表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/35

第3話

 馬と馬車、俺とナナさんとで、空を翔んで崖の上まで移動する。街に着いたら、吊り橋が落ちた事を知らせないとな。


 馬車は馬を2頭立てにして、俺が御者をする。ナナさんは何を好き好んでか、俺の隣に座っている。


 ま、御者の経験が無いから、メソッドを展開しているんだけどね!


 しばらくは、問題無く道を進んでいた。でも前方に、何やら揉め事の様子が見れる。


 どうやら、『馬鹿(バカ)』という名の魔物に、馬車の、主に馬が襲われているようだ。


 『馬鹿』は、馬と鹿の合いの子で、午年や10月に産まれた場合、強い魔力を帯びて魔物化する可能性があるらしい。特に午年の10月産まれという条件が重なった場合、ほぼ100%、『馬鹿』化するらしい。あと、両親共に『馬鹿』である場合も、かなり確率が高いようだ。


 コチラの馬も狙われるか!?と思ったが、2頭とも牡馬(ぼば)のせいか、見向きもされていない。


 馬鹿の数は、4頭。コレなら、始末出来そうだ。


 マルチスレッド!メソッドを予約、スタック!リピート12回!


「斉射!!」


 1頭につき3発の、石の飛礫(つぶて)を打ち込む!


「『石礫十二連射せきれきじゅうにれんしゃ』!!」


 『馬鹿』が次々と死んでゆく。1頭も討ち洩らしは無かった。


「無事か!?」


「助かった!」


 前方の馬車が止まったので、俺も馬車を止める。


「いやぁ~、助かりました」


 馬車から、金髪碧眼(きんぱつへきがん)の白人が降りてきた。そして俺の黒い髪と瞳、やや黄色い肌、ナナさんの朱い髪と瞳、浅黒い肌を見て、笑顔を消した。


「ご苦労であった」


 その一言を残し、彼は馬車に戻り、発車させた。


「あ~あ」


 俺は彼が立ち去った後にボヤいた。


「この先は山賊が出るから、警告しようと思ったのになぁ~」


「………警告しなくて良かったのですか?」


「いやぁ~、あれだけ上から目線なら、知っているんだろ。

 俺達は、空でも駆けて行こうか~」


 そうして、俺達は馬と馬車も浮かせて、馬車を襲う山賊が出る辺りを飛び越えて、街道に戻り、街へと向かった。


 俺は、魔法に目覚める前は、迂回路を回るつもりでいたのだが、迂回路を回るルートは既に通り過ぎていたのだ。


 ああは言ったものの、あの白人は初めてこのルートを回るのだろう。


 報酬を貰えるなら、助けても良かったが、無償で人助けした上に見下されるのを我慢するほど、聖人君子じゃない。


 空から襲われている場面は見えたものの、山賊の数は数十人に及ぶ。魔法初心者の俺には、骨の折れる数だ。善意だけでは救えない。ミイラ取りがミイラになるのが目に見えている。


 街へと着いたら、襲われていた事を報告しておいたが、助けは間に合うまい。ついでに、吊橋が落ちた件も報告する。


 ただ、山賊狩りは行われるだろうが、戦闘経験の無いであろうナナさんを連れても残しても行けない。だから、俺は参加しない。


 街へと着いたら、まずは宿を探して取った。


「ツインの部屋で」


 そう、風呂場のある宿を取ろうとしたら、ナナさんが食い気味で。


「ダブルの部屋で良いです」


 彼女はそう頼んだ。


 その夜の事は、ヒ・ミ・ツ♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