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番外編 クロノフィリアのクリスマス

このストーリーを読んでくれた方。

どうもありがとうございます。

今回は番外編という形で、少し未来のストーリーを書きました。若干ネタバレを含みます。

これからも読んでくれると嬉しいです。

また、年末年始は投稿が不規則になると思います。


『メリークリスマス!!!。』


 パンパン!パンパン!。

 弾ける音を立てて、お手製クラッカーが紙吹雪を巻き上げたのを合図にクリスマスパーティーの始まりを告げた。

 12月24日。時刻は18時。

 世間一般で言うところのクリスマスイブだ。

 この世界、リスティールには、そんな記念日も、それに連なる出来事も存在しない。

 けれど、俺達は自分達が生きていた世界を…時間を忘れることも、無かったことにすることもしないと決めた。

 過去を無かったことに出来ないように、生きた記憶も時間も大切にしていこうと皆で決めた。

 リスティールには、暦の概念はない。

 だから、俺達は自分達で暦を作り1年を再現した。奇跡的に、リスティールの1年の周期と1日の時間が合致したことは幸運だった。

 そして、今日はクリスマスだ。

 何日も前から、全員で手分けをし準備を進めた甲斐があり盛大なパーティーを開くことが出来た。

 思えば、人数もかなり増えたからな。

 俺達、元クロノフィリアのメンバーに、元六大ギルドの面々が揃えば、用意した会場も人で溢れている。まあ、充分な広さの会場は用意できたので問題ないのだが。

 会場の中心にはバイキング形式で様々なご馳走が並び。各テーブルにも、豪華な料理が並んでいる。

 各ギルドの腕自慢達が集まれば、料理の質も量も圧巻の一言だ。

 

