第109話 決着 睦美と瀬愛
豊華、光歌、白の3人は、緑龍絶栄の端骨によって操られた獏豊、多言、徳是苦と対峙していた。
戦闘が始まり10分弱。
豊華と光歌の遠距離からの魔力魔弾【獣神魔弾爪填銃】からの【獣爪早撃】と【十の円環】の【第3の魔弾】による、牽制を目的とした弾幕の中を雷の速度で駆け抜ける白。
これに対し、緑龍側の3人は獏豊を前衛に配置し、白との真正面からの白兵戦を選択した。
長い刃を持つ矛を自在に操る獏豊。刃に魔力を纏わせ攻撃力と斬撃範囲を向上させているのだろう。彼が矛を振るう度に、攻撃の余波が周囲の木々を薙ぎ倒しているのがその証拠だ。
雷と化した白の【黒呪光 雷豪風雲】の動きにも反応し、身の丈よりも長い矛を器用に使い対応している。
しかし、それだけだ。
この木々が生い茂、足元にも草や蔓、倒木などが邪魔をしている場所で、あの大きさの矛では、斬り払う、突く、叩き付けるくらいの攻撃方法しかとれない。
白もそれを理解し【鬼術 鬼法縮地】の瞬間移動を繰り返し使用することで獏豊の隙を突いて攻撃している。
しかし、その攻撃は徳是苦の【呪縛言霊】によって遮られてしまう。
対象の動きを封じる彼のスキルが間一髪のところで白の効果を及ぼし、ほんの数秒だが彼女の動きを止めてしまうのだ。
ギルドスキル【時刻の番人】の効果で全パラメーターが3倍になっている今、彼等の干渉系スキルは僅かな時間しか彼女達に反映されないのだが、その一瞬の動きの停滞が勝負を長引かせていた。
光歌と豊華の弾幕は、広範囲に展開された多言の巻物が魔力弾を搔き消し決定打にはならない。
が、冷静に彼等の様子を分析していた光歌は、そんな乱戦が続く中、嘆いていた。
『雑すぎるわ…。』
彼等は本能で活動している。
その根幹は、レベル120まで上げる為に彼等が行ってきた経験値だ。数多くのモンスターやプレイヤーと戦い培ってきた技術や連携。それが、今まさに発揮され私達と戦っている。
だが、彼等は薬を服用していない。閃に聞いたクリエイターズとかいう連中によって無理矢理自我を破壊され強制的にレベルを上げさせられた人形だ。
能力は使えるが繊細さに欠け状況判断も本能に左右されている。
本能とは、知性や思考の中から垣間見えて初めて真価を発揮するモノだ。それを意識的に行える者を天才と呼ぶこともある。
だが、知性や思考、本能のどれかに傾いてしまったなら、それはもう暴走だ。
彼等もそう、本能が先行し突発的な物事への対応が疎かになっている。本能が最も武器にしているモノが勘だ。彼等は肉体に備わった直感と反射だけで行動しているんだ。
だから…。
『がっ!?。』
私の撃った2発の銃弾が多言に命中する。
『おう!やるな光歌!当たったぞ!。』
『当然よ。』
跳ね返り軌道を変えた弾丸には対応出来ない。
彼等を操っているのは、端骨って言ったっけ?操るにしても雑すぎる。どうせ、彼等のことを使い捨ての道具としか考えていないんでしょう。
『はぁ…腹立つ。』
彼等の技の技術力や連携の練度の高さからも分かる。
彼等はもっと強い。レベル差とかスキルの差とか、そんなの関係ない。彼等が積み重ねてきた技の数々が彼等の心を写し出しているように感じる。
『豊華姉。右前方に【第5の魔弾】、お願い。』
『ん。分かったぞ!【第5の魔弾】!。』
『【獣爪早撃】…。』
速撃ち。3発。少し遅れて2発。
彼等は跳弾を避けられない。だから、あえて彼等に見えるように撃つ。そうすれば、本能で動いてる彼等は回避もしくは防御を行う筈。
