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5-20 実戦訓練1

 梨花との説得からもう三日が経った。


 四人は激しい緊張により、心臓がいつもより動いていた。

 

 当たり前だ。まだ、第二次世界大戦の時に生まれていれば話は別だが、四人は戦争のない平和な時代に生まれ育っていった。


 命のやり取りはしたことがなくとも仕方がない。


 四人は教官達に指定された場所に向かっていると、すでに訓練兵や魔導士見習いが複数いた。


 すると、こちらへ二人の訓練兵がやって来た。


 それは、コムとメルナだ。


「おはようございます。今日から実戦訓練ですね」


 コムは久しぶりの実戦訓練が楽しみなのか、頬が緩んでいる。メルナもコム同様だった。メルナは四人に近づくとそう言った。


「姉さんは本当に楽しみだね」


「当たり前でしょコム。この実戦訓練を行うことでまた一人の魔導士として戦えるのよ。コム、あなたもちゃんとやるのよ」


「分かってるよ」


「え?コムさんとメルナさんは姉弟なんですか?」


 なんとコムとメルナは姉弟だったのだ。


 確かに目の色と髪の色は同じ、茶色だ。


「皆さん。これからですね、実戦訓練についての説明が教官からありますので待っていてください..……あ!俺と姉さんは皆さんのサポートとして一緒に行動しますので、分からない所は言って下さい」


 コムがそう言うと人が集まったのか、バルナからの集合の声が掛かった。


「呼ばれたのでいきましょう」


 翔太はそう言うと六人はバルナの方へ向かった。


「ふむ。よく集まってくれた。これより実戦訓練についての説明を行う」


 バルナはそう言うと、今回の実戦訓練の内容について説明した。


 各々決められた班に分かれ、約1週間掛けて目標まで進む事だ。


 約1週間である程度の戦闘技術やサバイバル技術を身に付けさせ、長期任務ら戦場で役立てる為に行うのだ。


 訓練兵や魔道士見習い達はそれぞれバランス良く組まれていき、翔太達も四人に加えてコムとメルナがサポートとして入った。


 するとそこへ遅れて熊鉄がやって来た。


「おいクマテツ!遅刻だぞ!」


 遅れてやって来た熊鉄を見かけたバルナはそう言ったが、熊鉄は無視し、訓練兵達の最後尾に並んだ。


「まぁ来ただけマシか」


 バルナはそう言いため息を吐くと、訓練兵達に武器と食料、荷物を渡し始めた。


「この中に野宿に必要な物があらかた入っている。訓練兵と魔導士見習いは俺に、召喚者とコムとメルナはグネヴィアの所に集まってくれ」


 するとバルナの言う通りに七人はグネヴィアの所へ集まった。


「良し集まったな。今回、引率をするグネヴィアだ。移動はめんどくさいから魔法で飛ぶぞ」


 グネヴィアは指を鳴らすと周りの景色がガラッと変わり、森の中へ変化した。


「ここが今回の実戦訓練の場所だ。さっきバルナが説明した通りに目的地までに1週間で辿り着いてくれ。私は遠くで見守っているからな」


 グネヴィアはそう言うと魔法を唱え姿を消した。


 翔太達はまた、瞬間移動だと思ったが空中から声が聞こえた。


「え?教官?」


 雪は聞き間違えと思ったが、また声が聞こえた。


 今度はハッキリと。


「これは透明化魔法だ。私はこれを使ってお前達を見る。緊急事態が起こったら手伝うから気にしないでやってくれ」


「皆さん!こちらに!」


 グネヴィアと四人が話していると、コムに呼ばれた。


 コムの所に行くと、コムとメルナはバルナから渡された荷物の中から地図とコンパスの様なものを取り出した。


「皆さん。まず、この地図が今私たちがいる森の位置です」


 メルナの持っている地図を広げ、翔太達に見せた。


 広大な森のど真ん中に池があり、左には白色の地域があった。


「今私達がいるのは恐らくここでしょう」


 メルナが指し示す所は右端だ。


「そして、最終時点は真反対の岩山のある所でしょう。なのでこのまま、真っ直ぐ行けば予定通りに1週間で着くと思います」


 メルナのここまでの説明に翔太は感心した。


 何故ならまだ、瞬間移動したばかりの筈なのに周囲の確認や地形の特徴から現在地をこの大きい地図から探し当てたのだ。


「姉さんそれよりまずは陣形から考えよう」


 メルナは荷物をまとめている所にコムがそう言うとメルナは頷いた。


「そうね。陣形を忘れていたわ」


 メルナは翔太達と熊鉄を読んだ。


 翔太達は素直に来てくれたが、熊鉄は聞いてないふりをしていた。


「メルナさん、あいつはほっといていいです」


「そうですか……分かりました。まず、前衛はコムが張ります。ショータさんとレンジさんは隙を見て敵を切って下さい。私とユキ、リカは魔法でサポートしますので」


 するとコムはどこから取り出したのか分からないほどの大きい盾を取り出した。

 

「形としては俺が前に出て相手の攻撃を防ぐのでショータさんとレンジさんは俺の一歩後ろに。そんでー-」


「ユキとリカは私と一緒に居てください」


「「「「はい」」」」


 四人はそう返事するとメルナは「行きますよ」と言い六人は進み始めた。


 一方熊鉄はめんどくさがりながらも、六人の後をついて行った。

 

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