 パーティー会場に集まる元クロノフィリアの仲間達と俺達の仲間になった各ギルドのメンバー達。

 あの世界に居た頃は、こんな状況になるなんて予想もしてなかったが…うん。悪くないな。

 今では、ゲームシステムとしてのクロノフィリアではなくなったが、俺達の心は繋がっている。それが俺達…クロノフィリアの絆だ。


『にぃ様!野球拳しましょう!。』


 パーティー開始のクラッカーが鳴った直後に横に居た灯月がそんなことを宣った。


『いや、やんねぇよ。』

『なっ!?何故ですか!?にぃ様!?。』


 俺の一言に驚きを隠せないでいる灯月に驚きを隠せない俺。


『てか、色々と早ぇし、まだ料理すら口にしてないのに、何でいきなりミニゲームよ?しかも野球拳?クリスマス関係ねぇし。』

『にぃ様の裸が見たいからです!。』

『何で俺が負けること前提だよ?嫌だよ。せめて、パーティーの中盤とか終盤とかに持ってこいよ。』

『むぅ。そうですね。仕方がありません。折角、代刃ねぇ様もやる気になったというのに…。』

『はっ!?。』


 あの恥ずかしがり屋の代刃が?。


『おい!閃!俺っちといっちょヤろうぜ!。勿論お前は女の格好でな!。』

『ええ…。』


 灯月の後ろには滅茶苦茶着込んでる男の姿の代刃がいた…。


『何をしてるんだ…お前は…。』

『なぁに、昨日は1日中、燕と過ごした名残というか…癖というか…抜けきれてなくてな。』


 元赤蘭のメンバーと談笑している燕と目が合った。どうやら、談笑しながらも代刃のことを目で追っていたようだ。

 その表情は嬉しそうであり、恥ずかしそうであり、頬は真っ赤に染まっていた。


『で?。そのお前が何故に灯月の口車に乗っているんだ?。』

『男の姿で誘えば女の閃とバランスが取れるだろう?ついでに、勝てば今日の夜に閃を優先的に回してくれると、灯月に言われてな!だから、乗ったのさ!。』


 横の灯月はどや顔で俺を見てるし…仲が良いなコイツ等…。


『悪いがヤル気はねぇよ。お前達も、まずはパーティーを楽しめ。』

『譲らないのですか?。』

『譲らない。まあ、気が変わって別の遊びがあればするかもしれないが…。』

『うぅ~。分かりました。名残惜しいですが、ここは一時退散します。ですが、にぃ様!諦めませんよ。必ず、にぃ様に野球拳をさせてみせます!。』

『何故に、拘る、野球拳。』


 灯月が必死過ぎて怖いんだが…。


『まぁ、皆の前だと恥ずかしいからな、後で部屋でならやっても良い…かも?。』


 灯月を見てると何とかしてやりたくなる気持ちが湧いてくるんだから…兄というモノはつくづく妹に弱い生き物ようだ。


『ほっ!本当ですか!にぃ様!。』

『まぁ…気が向いたら…な。』


 食い気味が凄い。押し倒されるんじゃないかというくらいの勢いで灯月が迫ってきた。


『やりました!部屋でなら代刃ねぇ様も女性の姿でやれますしね!。』

『ああ!俺達だけなら恥ずかしくねぇからな!。』


 やべぇ、失敗だったか?。

 凄ぇ、嫌な予感が…。


『にぃ様。』

『何だ?。』

『私は、頭がパーなのでパーしか出せません。他の出すモノの名前すら出てこないくらいのパーなんです。ですから、にぃ様は存分にチョキをお出しください。』

『チョキ、言っとるがな…。』

『ご安心ください。にぃ様は1度だけ私に勝てば良いのです。そうすれば、私は透かさず全裸となるでしょう!。後は…うぅ。淑女な私ではこれ以上先の事は言えません…。』

『淑女は全裸何て言葉を兄に言わないんじゃないか?あと、一回負けるだけで全裸って…お前部屋に戻ったらどんな格好をするつもりなんだよ?。』

『それはもう!古代ギリシャ神話の絵画などに出てくる姿に決まってるじゃないですか!。』

『布1枚か…最初から全裸かってことかい!。』

『流石に最初から全裸では、色気がありませんのでちゃんと布を纏いますよ!正確には、にぃ様のシーツですが。』

『おい、何で俺のシーツを身体に巻くんだ…。』

『それは勿論そのままベッド・イン!するためです。今夜はクリスマスですから!。』

『淑女設定どこ行った?。』

『せ、閃!僕はちゃんと服を着るよ!だから、僕とも野球拳しようよ!。』


 灯月の暴走に突っ込みを入れていたら、女の姿に戻った代刃が俺の裾を掴んだ。


『因みにどんな服を着てくるんだ?。』

『大丈夫!水着にするから!だから閃は僕に2回勝ってね!。』

『何で水着なんだよ!。』

『え!?もしかして…閃は…下着姿の方が良かった?確かに布面積は同じくらいだけど…流石にクラブの皆の前だからさ。恥ずかしいよ。…はは、閃のエッチ。でも、好きだよ!。』