そして、反応した彼等の視覚の外から跳弾させた2発の弾丸を喰らわせバランスを崩させる。
『白!。』
『了解ッス!。』
バランスを崩されては白の動きにも反応できない。
私の意図を察し、白が【第5の魔弾】の射線上へ多言を蹴り飛ばす。
『がぁぁぁあああああ!!!。』
多言は巨大な魔力弾に呑まれた。
『やったな!光歌!』
『いいえ。まだよ。ダメージは与えたから暫く動けないでしょうけど。白!戻って!。』
『はいッス。』
多言の肉体の損傷は激しい。
欠落は無いが手足はもうボロボロだ。身体がまだ無事なのは砲撃直撃の瞬間、多言の持つ絵巻をその身体に巻き付け防御に使ったようね。
本当にムカつく…。
動けない多言を庇うように立ちはだかる行動に出る獏豊と徳是苦。精神を破壊されていたとしても仲間を思う気持ちは失われていない。同じ状況に陥った仲間を救おうとしているのか…どちらにしても、彼等の絆を見せ付けられた気分。
ムカつくわ…。
端骨ってクズはこんな人達を…駒のように使って…。
今…解放してあげるからね…。
『豊華姉。【神化】。お願い。』
『ん!?良いのか?ウチの【神化】だと…。』
『良いのよ。』
『ああ。分かった。スキル【妖精砲霊女神化】!。』
豊華姉の【神化】。
豊華姉の身体が薄い白い膜のような魔力に包まれる。その種族が【妖精神族】。身体から離れる魔力の操作に長けた種族。
その【神化】の能力は魔弾の砲撃に制限が無くなるというもの。魔弾の種類を問わず発射位置も魔力の白い膜の何処からでも発射出来る。
『全力で撃って良いのか?。』
『ええ。彼等…多分避けないから、苦しませないであげて…。』
『うむ…。仕方ないか…。』
豊華姉の突き出した指先に魔力が集束する。
『神具!【妖精霊極大砲】!。』
超極大の魔力砲撃。
直線上の全てを呑み込み地平線に見える遥か天空の彼方まで、その光の軌跡を残していった。
緑龍の3人…私達には命を奪う方法でしか貴方達を救えない…何の助けにもなってないけど…安らかに眠って下さい。
『終わったな…。あまり良い終わりではなかったが。』
『けど、あの人達を解放出来たッスから…。』
『良いのよ。私達にはこれしか出来ないから…。』
豊華姉も、白も…苦虫を噛み潰したような表情で悔しそうだ。
私と同じように、戦っている内に彼等の失われていない人間の部分を感じ取ったのだろう。
後味の悪い戦いの1つがこうして終わる。
ーーー
緑龍絶栄の現ギルドマスター端骨と、彼が率いる八龍樹皇の律夏と空苗の2人。
彼等に相対するのは、睦美と瀬愛。
前衛に立つ律夏。通常のモノよりも長い刃を持つ刀を巧みに操る彼の変幻自在の斬撃を同じく長いリーチを持つ睦美の青竜刀が斬り結ぶ。
睦美の姿は神具を発動し、【聖五獣装甲】の麒麟以外の四聖獣を装備した武装状態。
その周囲をスキル【蟲神跳躍】と【蟲神糸翔】で木々の間を飛び回り糸の結界を張り巡らせる。
この糸は【万能蟲糸】。
粘着、切断、伸縮、毒性、伝導、硬化の効果を持つ。瀬愛の身体に接触している限り糸は彼女の意思次第で自在に効果を得る。
驚くべきは律夏の剣技の技量。
瀬愛の糸によって徐々に行動範囲を狭められているにも関わらず、律夏は長い刀で睦美と斬り合っているのだ。
これ程の剣技を本能で行っているなら、もし操られていなかったのならどれ程の達人だったことか想像に難くない。
『ひひひ!圧してる!圧してる!圧してる!あのクロノフィリアを圧してますぅよぉ!私の研究は彼等に通用するぅぅぅううう!。』
