5-13 訓練3
翔太と蓮司が訓練を始めた頃、梨花と雪はグネヴィアと一緒に魔道士見習いが集まっている所は連れられている。
「二人は最初は簡単な挨拶をしてくれれば良い」
グネヴィアは扉を開けながらそう言うと目の前には複数の魔道士見習いが居た。
「お前達!集まれ!」
グネヴィアがそう言うと今まで本を読んでいた人、話し合っていた人達がグネヴィアの方は集まり出した。
「もう皆んなは知ってると思うが知らないやつの為にも一応知らせておく。
今日から最近噂になっている召喚者のリカとユキが訓練に参加する。取り敢えず簡単な自己紹介を頼む」
「はい。巫雪と言います。ユキと呼んでくれれば嬉しいです。よろしくお願いします」
雪の自己紹介が終わると魔道士見習い達は拍手をした。
「初めまして。鈴木梨花です。リカと呼んで下さい。よろしくお願いします」
梨花の自己紹介が終わるとユキ同様に魔道士見習い達が拍手をする。
「それじゃあ最初はいつものメニューでやってくれ!…そうだな……メルナこっちに」
グネヴィアが一人の魔道士見習いを呼ぶと、メルナと呼ばれた女性がやって来た。
「メルナ。すまないが二人の教育係をしてくれ」
「はい。ですが私で良いのでしょうか?」
「別に問題ない。なぜならお前は今の魔道士見習い達の中で優秀だからだ。リカとユキ、分からないことが有れば私かメルナに聞いてくれ」
「「はい!」」
「それじゃあ頼んだぞ」
グネヴィアはそう言うと魔道士見習い達の前から姿を消した。
「リカさん、ユキさん。初めましてメルナと言います。よろしくお願いします」
メルナはそう言うと頭を下げた。
「最初は軽い体力作りから始めます。まずは広場を3周走ります」
「は、はい……」
メルナの言う広場とはサッカー場丸々一個ありそうな広いグラウンドだった。
雪は今目の前にあるグラウンドを見て嫌な顔をした。
ユキは幼い頃から走るのが苦手で持久走ではいつも最下位だった。
前に走った時は今いる所よりもグラウンドが狭く、ゆっくり走れた。
「雪。頑張ろうな」
「うん……」
梨花が雪を励ますとグラウンドを走り始めた。
梨花と雪がグラウンドを走り終わるとそこへグネヴィアが荷物を持ってやって来る。
「終わったか?なら今度はこの水晶に魔力を流して壊せ」
グネヴィアがそう言うと魔法を使い魔道士見習い達に水晶を渡した。
「メルナ。詳しい説明は頼んだぞ」
「はい。リカさん、ユキさん。今度は水晶に魔力を流して壊して下さい。これは自分自身の魔力を高める訓練です」
メルナがそう言い、水晶に魔力を流すと簡単に壊してしまった。
「さ!さっそくやりましょ!」
メルナがそう言うと二人は水晶に魔力を流し始める。
だが二人は水晶に魔力を流す事が上手く出来ない。
元々この世界に住んでいる魔道士達は幼い頃から魔力と言うものに触れていた。いわば生活に必要不可欠な存在だ。
だがそれに対して梨花と雪、翔太と蓮司もだが魔力と言うものにこの世界に来て初めて触れた。
つまり今の二人にとって初歩的な物は何も分からないのだ。
「昨日感じた体の中にあるモヤモヤを前に押し出して」
メルナがアドバイスをした。
メルナは昨日二人がある程度基礎をやっていたのをグネヴィアから聞いていた。
ならば体の中にある何かをもう知っているに違いない。
しばらくすると二人の持っている水晶の色が変わり始める。
「良いですよ。その調子です」
すると二人はほぼ同時に水晶を割る事ができた。
だが二人は相当集中したのか息切れをしている。
「良く出来ました!これからはこれを毎日やって魔力を体に慣れさせて下さい」
息切れをしている二人にメルナがそう言うと、頷いた。
「良し。お前ら今度はこの的を壊せ!これが終わったら休憩後座学だ」
グネヴィアはそう言い指を鳴らすと的が現れた。
それに対して魔道士見習い達はそれぞれ的一つに付き一人ずつ並んだ。
梨花と雪もそれに習い的の前に立った。
そこで二人は昨日と同じ事をしていた事を思い出す。
だが魔道士見習い達は何やらブツブツ唱えている。
すると隣に居た魔道士見習いの手から炎の玉が現れた。
「うそ……」
余りの出来事に梨花は困惑した。
だがそこですかさずメルナが梨花に駆け寄った。
「えっとですね……二人は昨日やってもらった内容でやって大丈夫です。魔法やその応用はまた後で教わると思いますので」
メルナの言う通り梨花と雪は魔力玉を的に当てようとした。
二人は昨日の感覚と、今日の水晶を割る訓練を思い出しながらやる。
多少時間は掛かったが昨日よりも短い時間で魔力の玉を的に当てる事ができた。
「あれ?昨日よりも早くなってない?」
「梨花ちゃんも早くなってるよ」
魔力の玉を出現させてから放つのに二人は早くなっていることに気付いた。
「恐らくは昨日の魔力感知と今日の水晶を割る訓練により、魔力に対する反応などが良くなっているのでしょう」
メルナが言い終わると雪は再び魔力の玉を飛ばした。
だが一回目とは違い流れるような動きで魔力の玉を放つ事が出来た。
「本当だ。何回かやってると感覚が分かる……」
「はい。ユキさんの言う通りです。魔法とは反復練習です」
しばらく魔道士見習い達と梨花と雪は的に魔力の玉を当て続けていた。
するとグネヴィアがまた現れた。
「そろそろ良いだろう。お前ら!今度は座学だ…移動が面倒だな……集まれ!転移するぞ!」
グネヴィアがそう言うと魔道士見習い達はグネヴィアの周りに集まり始める。
「二人も行きますよ」
梨花と雪もメルナの言葉に従いグネヴィアの方は寄ると景色が変わった。
その場所は教室の様な感じの部屋だった。
「好きな席に座れ」
グネヴィアがそう言うので梨花と雪は前の席に座る事にした。
すると、
「お前達はまた別の事を教える。メルナ!この二人に魔法の使い方について教えてくれ」
「わかりました。二人ともこちらに」
メルナがそう言うと梨花と雪は部屋を出て、また別の部屋に入った。




