表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/425

第117話 神と白聖連団

この物語を読んでくれている方々、

いつもありがとうございます。

これからも読んでくれると嬉しいです。

ーーー白雪ーーー


 代刃さん。

 彼女を初めて見たのは大会での試合。不思議な能力も含めて彼女自身にも興味があった。

 私はずっと彼女を監視した。

 ふふ。今、思うと完全にストーカーだったわね。

 控え室や観客席で見た彼女は、恋する乙女そのものだった。

 クロノフィリアで最も危険視されていた方。名前は…閃さん。

 彼を見つめる彼女の目は私の知っている女の子と同じ瞳…一緒に居るだけで幸せ、お話しできるだけで満足…でも、ちょっと物足りない。もっと、触れ合いたい。

 そんな想いの籠った輝きを秘めていたから。


ーーー


 世界が侵食された日から数日。

 私の周囲も例外なく混乱し大騒ぎになっていた。

 最初は、まだ現実を受け入れられていなかった能力を得た人達も、次第に能力の扱いに慣れ始め、能力を使うことへの恐怖心や自重心が薄れていった。

 最初は、小さな事件だった。

 能力を使用した窃盗事件。【触れたモノを部分的にすり抜ける】スキルによる金銭目当ての盗み。

 スキルの使用を考えなければ、日常生活の中でも有り得る事件だったでしょう。

 しかし、盗まれた側も元プレイヤーだったことが、事件の拡大を促進させた。

 盗まれた側からのスキルによる反撃により犯人は運悪く死亡した。殺人事件となった。

 その後、警察が駆け付けるもスキルを持つ能力者による抵抗と迎撃。

 能力を持たない警察では為す術は無かった。

 それを見た別の能力者達は学ぶ、

 

 身近に自分達を止められる存在はいないのではないか?。

 

 …と。

 そして、能力者による反乱、暴走が広まっていくこととなる。

 その証拠に…それが、全国各地で発生したのだから。

 世界が能力者に支配されるのに、時間は掛からなかった。


 私はせめて身の周りにいる力無い人達を守ろうとした。

 けれど、私の能力は【触れた対象のスキルをコピーする】スキル。1対1のタイマンなら良い…けれど、複数人を相手にするには力が足りなかった。

 数週間後、白蓮が拠点を構え、ゲーム時代の仲間を募る行動に出た頃…私は彼の元へ向かった。

 白蓮に出会い、銀ちゃんに出会い、十二騎士の皆と出会う。

 その頃には、私の大切な家族や友達…守りたかった人達は全員殺されていた。


 白蓮と一緒にギルド【白聖連団】として混乱し混沌とした世界を立て直すべく行動した。

 政府との接触に成功し現状の説明。協力体制を設立、共同で抗争の鎮静化を図った。

 いつの間にか、私達だけでなく、他の六大ギルドも集結し始めていることを知る。

 混沌とした世界は個人の暴走からギルド、団体、チームといった集団での争いへ移行していったのだった。


 現実世界で再開を果たした仲間達と共に争いを収め、混沌とした世界に秩序が生まれ始めた頃…奴等が現れた。

 神と名乗る8人の存在。

 その存在を目の当たりにしたのは、白蓮と銀ちゃん、私と、灰鍵さんの4人。

 彼等を見た瞬間、私は 死 をイメージした。強さではない。存在が違う。逆らえば殺される。恐怖を凌駕した絶望感に全身が支配された。 

 それは、白蓮を含めたその場に居た全員が同じ感覚だったのでしょう。

 全員が目を見開いて、呼吸をするのすら忘れていたのですから。


 彼等は要約すると、こう言いました。

 