『勝手に自己解決して盛り上がるな。お前、どんどん灯月に似てきてないか?。』

『え?そうかな?流石に灯月みたいにぶっ飛んでないよ?。』

『お褒めに預かり光栄ですわ!。』

『今の褒めてたか?。』


 灯月は代刃に見えないように俺に親指を立てGOODのサインをしていた。

 代刃の奴…洗脳でもされてるんじゃないか?。


『はぁ…まぁ…色々と後でな。』


 居心地が悪くなりバイキング形式で並んでいる料理の元へ。各テーブルにも料理は並んでいるが、こっちは軽く摘まめるモノが中心だ。

 一口サイズにカットされたケーキをいくつか見繕い、皿に乗せていく。 


『こんなもんかな?。』


 2枚の皿に盛った料理を隣のテーブルへ運んでいく。


『翡無琥、瀬愛。ケーキ持って来たぞ。』

『あっ!お兄ちゃん!ケーキ!?食べる!。』

『お兄ちゃん。ありがとうございます。』


 戻ってくると、隣の席では何故か灯月と代刃がじゃんけんを始めていた。


『あら?閃君。どう?パーティーは楽しめてる?。』

『閃君!最高だよ!どんなに酒を飲んでも黄華さんと柚羽ちゃんが怒らないんだ!クリスマスは最高だね!。』

『勿論、飲みすぎたら止めるわよ。』

『はい!無凱さんは既にリーチがかかっています!。』

『え!?リーチ?。』


 黄華さんの両脇に翡無琥と瀬愛が座り、対面に無凱のおっさん。その両隣に柚羽と水鏡が座っていた。


『まあ、楽しんでますよ。一部暴走気味が居ますけどね。』

『ふふ。見てたわ。灯月ちゃんも代刃ちゃんも貴方と一緒に居られて嬉しそうよ。大事にしてあげてね。』

『はい。勿論ですよ。』


 もう…【あの時】のような2人…いや、皆の顔は見たくないからな。


『瀬愛も!お兄ちゃんと居る!。』

『私もです!。』


 瀬愛と翡無琥が立ち上がってアピールしてきた。状況を察し、黄華さんが席を立ち水鏡さんの隣に移動した。その黄華さん居た席に俺は座った。


『ほら、これ好きだったろ?持ってきたぞ!。』

『わぁ!ケーキ!キラキラで可愛いね!。』

『甘い香り、美味しそうです。』


 俺は1つをフォークで刺し、翡無琥の口に運んだ。


『ほら、翡無琥。あーん。』

『え!?良いんですか!?。』

『ああ、そのために持ってきたんだからな。その目じゃ食べづらいだろう?。』

『は…はい!お願いします!。あ~ん。モグモグ…えへへ。少し恥ずかしいけど、美味しいです。』

『良いな!良いな!お兄ちゃん!瀬愛もあ~んして!。』

『おう!良いぞ!瀬愛はこれだな。ほれ。あーん。』

『あ~ん。んーーー美味しいね!。』

『次は翡無琥だ。はい。あーん。』

『あ~ん。』


 2人へ交互にケーキを口の中に運んでいく。

 美味しそうに食べる2人を見ていると、俺も食べたくなってきた。1個貰うか。


『1つ。貰うな。あむ。モグモグ。』

『『あっ…。』』


 翡無琥と瀬愛の声がハモる。


『お兄ちゃん!間接キスです!。』

『はわわ…大胆ですね…。』


 ああ…2人はそういうの気にしちゃうか?。年頃なのかな?。


