てるわ。


『赤ちゃん扱いされて、色んなエッチなことされたいとか。』

『きゃぁぁぁぁぁあああああ!?!?!?。』


 あらあら。可愛い悲鳴ね。


『隠すことはありません。にぃ様なら何でも叶えてくれます!。』

『もう!やめてよ!何で!?。何で知ってるのさ!?。おかしいよ!。何で!。灯月は動けるのさ!。こんなにヘンタイなのに!。』

『くすくす。甘いですよ?。代刃ねぇ様。』

『な、なに?。』

『私は 純粋なヘンタイ なので。』

『ええ…。』

『私にとってエッチなことは日常生活の一部!。何も特別なモノでもないのです!。』

『…ええ…。』


 唖然とする代刃ちゃん。

 見てるだけで楽しいわ。


ーーー


『…ということがあったのよ。ああ、前に言ったことあったわね。』

『ええ。正直、私が聞いても良い内容なのかは分かりませんが。知ってはいけない乙女達の秘密を垣間見てしまったようです。』

『ふふふ。あの娘達と一緒にいると飽きないわ。楽しいことばかりよ。』

『貴女が嬉しそうにしていると私も嬉しいですよ。』

『ええ。ええ。これからも楽しいことが沢山ありそうよ。ワクワクするわ。』


 そうですね。貴女には笑っていて欲しい。独り寂しく車椅子で散歩している貴女を…私はもう見たくありませんから。


『叶さん。良いか?。』


 その時、矢志路君と黒璃さんと聖愛さん。そして、大人な姿に変身した暗さんが教会の扉を開きました。身動きを封じられた男性を1人引き連れて。


『その方は、もしかして?。』

『ああ。今さっき捕獲した。このエリアに侵入しようとしていた5人組のリーダーだ。』

『そうですか。こちらに。幽鈴さん。』

『ええ。任せて。暗ちゃん。後は任せて。』

『うん。』

『スキル【邪心金縛】!。』


 赤い手に包まれた男性が解き放たれると同時に幽鈴さんの金縛りで再び動きが封じられる。


『ありがとうございます。ふむ。やはりですか。』


 男性のステータスを確認する。

 今までの方々と同じく、彼のデータも破壊され【バグ修正プログラム】の文字が浮かび上がっている。


『そうですか…。ありがとう。矢志路君達。今日は他の方に任せて休んでください。』

『ああ。そうさせて貰うよ。行くぞ。』

『『うん!。』』『はい。』

『ああ。待って。はい。これ。頼まれていたモノよ。傷まない内に飲んでね。』

『あっ!。はい!。ありがとうございます。幽鈴さん!。』


 幽鈴さんから冷却BOXを受け取る黒璃さん。嬉しそうに矢志路君の後ろに走っていきました。

 教会を出ていく矢志路君達。後のことは、別の見回りの方に任せましょうか。


『叶。どうするのかしら?。これ?。』

『ふむ。無凱に報告…と言いたいところですが。先に私なりに少し調べてみましょうか。この怪しいスキルについて。』

『ふふ。それも、楽しくなりそうね。』

『ええ。それはもう。』


 身動きの取れない男性を見て笑みがこぼれる。


『さぁ。解剖を始めましょうか。』

『ええ。ええ!。楽しみ。』


ーーー


 教会を出た俺達は夜の公園を訪れていた。

 俺達以外の人の気配はなく、静寂に包まれた公園は不気味さと寂しさを与えてくるだろう…通常の感覚を持つ者ならば。俺達は吸血種。夜の住人だ。夜の静寂など、生活の一部でしかない。普通の人間にとっての日光と同じ感覚だろうさ。


『さて、仕事は終わりだ。』


 俺がベンチに腰を下ろすと黒璃が俺の前に立つ。


『矢志路君。お腹すかない?。私、お弁当を作って来たよ!。』

『ああ。そう言えば起きてから何も食べてなかったな。』

『私もです。』

『僕もです。』

『うう…大人な暗ちゃんの身体…破壊力が凄いよ…。』

『ふふふ。ご主人様も満足してくれますか?。』

『どんな姿でも俺はお前を愛しているぞ。』

『んん…ご主人様ぁ~。』

『ああ!?。ズルい!ズルい!!。私も!。』

『私も愛しています。ご主人様。』

『勿論だ。もうお前達に寂しい思いはさせないと契約しただろう?。存分に…思うままに生きるが良い。』

『うん!。』

『はい!。』

『うん。』


 暫く抱き合った後、黒璃がシートを地面に敷き始めた。


『手伝いますよ。』

『僕も。』

『うん!。ありがとっ!。2人共。』


 さながら、夜のピクニックと言ったところか。ベンチに座る俺と、その横に暗が。シートに黒璃と聖愛が座る。


『じゃーん。今日はサンドウィッチでーす。矢志路君は飲み物どれにする?。』

『そうだな。今日はB型にするか。』

『うん!。わかった。』


 幽鈴さんに貰った冷却BOXから取り出される輸血パック。パックの表面にはB型と表記されていた。中に入っている血液をアイテムBOXから取り出したグラスに注いでいく。


『はい。矢志路君の分。』


 グラスから香る濃厚な鉄の匂い。グラスを傾け色味を確認する。美しい赤が月明かりに照らされ輝いて見える。少量を空気と共に口の中へ。


『ああ。上手いな。生きの良い少女の血の味だ。』

『流石。幽鈴さんだね。新鮮な血がすぐに手に入っちゃうなんて。聖愛は何にする?。』

『では、O型でお願いします。』

『おっけー。はい。どうぞ。』

『ありがとうございます。は~。美味しそう。』


 今度はO型と表記された輸血パック。同じくグラスに注ぎ、聖愛に渡す。それをゆっくりとした動作で口に運ぶ。


『はぁ~。甘くて美味しい。さっぱりとした口当たりに仄かに甘いです。』

『僕はAB型。』

『はいはい。ちょっと待ってね。…はい。暗ちゃん。』

『うん。ありがと。黒璃。』


 静かに少しずつ口に液体を流し込む暗。


『うん。美味しい。炭酸みたい。』

『じゃあ、私はA型にしよう!!。』


 自分用のグラスに血液を注ぐ。


『いただきまーす。うん。ちょっと苦味があるけど癖になる味だぁ。』


 各々のグラスに注がれた血液を堪能した後、黒璃が用意したサンドウィッチを食べる。


『相変わらず、黒璃の料理は美味いな。それに…あの頃より腕を上げたか?。』

『うん。睦美ちゃんに料理を教えて貰ってるんだ!。灯月ちゃんも、たまに教えてくれるし!。』

『成程。あの2人なら料理も教える腕もピカイチだ。仲良くやれているようだな。』

『うん!。皆良い人!。特に光歌さんが!。』

『へえ。珍しいな。』


 あの人見知りがね。気に入られたようだな。

 他愛のないコイツらとの会話を楽しみながら俺達にとっての昼食を楽しんだ。朝陽が昇る夜が来るまで…。

次回の投稿は2月2日を予定しています。

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