表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/35

第6話

 やはり、この街は海産物が美味い。


 宿の一階の食堂で提供される物ですら美味いのだから、本格的な店に行ったら、格別だろう。


「夕飯は他で食べようか?」


「?

 ココのお食事で十分美味しいですけれど?」


「もうワンランク上の海産物。興味は無い?」


「え?ええ、興味は無かったですけど、もっと美味しいなら、食べてみたいです」


「良しッ!ココの店長さんに聞いてみよう」


 昼食は「ご馳走さま」して、番台の店長さんに声を掛けに行く。


「店長さん、ココより上の海産物が食べられる店って、知っていたりしません?」


「知っているか知らないかで言えば、知っている。

 だが、馬鹿みたいに高くて、分からん奴にはココの料理と大差無い味だ。

 因みに、ウチで金貨1枚も出せば、ワンランク上の料理を用意出来るぞ」


「ソレ、先に言ってよ、店長さん」


 夕飯は、上等な飯を予約してから、ナナさんの待つ席へと戻って、事情を説明した。


 すると、恐らく店長さんの奥さんが、皿を下げるのと共に、ナナさんの首に掛かった真珠のネックレスを指差して言った。


「そんな上等なアクセサリー、見せ付けるんじゃないよ。

 ウチは比較的マシとはいえ、柄の悪い奴も中には居るもんだ。

 まぁ、そもそもがその服も十分に華美だがね。

 絡まれたく無かったら、しまっときな」


 忠告を受けて、ネックレスはしまっておく事にする。


 とりあえず、この街は明日の朝飯を食べたら出ることにして、行き先を、貴族街にした。


 そして、今日は真珠を収めた銀細工の指輪を作る事にしようとして………。


「ああ、大事なことを忘れていたよ。

 ナナさんに、虫除けの指輪を作ってあげないとね」


「?」


「ああ、コッチの話。

 アクセサリーには、魔除けや何かの効果があるからね。

 銀の指輪なら、そう高くない。

 右の薬指に合わせて作るよ」


 結局、この日は、銀細工の指輪に、『bizarre』の文字を刻んで仕上げ、ナナさんにプレゼントすると、夕飯を報せる音が。


 ワンランク上の料理というのは、確かに間違い無かったのだけれど。


 舌の肥えてる俺からすれば、コレで金貨1枚は高い気がする。


 ならば、コレより上の料理を食べに行っても、大したことは無かっただろうし、それで高い料金を取られるのは、少々納得がいかなかっただろう。


 因みにナナさんは、『美味しい』と言って喜んで食べていた。


 それから日が落ちるまでは真珠の指輪を作っていたのだけれど。


 俺は元々、銀細工で商売して旅をしていたからな。下手なりに。


 だから、銀のインゴットのストックがあったのは助かった。もう、買いに行かなくて良い。


 前世の俺はどうだろう?調べれば調べられる環境があったようだけど。


 そして本当に奇妙な事に、いつ手に入れたかが分からない、『bizarre(奇妙な)』と刻まれた指輪を嵌めていたのだ。


 恐らくは、妹からプレゼントされた可能性が高いのだが。


 だから、ナナさんにも同じ文字を刻んだ指輪をプレゼントした。


 日が落ちたら、翌朝の為に眠るのだが、ココでナナさんとズルズルと男女の関係にはならない。


 でも、寄り添って眠るのだが。ダブルの部屋だから、二人用のベッドが一つしか無い。


 とりあえず、休みが取れればそれで良い。



 明日は朝が早いのだから、夜は速やかに眠らねばならない。


 ただ。


 未だ28の俺には、十分に刺激が強い経験で。


 ロクに眠れずに、翌朝を迎えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