『にぃ様!。』

『閃!。』


 隣のテーブルにいた灯月と代刃が身を乗り出し俺の目の前に接近、その視線は俺の持つフォークへ。


『はぁ…はぁ…にぃ様!そ!の!フォークで私にもケーキを食べさせてくれませんか?。』

『ズルいよ!灯月!閃!僕もケーキが食べたいな。そのフォークで食べさせてよ!。』


 こっちはこっちで、恥じらいがないし…。

 翡無琥と瀬愛が怯えているし…。


『今はダメだ。翡無琥達のために持ってきたんだからな。お前達にも後で持ってくるから、待ってろ。』

『あ~ん、してくれますか?。』

『ええ…まぁ、うん。するわ。』

『やった!僕にもだよ!閃!約束だからね!。』

『テンション高いな…。』


 灯月と代刃が仲良くバイキングのコーナーに歩いていく。


『さぁ…無凱さん。もう1杯どうぞ。』

『うん。ありがとう。水鏡さん。でも、もうリーチがかかっているらしいんだ。ゆっくりペースで、ちびちび飲むよ。』

『ふふ。後で私の分もあげますよ。』

『本当かい!?。』

『ちょっと、水鏡!貴女は、ちょっと無凱に甘過ぎよ!』

『そうです!無凱さんの身体を気遣っているんですから、図に乗らせてはいけません!。』

『ええ。だって折角のクリスマスなんだし、無礼講よ。好きなだけ飲ませてあげましょうよ。』

『さっすが!水鏡さん!話がわかるよ!。』

『大丈夫です。飲んだ分はこちらにきちんと記録しています。その分は、いつも飲んでいる分から減らしましょう。』

『え!?。』

『因みに既に来年の1月16日分までは飲んでいますので。』

『ふふ。流石ね。水鏡!。』

『それなら安心ですね。』

『『『ふふふふふふふ…。』』』


 3人の女性に囲まれた、おっさんが助けを求めるような眼差しを向けてくるが俺は無言で視線を逸らした。


『翡無琥、瀬愛。あっちは見るなよ?取り憑かれる。』

『はい。』

『うん。』


 おっさんを放置し、隣のテーブルを見る。


『さぁ!賢磨よ!ウチが作った特製オムライスだ!練習したかいがあり、美味しく出来たと思うぞ!因みに隠し味はワサビだ!。』

『そうですか。美味しそうですね。頂きますよ。』

『ケチャップでは、物足りないと思ってな!その玉子の上に乗っている赤いのは特製タバスコだ!。辛さ30倍だぞ!。』

『ほぉ。それは良いですね。すぐに平らげてしまいますよ。』


 満面の笑みでオムライスが乗った皿を差し出す豊華さん。

 平気な顔で大量のタバスコと断面からこぼれる大量のワサビが混入したオムライスを完食する賢磨さん。

 最後の一口を呑み込んだ直後、賢磨さんの上半身に着ていた服が弾け飛んだ。


『おわっ!?賢磨…どうしたんだ?。』

『なぁに、大したことではありません。貴女の手料理がとても美味しかったのでね。身体全体で表現した…までです。』

『そ…そうか、服が弾ける程美味しかったのか…。』

『ええ。それはもう。ですが、少々食べ過ぎてしまったようです。お腹がいっぱいになると眠くなりますね。暫くこのまま動かないと思いますが、寝ているだけですので心配しないで下さい。』

