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5ー12 訓練2

 本格的な訓練が始まって2日目だ。二人は準備運動として訓練兵達と走っている。


「良し!そろそろ素振りの準備をしろ!」


 バルナがそう言うと訓練兵達は壁に掛けられている木刀を持ち始める。


 翔太と蓮司はついさっき教育係に任命されたコムに軽い説明を受けている。


「これから剣を扱う基礎中の基礎である素振りを始めます。まぁまずは見てもらったほうがいいですね」


 コムはそう言うと木刀を振った。「ブン」と風を切る音と共に木刀は振り切らずに腰の高さで止めた。


「これは剣を振る際に必要になる背中と肩の筋肉を鍛える振り方ですのでしっかりやってください。教官いいです!!」


「良し!……それじゃあ始め!!!!」


 バルナの合図と共に訓練兵達は一斉に木刀を振る。


 だがバラバラに振っているのではなく同じタイミング、同じ速度で振っている。


 翔太と蓮司も訓練兵の速度についていけるように全力で木刀を振っている。

 

「そこまで!休憩だ!」


 素振りを初めて15分が経つと、バルナは休憩の命令を出した。


 バルナの言葉と共に訓練兵達は今まで使っていた木刀を元あった場所に戻し、水分補給を始めた。


 翔太と蓮司は初めて15分間木刀を振った事により、腕が上がらなくなっていた。


「大丈夫ですか?二人とも」


 教育係のコムが二人を心配し、声を掛ける。


「はい……大丈夫です」


「安心してください。みんなも最初はこんな風でしたので...おっと。次の訓練が始まりそうですね」


 コムの言葉通りにバルナは「次の訓練だ!」と言い、訓練兵達は準備を始めた。


「次は体の筋肉を鍛える訓練ですね。まぁ周りの動きを見てもらえばある程度は分かると思います」


 コムの言う通りに、翔太達は訓練兵の動きを見た。


 するとコムの言っていた体の筋肉を鍛える訓練は、日本で言う腕立て伏せに似ていた。


「翔太。これならいけるな」


「そうだね」


 と、蓮司はそう言うと訓練生と同じく、腕立て伏せの体制になり、翔太も蓮司に続いて腕立て伏せの体制になった。


「それじゃあ、始め!!!」


「「「「「1,2,3,4,……」」」」」


 バルナがそう言うと訓練兵達は声を合わせて、同じタイミングで腕立て伏せを始めた。


 翔太達も周りの訓練生に合わせて腕立て伏せを始める。


 二人共は元々運動部に居た為、腕立て伏せなどの筋トレは日常的にやっていた。


「お!二人も意外とついていけてるな……ペースアップだ!声もちゃんと出せよ!」


「「「「「はい!!!!」」」」」


 バルナの指示と共に訓練兵達のペースが徐々に上がり始める。


 翔太と蓮司も訓練兵について行くようにペースを上げた。


 しばらくすると休憩の指示が出た為、訓練兵達と翔太達は休憩を始めた。


「やっぱ最近筋トレしてなかったからやばいわ」


「そうだね」


 二人が話していて、蓮司はふと建物の中に入る扉を見た。すると扉が開き、そこから熊鉄が出てきた。


「おう。来たか」


 熊鉄を見かけたバルナはそう呟くと熊鉄の方へ寄った。


「それで?どうする?」


「あ?ここに来たんなら後は分かんだろ?」


「そうだな……お前たち!新しいやつだ!可愛がってやれ!」


 バルナがそう言うと熊鉄は面倒くさそうに訓練兵達の所へ行った。


「良しお前ら!次だ次!!」


 訓練兵達は今度は仰向けになり、腹筋を始めた。


 翔太や蓮司も訓練兵に続いた。その時二人は熊鉄はやらないと思っていた。


 だが、翔太と蓮司の考えに反して熊鉄も腹筋を始めた。


 先程の腕立て伏せの様に声を合わせゆっくりのペースでやっていたが段々とペースが速くなっていく。


 三人も訓練兵達のペースアップについていく。


 体感15分経ったときバルナの休憩の合図が出た。


二人は久しぶりの筋トレに少し疲れていたが、熊鉄は何食わぬ顔で水を飲んでいる。


「なぁ翔太。アイツどういうつもりだ?」


 蓮司は突然来て、いきなり訓練に入って来た熊鉄に疑問を抱いていた。


「さぁ?まぁアイツも自分なりに改心しんたんだろう?」


 翔太はそう言うと水を飲んだ。


「ん!教官が次の訓練始まるって!蓮司行くぞ!頑張るぞ!」


「おう!!頑張ろうな!」


 二人はお互い励まし合うとバルナの方は走った。


「次の訓練は打ち合いだ!ふざけないように。分かったか?」


「「「「はい!!!」」」」


 すると訓練兵達は片付けていた木刀を再び取り、2人1組となり、お互い木刀を振った。


 訓練兵の動きを見た蓮司と翔太は大体分かり、訓練兵と同じように始めた。だが、問題は熊鉄だ。


 しかし、熊鉄は迷わずにバルナの方へ行き、拳を振り上げた。


「おっ?今日もか?良いだろう」


 バルナはそう言うと、熊鉄の放った拳を避け力強いカウンターを食らわせた。


「どうした?昨日の勢いはどうした?」


「うるせぇ!!」


 熊鉄はバルナのカウンターに怯みながらもバルナに拳を振った。


「あいつまだ飽きないのかよ……」


「あの……熊鉄を知ってるんですか?」


「ん?ああ。知ってるも何もアイツ召喚されてからずっと俺らに勝負を挑んでるだぜ?」


「それって……」


「それは私が教えます」


 翔太と蓮司の元にやってきたコマは今までのことについて教えた。


「あのクマテツさんはずっと私達や教官に勝負を挑んでるんです。ですが挑む度に私達や教官にボコボコにされてるんです」


「じゃあ昨日、アイツの顔に傷がついてたのは…」


「はい。実は昨日も来てたんです」


 コマの話を聞いた翔太は今まで熊鉄を見なかったことや顔についた傷の正体が分かった気がした。


「でもなんでアイツは……」


「分かりません。まぁ私達としてはある程度実戦に使える格闘が出来るので構いませんが……おっと終わりそうですよ」


 コマの言う通り、バルナの拳が綺麗に熊鉄の顎に当たり、熊鉄は脳震盪を起こしそのまま地面に倒れる。


 バルナは急いで熊鉄をうつ伏せの状態から仰向けにし、喉に巻き込んでいる舌を元に戻し、呼吸を元に戻した。


「休憩は終わりだ!今度は荷物を持って走って来い!」


 訓練兵は石が詰まったバックを背負い走り始める。


 翔太達も訓練兵達と同じように石の詰まったバックを背負い走り始めた。

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