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5-19 説得

「……ッホ!!ッホ!!」


 蓮司は剣に雷を纏わすと剣を振った。

 

 翔太と蓮司が剣士の訓練と魔法の訓練を始めてから三週間が経った。


 ここまで来るのに二人は苦労したが何とか付与魔法を維持したまま剣を振ることは成功している。


 だが問題は持久力だ。


 二人は雪と梨花ほど魔法に触れていないため魔力の使い方はまだまだ上手くいかず五分で付与魔法が切れてしまう。


「何とか付与魔法は形になったな。持久力は後から伸ばせばいい」


 グネヴィアは剣を振っている翔太と蓮司にそう言うと魔力を回復する瓶を渡した。


「三日後に実戦訓練が始まる。上手くいかない所もあると思うが諦めずにやってくれ。私達も最低限は手伝う」


「確か実戦訓練を行う場所はどんな魔物が出るんですか?」


 翔太はグネヴィアに質問した。すると、


「あれ?バルナから聞いていないか?」


 グネヴィアの質問に翔太と蓮司は首を横に振る。


 それを見たグネヴィアは頭を抱え、収納魔法から薄い本を取り出した。


「ここに実戦訓練で出てくる可能性がある魔物の詳細が書いてある」


 翔太と蓮司は本を開いてみた。


 すると魔物の見た目と戦闘方法が書いてある。


「ここにある魔物を覚えていればいい。明日は簡単な作戦とパーティー編成があるが……お前達は召喚者組で組まされると思う。それじゃあ明日、また会おう」


 と、グネヴィアと二人は分かれた。



 グネヴィアによる魔法の訓練が終わり、食堂へ向かっている翔太と蓮司は実践訓練について話し合っていた。


「ねぇ蓮司。召喚者組と組まされるって事は熊鉄もいるのかな?」


「え……まじか……」


 蓮司はそう言うと頭を抱えた。熊鉄とは未だに仲が悪く、一日見ない事が良くある。


「でも流石に命に関わる事だから少しはちゃんとやってくれる……と考えたい」


「でもコムさんもいるらしいからある程度は大丈夫だと思うけど」


「ま、そん時はそん時だ」

 

「そうだね。それより腹減った。さっさと飯を食おう!」


「オッケー」


 二人は訓練が終わるとそのまま食堂へ向かった。食堂には既に梨花と雪、三週間ぶりのシエラが居た。


「あれ?シエラさん!最近見ていないですけどどうしたんですか?」


「ショータ様。実は……」


 シエラはなぜ三週間いなかったのかを話した。


 本当は聖遷が予定通りに終わり帰ろうとしていたが、ここで緊急事態が起こった。


 バルト王国の横にある森があるのだが、一部だけ草木が枯れているのをとある冒険家が見つけ、それを冒険家ギルドに報告した。


 だが後の調査により、草木が枯れていたのは闇が原因と分かった。


 だが、もっと早い段階で気付けば街の中にある牧師が浄化出来たのだが発見が遅かったせいで闇が倍に広まってしまい、普通の街の牧師では無理と判断された。


 そこで神の光を持つシエラが選ばれ、闇が確認された森へ向かった。


「……と、まぁそんな感じです」


「そうなんですね……」


「ねぇシエラちゃん。闇ってそう簡単に発見出来るの?」


「いえ。闇はここ50年は発見されていません。50年前の闇はほんの小石のサイズだったので簡単に処理出来たと聞いています」


「そうなんですね……ということは」


「はい。恐らく闇の使徒が現れたことにより活性化しているのかもしれません」


「やっぱり……もし実戦訓練で闇とあったら……」


「皆さん……闇と出会ってしまったらまず逃げてください」


「でもそれだと!」


「もしもの話です。仮に闇と合ってしまったら近くにいる教官に伝えれば大丈夫なので」


 シエラはそう言うと、夕飯を食べ終え席を立った。


「皆さんも三日後の実戦訓練に備えて体を休ませて下さいね」


 と、シエラは四人にそう言うと自分の部屋へ戻った。


「闇……か」


「ねぇ雪、蓮司、翔太。もし闇が居たらどうすんの?」


 梨花は闇について考えている翔太や雪と蓮司にそう質問した。すると翔太は梨花の質問に答えようとした。


「分からない。実はシエラさんの説明で気になる事があって……」


「気になること?」


「闇は魔物にも持っているか、それとも……なんというか……モヤみたいな感じなのか」


「確かにね。でもさ、魔物が闇を持ってたら好都合じゃない?」


「どういうこと?梨花ちゃん?」


「闇を持っている魔物と戦えることが出来たらさ。闇の使徒と戦えるのに一歩近づくと思うんだよね」


 と、梨花の説明に三人は梨花が何を言ってるか理解できた。


 だが、


「駄目だ」


 と、翔太は真っ向から否定した。


「確かに闇を持っている魔物と戦えたら闇の使徒との戦いに一歩近づけるかもしれない。でも闇を持っている魔物の力は未知数だ。そもそも、一番下のランクの魔物もどれぐらいなのか分からないだろ?」


 と、翔太は言った。


 確かに翔太達は低ランクの魔物を倒すことは今までに無く、それに加えて命のやり取りを四人はしたことがない。


「だからさ。闇を持っている魔物ともし出会ったら逃げよう」


 翔太の説得により雪と蓮司はもちろん梨花も頷いた。

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