 我々は、この世界と…世界に内包された全ての 生物 を生み出した創造神。

 現在、この世界はゲーム エンパシスウィザメントが リスティナ の手に支配権を奪われたことで、プレイヤーだったモノ達にデータが反映された。

 原因はリスティナ。切っ掛けはクロノフィリア。それが、この現状の始まり。

 クロノフィリアはリスティナの加護を受け、スキル【限界突破2】を獲得し、レベル150…神の領域へ至る力を手に入れた。

 彼等は、この世界の秩序を乱し、世界を崩壊させる存在。

 我々は、彼等を早急にこの世界から排除しなければならない。だが、リスティナの加護を受けた彼等を倒す手段が今の私達にはない。

 よって、時間は掛かが、ある条件が整い次第、クロノフィリアを全滅させ、新たな世界を創造し直す計画を立てている。

 その場合、現存の世界は消滅することとなる。

 そこでどうだろう?。

 君達が彼等の1人でも、この世界からの排除することが出来たのなら、世界のリセットを止め、君達が失ったモノを取り戻してあげよう。

 失った家族、友人、恋人、資産、権力、宝物…何でも授けよう。


 神にはクロノフィリアに対抗する手段として【バグ修正プログラム】というスキルがあるという。

 これは精神を壊し肉体の限界を越えた力を得られるというスキルだった。

 急造のスキルの為に実戦で使える段階では無いのだが、スキルの詳細を記載したデータを用意してあると言った。


 神の言動からは一刻も早くクロノフィリアを排除したいという感情が伝わって来る。

 クロノフィリア…白蓮の憧れ、そして、目標。

 彼等がこの状況を作り出した?。

 神の言葉はどこまで信じられるのか。現状では何も分からなかった。

 そもそも…神…本当に神様なの?。彼等から感じる存在感は確かに人間のモノではない。だけど…神…ってどういう存在なの?。

 その考えに至ったのは、私だけでは無かったようだ。隣に居た灰鍵さんも同じく疑心暗鬼だったのだろう。

 神に対し、信用できない。証拠を見せろと捲し立てた。

 その態度に応えるように神の1人が灰鍵さんをいとも容易く殺した…。心臓が爆発し、胸が花びらのように開き肋骨が飛び出した。

 そして、一瞬で傷が消え何事も無かったかのように蘇生し生き返ったのだった。

 その光景を目の当たりにした私達は、彼等の言葉を受け入れるしかなかった。

 目の前の人間ではない存在は、それが例え神であっても、神でなくても、私達全員が束になっても敵わないのだから…。

 

 我々は命を生み出すことも、殺すことも自由自在だ。それは生物に限ったことではない。星も、宇宙も、世界も、創造し破壊することが出来る。

 君達に残された選択肢は2つしかない。

 何もせず、世界と共に滅び、新たな世界に新たな命として根を下ろすか。

 我々と共にクロノフィリアを世界から排除し、この世界での未来を勝ち取るかだ。


 そんなの…選択の余地は無かった。神は全世界の人間を…世界ごと人質に取ったのだ。

 白蓮は苦渋の決断を迫られるも、神との共闘を選択し、クロノフィリアを…憧れた人達を殺す為に行動することとなった。


 最後に神は自分達のことを クリエイターズ と名乗り姿を消した。


 その後、白蓮はクロノフィリアの情報を集め始めた。

 神の言葉を鵜呑みにしたわけじゃない。白蓮は彼等の話を聞きたかったんだ。

 クロノフィリアが本当にこの世界を崩壊に導こうとしているのか…神の話がどこまで真実なのか…。

 その為に白蓮は様々なことを行った。

 現状判明しているクロノフィリアメンバーの手配書を作成。懸賞金に釣られた能力者にクロノフィリアがどうにかなるとは思わないが僅でも情報は入手出来るだろうと考えたからだ。

 

 神との接触は、その後…何度か行われた。

 

 その都度、人間を改造する技術や能力を向上させる技術が白蓮の元に伝えられていくこととなる。


 僅かずつの情報が集まるにつれ、次第に白蓮は思い知る。クロノフィリアの強大さに…。

 自分がどんな手段を講じても彼等を倒せない。彼等との接触も出来ないまま時間だけが過ぎていった。

 このままでは、神は問答無用で世界のリセットを始めてしまう。神は躊躇わないだろう。

 そうなれば今生きている全ての人々が消えてしまう。

 どんなに手を尽くしても予想される結果は変わらなかった。

 変えられない滅びへの道に絶望した白蓮は…この時に、目標を変えた。


 それが今回の…最後の戦いに繋がることとなる。


 1度だけ、カナリアという神の1人が白蓮に接触したことが決断への決定打となる。

 カナリアは言った。

 この世界を現状の形にした切っ掛けは間違いなくクロノフィリアだ。けれど、彼等は何も知らない。今も彼等は戦い続けている。力のない人達を守る為に。

 …と。


 以降、カナリアは白蓮の前には現れなかった。


 その時の白蓮はとても嬉しそうだった。

 こんなに笑顔だった白蓮はゲームの中で以来だ。

 自分が信じた彼等は、何も変わっていないと。彼等も巻き込まれた側なのだと。

 

 これが、私達がクリエイターズと出会った時の話。

 私はどこまでも白蓮についていく。

 例え待ち受ける結果が決まっていたとしても。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