気持ち悪い動きで歓喜の叫びを上げる端骨。
その横には空苗がライフルのような形状を持つ樹木の銃を構え、照準を睦美へと合わせている。
しかし、2人は動かない。
彼等の周囲にも瀬愛の糸が張り巡らされ完全に取り囲まれているからだ。
端骨には謎のスキルがあり、指先に触れたモノを劣化させる効果を睦美と瀬愛が目撃した。
だから瀬愛は、端骨の周囲を毒性の糸で覆うことで触れることを封じたのだ。
『ちっ!素晴らしい技量じゃな!その状態でワシの攻撃を全て防ぎ切っておる。』
攻め切れん。
まあ、ワシもそんなに接近戦が得意という訳ではないのじゃが。それでも、この一方的に有利な状況ですら、コヤツにとっては造作もないということか?。
気が焦ったワシの隙を突き、鎧の隙間を狙われる。鋭い突きがワシの腕を斬り落とした。
『ぐっ!効かぬわ!。』
再生の炎に包まれ直ぐ様腕が元に戻った。
『ほお!即時再生!失った腕を元に戻した!?すっばらしぃぃいいい!では、樹木に変えたらどうなるのでしょうね。空苗。お願いします。』
その言葉を合図に睦美に向け空苗の弾丸が放たれる。
『させないよ!【蟲神糸硬壁】!。』
鋼鉄の糸が織り重なった強固な壁。
飛び回っている瀬愛が睦美を守る。
『今度は硬質化させた糸ですか!これも素晴らしいぃぃぃいいい!。』
よもや…アヤツは何でも興奮するのではないか?あんなヤツに操られて可哀想に…。
『瀬愛よ!すまぬ!助かった!。』
『うん!任せて!。』
さて、剣技では、ヤツに勝てぬし…仕方ないの操っている本体を倒すしかないか。
『スキル【転輪炎女神化】!。』
勝負を素早く終わらせるにはこちらの最大火力を出すしかあるまい。
『瀬愛よ!離れておれ!。』
『うん!。』
『はぁぁぁあああ!!!ぐっあ!?。』
斬り掛かる律夏を召喚した麒麟の突進で防ぐ。
ワシの【神化】は命を魔力に変換する。
それは、ワシだけに留まらず生い茂る森の木々、草や土、昆虫や小動物に至るまで小さな全ての命を自身の魔力に変換する。
『狙いはヤツじゃ。』
『ひぃっ!?。』
鎧を外し、五聖獣を変形させそのパーツを1つの砲台に合体させる。
狙いは端骨。
瀬愛の糸で身動きが取れないヤツにこの技を防ぐ手立てはない。
糸に放れれば即死級の毒が瞬時にヤツの命を奪うのじゃからな。
『神技【極炎転輪五獣葬砲】!!!。』
【五聖獣極転炎】よりも強力な6色の炎…爆炎と共に放たれた光線が端骨と空苗を一瞬で蒸発させる…筈だった…。
『アヤツ…そこまでクズか!?。』
端骨のヤツは律夏を操り、自らを守る肉壁の盾として使いおった。瞬く間に蒸発する律夏。
その間に、ワシの砲撃で消えた糸の隙間から離脱した。
『はぁ…はぁ…はぁ…。危ないところでした。人形1体を犠牲にしなければ間違いなく死んでいましたよ。』
『クズめが!どこまでゲスか!。』
『ひひひ。彼は既に死人も同然、主の為に最期を迎えられたのですから彼にとっては本望でしょう?。』
『そんなわけあるか!。』
コヤツはここで叩かなければならんな。
ワシは再び砲台を構えた。
『ひぃ!?。1つ教えて欲しいのですが!?。』
『聞く耳持たん!。』
『そうですか。なら!。』
『なっ!?。』
端骨が小型のボタンを押すと、召喚陣が出現し【完成された人間】が1体召喚された。
あれは、会場にいたヤツか!?。旦那さ…閃に聞いた話、驚異的な学習能力と吸収力、回復能力を持つ改造人間だと…。
