表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/35

第4話

 温もりを感じて目覚めた。


 あー………やっちまった。


 責任取るじゃないけど、何らかの手は打たないとならないなぁ………。


「う………ん………」


 彼女も、寝返りを打って、目で俺を捉え、羞恥(しゅうち)で顔に赤みが差した。


「おはよう」


「………おはようございます」


「ちょっと、お風呂場、借りてくるよ。お湯はセルフで、って事だったけど、俺の魔法で何とかなる」


「はい。

 ………浴室に行けばよろしいですか?」


「うん。

 今さら、羞恥(しゅうち)する事も無いだろう?」


「あう………それはそれで、恥ずかしいと申しますか何と言いますか」


「そうか。なら、ナナさんが先に入ると良い。

 俺はその間、門番でもやってるよ」


「良いのでしょうか?

 私は別に、後でも」


「遠慮しなくて良いよ。俺は場合によっては入れ直せるからね」


「では………ありがたく」


「じゃあ、一緒に行って、好みの温度に調節するよ」


「あ、………はい」


 何か誤解している気がしないでも無いけれど、とりあえず着替えて、一階に降りる。


 店長さんに声を掛ければ良いだろうか?


「スミマセン、風呂場を借りたいのですが………」


「湯水はセルフで、井戸があるから、あとは使い終えたらキチンと排水しておいてくれ」


「はい、ありがとうございます」


 当然、井戸の水など利用しない。


 風呂場に入ると、浴槽の栓を閉めて、メソッドでお湯を5分目位まで入れて、温度を確かめる。………うん、俺的には適温。


「ナナさん、お湯はもう少し足すとして、手を入れて温度を確認してくれないか?」


「あ、はい」


 ナナさんは何やら安堵した様子で浴槽のお湯に手を入れる。


「もう少し熱い方が良いのでは無いでしょうか?」


「ん?俺は入る時に調節するから、そこに配慮は要らないよ」


「はい、では、もう少しだけ温か目に」


「ラジャー。なら………このくらいかな?」


 7分目まで、少しだけ湯温を上げて湯を入れる。


「コレでどう?」


「あ、はい。………丁度良いです」


「なら、俺は脱衣所の外に出てるから、どうぞごゆっくり」


「はい、ありがとうございます」

 

 そう言って、脱衣所にバスタオルを置いて抜け出ると、店長さんが立っている番台のような場所の隣に出た。


「混浴すりゃ良かろうに」


「女性はデリケートなものだよ」


 店長さんの言葉に、そう応える。


「旅人かい?」


「そんなところだ」


「簡単な交易ぐらいはやっているだろう?」


「………まあね」


「あまり、触れて欲しく無い、って事かい?」


「それもある」


「塩・胡椒、砂糖なんかを扱ってたら、欲しかったんだがね」


「………諸々の事情があって、出処なんかを問い詰めて来ないのだったら、塩・砂糖は取り扱える」


「幾らだい?」


「容器そっち持ちで、相場の半額でどうだい?」


「………この瓶にいっぱいで、共に金貨一枚ってところだろう」


 そう言って番台に載せられた瓶は、共に1リットル程が入りそうなものだった。


「半額、先に受け取りたい」


「………ほら、金貨一枚だ」


「ありがとう」


 そう言ってから、メソッドを展開して、それぞれ塩と砂糖を作って詰める。


「こんなもので良いだろ」


 瓶からは、塩も砂糖も溢れんばかりだ。


「………味見して良いか?」


「勿論。

 コッチが塩で、ソッチが砂糖だ」


 一摘みずつ、味見をすると、「良いだろう」と言って金貨を差し出してきた。


「細かい事情は聞かぬが、相場を崩すほど売り過ぎるなよ?」


「こんだけありゃ、しばらく保つ」


 代金の金貨2枚をカチャリと鳴らして見せ、懐に入れる。行き先は異空間だ。


 それからしばらく世間話をすると、ナナさんが出て来た。


「あ、ありがとうございます。

 こ、コレ………」


 差し出してきたバスタオルを、彼女の頭に掛けて優しくも素早く髪を拭いてやる。


「髪が乾くまで、首にでも掛けてると良い。

 首を冷やしたら風邪を引くぞ」


 俺は俺の分を出して見せ、風呂場に向かおうとして──


「部屋に戻っててくれ。俺が上がったら、飯にしよう」


 そう断って、風呂に入りに行った。

よろしければ、★★★★☆で十分ですので、評価して下さると助かります。

ブックマークとまでは言いません!有限のブックマークまでは!

よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