第17話
馬車を預ける件だが、自重を止める事にした。
異空間に収納したのだ。
そして、ココの宿屋も、丁度良く人目に付かない裏庭があったので、借りた。
獲物を捌く為の場所らしいので、少々血腥いが、今日はもう使う予定が無いらしいので、丁度良い。
大きな原石をそれぞれコピペして取っておいて、カットを施して行く。
前世の記憶から、何となく。
綺麗と思える物が出来たら、ナナさんに、「忖度なしで感想を聞かせて」と断って、ダメ出しを聞くのだが、目の色を変えて「美しいです」と欲しそうに言うのだ。
奴隷紋を消してあげたいが、消したら消したで問題が生じる。
コレは、時が解決する時を待とう。
待ったら待ったで、他の人に影響がありそうなのも問題だ。
とりあえず今は、宝石のカットを頑張るのが先決だ。
ついでに、ハート型のカットをルビーやガーネットに施したりもしてみた。
「ゼロさん、あの………」
何かナナさんが躊躇いがちに声を掛けてきた。
「何?」
「あの………小さい石で、その………ハート型の宝石は欲しいです」
「ん?良いよ。
ペンダントヘッドにでも加工するかい?」
「え?よろしいのですか?」
「うん。
チェーンは、何処かで見付けたら買ってあげるよ」
そう言って、気が付いた。
ナナさん、お金は幾らか預けたけど、財布が無い。
「ナナさん、財布を買おうか」
「えっ?!………でも、一応奴隷ですし」
「いざとなった時に、お金を支払う時に困るでしょう?」
「そうですけど………」
「宝石を入れる為にも、さ」
「宝石をそんなに雑には扱いません!」
「しぃ~ッ!」
「あ………」
とりあえず、カットした破片は、ハート型の小さなカットを出来そうなものだけ仕舞って、他は粉末化させて風に飛ばさせる。
「とりあえず、チェーンを買ってからだね」
「………はい」
残念そうだが、仕方が無い。
………ん?
何だ、人が来る足音がする。それも、複数。
終わるまで通さないように頼んでおいたのに。
ゴンゴンッ!
ノックにしては、やや乱暴な叩き方でドアを叩かれた。
見回して、問題のある物を放置していないことを確認してから応える。
「はーい、どな──」
「邪魔するぜ」
入ってきたのは、筋骨隆々としたマッチョが四人で、棒に縛った『馬鹿』を運んできた。
「作業中だったか?」
「いえ、片付けをしていたところで」
「済まんが、『馬鹿』を捌くなら、ココが一番良いんだ」
「では、我々は去りますね」
「別に、捌くの眺めて行って貰っても構わないんだぜ?」
「いえ、俺はグロ耐性が大して高くないので」
「何なら、その嬢ちゃんだけ残してって貰っても構わないんだぜ」
その時、俺は四人の下卑びた笑いに気付いた。
「パートナーを残して行くわけにはいきませんので」
「まあまあ、兄ちゃん」
担いでいた『馬鹿』を置いて、一人の男が俺の肩に手を回して来ようとした。
高速でメソッドを展開!引数、俺とナナさん!
『バリアー!!』
バチンッ!
男の手が弾かれた。
「イデッ!」
その男に睨まれたが、笑い飛ばす。
「ハッ!
俺と彼女に害を齎すつもりなら、容赦しないけど?」
「テメェ………」
「おや。未だ敵対するつもりかい。
手を出していない3人には申し訳無いけど、連帯責任だ」
メソッドを展開!スタック、リピート4回!
「雷撃4連射!!」
ピカッと光り、四人に雷が落ちた。尤も、自然に発生する雷よりは威力は低いし、その代わり、対象以外への被害はほとんど無いが。
四人は、意識を失ったようだ。
「行こうか、ナナさん」
怯えた様子のナナさんの手を引き、夕飯を終えて眠る時に、またも俺を求められた。
どうやら、雷という新たな刺激は、二度目の地震よりよっぽど怖かったらしい。




