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5-21 実戦訓練2

 七人が目的地に向けて歩き始めた頃、グネヴィアはずっと当たり一体の森の様子や魔物が見えるように、周りを警戒していた。


 実際今のところは大した異常は無く、薄い本に記してある魔物がうろついているだけだ。


 だが、油断は禁物だ。いくら低ランクの魔物だらけだとしても、魔物も生き物だ。


 ある程度の知識や進化をしている可能性もある。


 すると七人は、歩みを止めた。


 それは、目の前の茂みに何が潜んでいるのをコムが発見したからだ。


「皆さん。目の前の茂みに魔物が潜伏しています。俺が誘き寄せるんで後ろで見ていて下さい」


 コムは後ろに向けて小声で言うと、目の前の茂みにある程度近づき、小石を投げた。


 するとそこから、猪のような魔物が出てきた。


「ワイルドボアですか……最初にしてはまあまあ当たりですね……ッ!!来ます!!」


 コムは後ろにある七人にそう叫ぶとワイルドボアは突進してきた。


 だが、ワイルドボア突進は誰にも当たることは無く、コムの持っている大盾によって止められた。


「ショータさん!レンジさん!次の攻撃を防いだら、お願いします!」


「「はい!!」」


 翔太と蓮司はそう返事したが、内心はとても緊張していた。


 するとワイルドボアは、コムに向き直り助走をつけて走り始めた。だがワイルドボアの突進はコムの盾に再び防がれた。


「二人共!!今です!!」


 コムがそう叫ぶと翔太と蓮司はコムの両端から出て、ワイルドボアの横腹を刺した。


「そうです!そのまま押さえて!!」


 コムの指示通りに二人は刺した剣を抜かずにそのまま、地面に押さえた。


 しばらくすると、暴れていたワイルドボアも動きが遅くなり終いには動かなくなってしまった。


「二人共、お疲れ様です。これでワイルドボアを仕留めろ事が出来ました……ん?二人共大丈夫ですか?」


 ワイルドボアを仕留めることに成功し、喜んでいるコムとは対照的に、翔太と蓮司は顔を青く染めていた。


「いや……ちょっと刺した時の感触が……」


 蓮司がそう言うと吐きそうになったのか口に急いで手を当てた。


 翔太と蓮司は今まで生きていた中で、生き物を刺すのは初めてだった。


 刺した時に感じる柔らかい感覚と筋肉の繊維が切れる感覚がまだ、二人の手に残っている。


「そうですか……確かに自分も最初は切ったり刺したりする時の感触が苦手でした。でも毎日とは言いませんが我慢して繰り返していればいずれは慣れますよ」


 コムがそう言ってる所でメルナは、翔太達が討伐したワイルドボアから血を抜き出し支給された収納魔法にしまった。


「メルナさん!?今のは?」


 その一連の行動を見たいた四人は、メルナがしていた事に驚いていた。


「ん?今のって?」


「さっき……いや、やっぱなんでもないです……」


 質問を続けようとした翔太だったが向かい側にいる、梨花と雪が必死な顔で首を横に振っていた。


 それを見た翔太は嫌な予感をし、質問を中断した。


「皆さん、準備出来たら行きますよ!」


 コムはそう言うと再び七人は目的地に向かって歩み始めた。


 途中で魔物などに会ったりしたが、コムとメルナのサポートと指示のお陰で苦労せずに魔物を倒す事が出来た。


 そうしているうちに日は傾き始めた。


「夜か……一回集まって下さい!」


 コムはそう言うと、六人はコムの周囲に集まった。


「これから夜になるのですが、皆さんにテントの設営をしてもらいます。テントは皆さんの背負っているバッグに入っていますのでそれを使って下さい」


 コムは背負っているバッグを下ろし、そこから折り畳まれたテントを取り出した。


 翔太達もバッグからテントを取り出して、設営をした。


「にしても設営早いですね」


 メルナとコムはテントの設営は慣れているのだが、四人は慣れた手つきでテントを設営している。


「はい!向こうの世界ではキャンプが趣味だったので!」


「キャンプ?」


 メルナは聞き慣れない単語を耳にしたが、翔太はキャンプについて教えた。


「なるほど!つまりテントのなどを設営して、皆さんと楽しむ事なのですね」


「まぁそう言う事になります」


 テントを張り終わると、コムは木を集めて、焚き火を作った。


「これから夜の過ごし方について教えます」


「夜の過ごし方?」


「はい。ここは魔物が出る森ですので全員が寝てしまっては、寝込みに襲われる危険があります」


「コムさん。つまり、交代で見張りをするって事ですね」


「リカさん、その通りです。そこで、見張りの交代の順番を決めたいのですが……」


「私が最初でいいんじゃない?」


「姉さんが?」


「うん。ここには七人いるから最初に、私が一人で見張りをして、後は二人ずつで」


 メルナはバッグから紙とペンを取り出した。


「取り敢えずは、近接と遠距離が組み合わさるようにしますか」


「でもメルナさん。その……熊鉄は……」


 翔太は熊鉄は、見張りはしないと考えている。


 実際、実戦訓練が開始してから今までの行動で熊鉄はいい加減だった。


 ひたすら欠伸をし、戦闘にもろくに参加しない。


「あの人は……まぁ私が何とかしてみます」

 

 そうしているうちに、見張りの順番と交代の時間が決まった。


 最初は、メルナ一人で次に、コムと梨花、翔太と雪、蓮司とメルナで、最後は熊鉄とメルナだ。


「ところでメルナさん一人で本当に大丈夫なんですか?」


「はい!こう見えても私、魔法と剣術どちらも得意なんで!」


メルナはそう言うと収納魔法から剣を取り出した。


「ま!剣術は得意と言っても兵士には負けますけどね」


(姉さんはそれでも十分強いよ)


 コムはそう心の中で思うと焚き火の上に台と金網を乗せ、その上に鍋を乗せた。

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