不味いの…今ので周囲の命を使いきったばかりじゃ。撃ててあと一撃。もう木々や草木は枯れ落ち集められる命が無い…。次の一撃はさっきより数段弱まってしまう。果たしてヤツの再生能力を上回れるか…。
『ひひひ。この間に私達は逃げるとしましょう。生憎、君達のお仲間に残りの人形も破壊されてしまったようですしね。』
ワシの仲間。誰かが他の緑龍メンバーを倒したか流石じゃな。
『がぁぁぁあああああ!!!。』
こちらの心境や状況などお構い無しに突っ込んでくる【完成された人間】。
くっ…一か八か、端骨と【完成された人間】を纏めて巻き込むしか。
『神技【竜皇閃砲神光】!!!。』
『ぐぁぁぁぁぁああああああ!!!。』
『ぎゃぁぁぁあああああ!?!?。』
砲台の照準を合わせたその時、ワシの真横を極大の魔力砲撃が通過した。
真正面から受けた【完成された人間】は蒸発。偶然、射線上にあった端骨の左腕を巻き込み、遥か彼方にある山まで飛んでいき、その形まで変えていった。
『はぁ…やっと敵を見付けたぜ…。』
竜の姿で舞い降りる基汐。
【神化】を解除しワシ等に近づく。
『おお、基汐か!助かったぞ!。』
『基汐お兄ちゃん!。』
『おっと!瀬愛も睦美も無事そうで良かった。なんかピンチそうだったからな、とっさに神技撃っちまった。』
『とっさで撃つ威力では無かったのじゃが…。』
『山…消えちゃったよ?』
『ははははは!やり過ぎちまったな!光歌には内緒な。』
すると左腕を失い、転げながら叫び回っていた端骨が起き上がる。
『はぁ…恐ろしい威力だ…これも、欲しい…欲しい…。』
『さあ、詰みじゃ。どうするのじゃ?。』
『ひひひ。3対2。戦力的に見ても私に勝ち目はありませんねぇ。ですが、目的は既に達成済み。それに詰みではありませんよ。これで一先ずこの場を逃げ果せるとしましょう。』
『ん?あれは!?まさか!?。』
白蓮が持っていた小さなベル。
それを端骨が頭上に投げると大爆発を起こし、爆風と閃光で辺り一帯が包まれてしまった。
『きゃ!?眩しい!?。』
『くっ!?これは!?。』
『しまった!?ヤツを見失った!?。』
『クロノフィリア、睦美と瀬愛…そして基汐と呼ばれていましたね。貴方方の事は忘れませんよ。決してね。』
遠くから微かに端骨の声が聞こえた。
暫くして閃光が収まり視界が確保された時には、既に端骨と空苗の姿は消えていた。
『むぅ…逃がしたな…。』
『まさか、逃げるためにあんな隠し球を持っていたとはな…。』
『うぅ、目がチカチカする。』
8つの蜘蛛の目を持つ瀬愛には、あの閃光は辛かったじゃろうな…。
ワシは瀬愛を抱きしめる。
『じゃが…何とか切り抜けた…と言ったところじゃし…今はそれで満足するかのぉ…。』
『俺がもっと早く見付けていればな。』
『いいや。ベストなタイミングじゃったと思うぞ。ワシと瀬愛では些か攻撃力不足じゃったしな。』
『うん。あのお兄ちゃん強かった。』
『ふむ。』
緑龍樹栄の律夏。
美緑の兄の最期は端骨の盾として使われて終わった。美緑に何と伝えれば良いのか…。今から心が苦しいのぉ…。
周囲を見渡すと、ワシの神具の発動で集めた命は元の体に戻り生命の息吹を得て若返る。
小動物達は子供に木々は若葉に戻り輪廻していた。
ーーー
白聖連団が保有していた会場の地下室。
そこには、白聖連団が集めた重要な資料達が納められている。
そこに会場の周囲を監視する目的で白聖連団 白聖十二騎士が1人、序列10位 奏他が居た。