『おっ…おう…分かったぞ。』


 そのまま賢磨さんは意識を手間無し座ったまま動かなくなった。


『おう!?こんなに早く眠りにつくとは…。疲れていたのか?。まぁ、このままでは風邪をひいてしまうからな。ウチのブランケットでも掛けておいてやろうか。』


 気を失っている賢磨さんの顔は晴れやかだった。


『さぁ。叶。まだまだあるから沢山食べてね。あ~ん。』


 対面席に座る叶さん。その叶さんに上機嫌で料理を食べさせる幽鈴さん。


『腕に寄りを掛けたわ!全部、叶の為を想って作ったの。ねぇ、叶の好きなものばかりでしょ?沢山…沢山食べて欲しいわ。はい。あ~ん。』

『はい。あ~ん。』


 既に食べ終えた皿が30枚近く積み重ねられていることを無視すれば微笑ましい風景なのだが…。

 どことなく、叶さんの目が死んでいるような…死んだ魚みたいになっているような…。


『まだまだ、あるからね。』

『はい。頂きます。』


 再び口に運ばれる料理を抵抗なく口に含む叶さん。目の焦点は合ってなく。虚空を見つめている。

 リスティナの能力で【実体化】が出来るようになった幽鈴さんは、抑えられない嬉しさを今回の料理にぶつけてしまったようだ。

 いや…良く考えたら毎回だな…。

 数分後、合計46皿の料理を食べ終え気絶した叶さんは…誇らしげな表情だった。


 毎度のことながら、パーティーの度に女性陣によって男達が倒れていくんだが…良いのか?これで。


『閃ちゃ~ん。』

『閃~。』

『ええ…。』


 何やら大きな箱が2つ会場に出現した。

 その箱の天辺に顔だけ飛び出た形で、つつ美母さんとリスティナが俺に笑みを浮かべていた。


『何だ!?これは…。』

『ふふふ~。クリスマスと言えばケーキでしょ~。バレンタインの時とは一味違うわよ~。』

『つつ美と妾。各々が用意したケーキだ!どっちが美味しいか…否、どちらの母が閃の心を掴んでいるのかを審査して貰おうか!。』

『どゆこと~。』


 つまり、食べ比べしろってことだよな…。


『てか、何で箱から頭だけ出てるんだ?。』

『ふふふ~。よくぞ聞いて~。くれました~。』

『隠していても仕方がないしな!見よ!妾の…。』

『私の~。』

『クリスマスケーキを~!。』


 ドカーーーンという音と共に四方に開く箱。

 その中から現れる…。ケーキをドレスのように着たリスティナと…生クリームを自分の身体に塗りたくったつつ美母さんだった。

 バレンタインの時から進歩してねぇ…。


『さあ~閃ちゃん~お母さんを食べて~。』

『閃よ!妾を食べよ!美味ぞ!。』

『………。』


 会場にいる全員が言葉を失っている。

 常識では考えられない程、派手なステージ衣装のようなケーキと一体化しているリスティナと、生クリームまみれの母さん…。


『はぁ…神無。』

『はっ!主様。』

『あれ、片付けて貰って良いか?。』

『心得ました。忍び部隊。』


 神無(分身体)といつの間にか完成されていた暗殺集団と化していた涼や柚羽の元部下達。

 彼等によって迅速に母さんとリスティナが会場から退場していった。


『おい!こら!何をする!。閃~。』

『閃ちゃ~ん。ママを食べてよ~。』


 何だかな~。

 静まりかえった会場。

 その空気を引き裂くように奥の扉が開く。


『閃!待たせたわね!あんたのサンタの準備が出来たわ!。』


 現れるミニスカサンタの光歌。


『なぁ。光歌。やはり、ワシは遠慮したいんだが…スカートも短いし…肩も出ておる…恥ずかしいぞ。』

『何言ってるのよ!絶対、閃は喜んでくれるんだから!女は度胸よ!。』

『うぅ…そうかのぉ…。』


 物陰でひそひそと聞こえてくる声。

 光歌と話しているのは睦美か?。


『じゃあ、私が先に行く。』

『あっ!?ちょっと…。』


 最初に飛び出してきたのは、無華塁だった。

 これまた、ミニスカサンタの衣装に髭と白い袋を携えて。


『閃。どう?。似合う?。』

『…ああ、可愛いと思う…けど…どうしたんだ?。』

『サンタクロースになれるからって光歌に進められた。』

『そうか…なれたか?。』

『うん。』


 満足気に俺から離れ黄華さん達の方に行く無華塁。本人が満足してるなら良いんだが…。

 てか、普段の方が露出が多い服を着てるせいか斬新さがあるな…。


『ほら、覚悟を決めるし!。』

『まっ!待てっ!。きゃっ!?。』


 光歌に引っ張られる形で現れた睦美。

 光歌や無華塁と同じミニスカサンタの姿。


『ひっ…だ、旦那様!?あの…その…えと…め、めりーくりすます…。うぅ…申し訳ありません…このような…はしたない姿で…。』

『…いや…めっちゃ可愛いぞ…。』

『そ、そうですか?。その…ありがとうございます。』


 普段の和服姿とは一転。

 露出の高い衣装と恥じらう姿は普段とのギャップがヤバいな…。


『さぁ!次は閃の番だし!これを…着なさい!。』


 光歌が満を持して取り出したサンタ衣装…かと思わせた。


『……紐……。』


 大事な部位しか隠せない面積の布が取り付けられた紐が握られてた。

 こんな好き好んで着るのは、つつ美母さんくらいだろう…。


『いや…着ねぇよ。』

『ええ。折角作ったのに…。』


 ガックシと膝をつく光歌。

 コイツには、着せ替え人形にされた記憶があるからな。もう、あんな恥ずかしいことは懲り懲りだ。


『光歌ねぇ様!ズルいです!何故、睦美ちゃんだけ呼ばれてるんですか!あんなに可愛い服を着てるなんて!私も着たいです!。』

『そうだよ!光歌!僕も閃に可愛いって言われたい!。』


 光歌に迫る灯月と代刃。

 その2人に溜め息と共に吐き捨てられる言葉。


『…はぁ…あんた達さぁ。閃の前だと、衣装なんてすぐに脱いじゃうじゃない。』

『『………確かに………。』』


 因みに睦美は、俺の隣で密着状態だ。

 衣装は恥ずかしいけど、俺の言葉が嬉しかったようで、離れようとはせず照れながら笑っている。


『だから、呼ばなかったし。』

『『そんな~。』』


 こうしてパーティーは続いていった。

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