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閑話 <肉食系侍女>

前回の閑話の続きです!

「はぁ……ったく。俺を振り回しまくりやがって……」


 この学園には、流石王族まで入学する学園というか、貴族の従者が暮らす棟がある。

 リコラスにも一応部屋はある。といっても、リコラスは従者でありながら護衛でもあるので、アシュガの寮の一室で寝ることがほとんどだ。


 リコラスは今、その従者棟に来ている。他ならぬリリーに会うために!


「……あ、待て。俺入れないじゃん」


 しかし、リコラスは忘れていた。

 従者の部屋であろうと、女性のフロアには入ることができないことを。


「どうすっかなぁ……」

「……リコラス。ご機嫌よう」


 すると後ろから、いつもの感情の無い声が聞こえてきた。


「リリー。ちょうど会いたかった。今、暇か?」

「えぇ。誰かのせいで今日の予定は無くなりました」


 にっこり。リリーの背後には、急な予定変更に対する怒りのブリザードが吹き荒れていた。

 怖えぇ!! リリー怖えぇよ!!!


「お、おう……そ、そうか。」

「はい。お詫びの一つでもしていただきたいものですね」

「……何か、奢る」

「結構です」


 物凄い速度の返事。

 ……いやどうしろってんだ。


「じゃあどうすりゃいいんだ……?」


 すると、グイッとリリーとリコラスの距離が縮まり……


「ぐっ……!?」


 リリーが片手でリコラスの襟を掴んで、二人の顔が限界まで近付いた。


 ……え、まてどうなって……!?


 混乱するリコラスの間近で、リリーはふわりと笑って言う。


「リコラス、貴方を私に寄越しなさい」


 ……は!?


 ☆.。.:*・゜*:.。..。.:+・゜:.。.:*・゜+


「いやまて落ち着けどういうことだ!?」

「取り乱しているのは貴方ですよ、リコラス」

「いや寧ろ俺が落ち着いてたらおかしいからな!?」

「はぁ……。」

「なんでため息!?」


 これは俺がおかしいのか……!?

 いやそんなはずはない!!


「え、まず俺がほしいってどういうことだ」

「そのままの意味です。私と恋人になりなさい」

「どんな告白だよそれ!?」


 つか、普通に辛い。

 まさかのリリーから告白されるなんて……俺、男としてのプライドを物凄く傷つけられたような……?


「いいでしょう。私の恋人になって下さい」

「……え、ちょっと待て。俺心の整理が」

「これ以上待てないので待たせるというならなかったことに」


 妖しく笑うこの侍女(リリー)は、本当に怖すぎる!!


「は!?」

「どうするんですか、なかったことにしていいんですね」

「いやそれはだめだ」

「そうですか」


 沈黙。

 そしてとうとう折れたのは、リコラスだった。


 ……もう、どうにでもなれ!!


「わかった。よろしくな、リリー。」


 少々ぎこちなく笑い、手を差し出す。


 内心は、これからの自分を想像して酷く怯えているのだが。


「ええ、よろしくお願いします」


 と言うと、リリーはリコラスの手を払いのけた。

 驚いた表情をするリコラスに、リリーは……


「ん……!?」


 リコラスの唇を奪った。

 してやったり、とばかりにニヤリとするリリー。


「では、また」


 放心状態のリコラスを放置して、リリーはローズの為のチェリーの砂糖漬けを仕込みに行った。


 廊下に残ったリコラスは、


「……まて、どうしてこうなった。いや俺がおかしいのかこれは?もしかして夢か?夢なのか?」


 そして、ふらふらとアシュガの部屋に向かった。

評価、感想、誤字報告、ブックマークありがとうございます!


リコラスの大変なお話でした笑

まさかの肉食系、リリーちゃん……かっこよくて惚れちゃいますね!!


(リコラス、これから頑張って……)


次回からは学園祭編です!

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