『なかなか、劣性だね。うん。やっぱり強いよクロノフィリアは…こっちが何年も掛けて進めた作戦を真正面から切り崩してるし…。』
小さな溜め息。
彼女の決心は決まっている。白蓮の夢を叶えること。クロノフィリアのメンバーを誰でも良いから殺す。
けど、クロノフィリアの強さを目の当たりにした今、なら分かる。
私は勝てない。
ということが。けど、構わない。自分が白蓮の為に出来ることは白蓮が私にした命令を実行するだけ。
だから、私は戦いに行く。白蓮と同じ舞台に立つために。
『さて、華々しく散りに行きましょうか!って…ええ!?。』
気合いを入れ振り返るとそこには、同じ十二騎士の序列11位 漆芽が立っていた。
『漆芽?どうしたの?貴女の持ち場は暴走した人形達と【完成された人間】達の援護だった筈なのに!?。』
『漆芽?へぇ…それがコレの名前なんだ?。』
『っ!?。』
明らかに漆芽の雰囲気がいつもと違う。
『貴女…誰…?。』
『待って待って、そう急かないで。今、コレのメモリーを確認してるから。』
『………。』
この雰囲気…。危険…。この感じ…何処かで…。
『おお、あったわ!成程ぉ。成程ぉ。面白いことやってるわね~。ああ、コレの名前は漆芽でぇ~。ソレの名前が奏他かぁ。まぁ、どうでも良いわ。』
『なっ!?。』
漆芽じゃない誰かが足で地面を鳴らすと、地面から鋭く尖った石が飛び出し私の身体を貫いた。
『こ…これ…私の…スキル?。』
『そうそう。コレのメモリーにあったから使ってみたけど、こんなのに精霊?そんなものの力を介さないと使えないなんてねぇ。』
『貴女…もしかして…クリエイ…。』
『うるさいよ。』
私の意識はそこで途絶えた。
何をされたのかも分からぬまま…白蓮の命令も果たせぬまま…私の命はここで終わったのだ。
白蓮…ごめんね。
ーーー?ーーー
『うぅん。コレじゃあ全然足りないなぁ…どうしよう、全然時間が足りない。もう少し待ってれば良かったかなぁ?。』
パチパチ。
『ん?。』
『素晴らしいです!貴女様はもしや神様なのでしょうか?。』
『誰?。』
『おっと、失礼しました。私は端骨。この世界で唯一、貴女方…神と呼ばれる存在と接触を許されている者です。』
睦美達から逃げた端骨と空苗は地下室へと逃げた。そこで見たのは人間では有り得ない魔力を発している漆芽の姿。
瞬時に端骨は状況を理解し、話し掛けたのだ。即ち、神が漆芽の身体を乗っ取り顕現したのだと。
『へえ。そうなんだ。それよりさぁ。』
次の瞬間。
端骨の後ろに控えていた空苗の身体が弾けた。バラバラに飛び散った肉片と吹き出す血潮に端骨は腰を抜かした。
『何で私に話し掛けてるのかしらぁ?。』
『ひぃ…貴女がクリエイターズの一員だと知っているからです!。』
神ならばクリエイターズの一員。その単語を口にすれば端骨とクリエイターズとの繋がりはより明確なモノとなる。
だが、その考えがそもそも間違っていた。
『はっ?。』
『え!?ぎゃぁぁぁあああああ!?!?。』
睦美によって失った左腕の逆手。残った右腕が消し飛んだ。
『数兆歩譲って、私と話すことは ソレ に免じて許してあげるわ。』
床に転がる空苗の肉片を指差し言い放つ何か。
『けど、私をアイツ等と一緒の括りに入れるのは許さないわ!だから、残った腕を奪ったの。』
『あ、貴女様は…いったい…。』
怯えきり、失禁までした端骨が絞り出した質問に満面の笑みで答えた何かの言葉は…。
『そのクリエイターズの奴らの 【一つ上】 よ。』
と言い放った。