表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/271

5-1 旅

「はぁはぁはぁ……」


 アルクとホワイトスパイダーは山道を歩いていた。


「おい……白蜘蛛……大丈夫か……」


 アルクとホワイトスパイダーが出会ってから一週間が経った。


 一度は超えた国境は、またバルト王国に戻った。


 ホワイトスパイダーとは上手くコミュニケーションが取れずに気まずい空気をしていたが、1週間も経てばある程度は分かるようになってきた。


 そんな時、アルクはいつもホワイトスパイダーと呼ぶのが面倒だと考え簡単な名前をホワイトスパイダーにつけた。

 それが白蜘蛛だ。


「白蜘蛛……ここを登り切ったら……休憩に入ろう」


「ガゥ〜」


 アルクと白蜘蛛は消えたクプニ村に向かう為、南に進んでいたが途中でセリオン山にぶつかり、アルクと白蜘蛛はその山を進んでいた。


「ガアッ!!」


 その時アルクの後ろをついて来ていた白蜘蛛は足場が突然崩れ、落ちようとしていたがアルクがギリギリで足を脚を掴み白蜘蛛が落ちるのを塞いだ。


「ガァ……」


 白蜘蛛は申し訳なさそうな鳴き声をしたがアルクは「気にするな」と言い山頂を目指して歩いた。


「はぁ……はぁ……着いた……」


「クゥ……」


 山頂に着いたアルクと白蜘蛛は休憩をする為地面に座った。


 するとアルクは収納魔法から水が入った水筒と皿を取り出した。


「ほら。お前の分」


 アルクは皿に水を出し、白蜘蛛の前に置いた。


 アルクは空を見上げると薄暗くなっていた。


(もうすぐで夜か……雨風を凌げる場所を探すか)


 アルクは立ち上がり雨風を凌そうな場所を探し始めた。


「流石に丁度いい場所は……んん!?おお!」


 アルクが声を上げた先には小さい小屋があった。


「にしてもなんでここに……」


 アルク達がいる場所は世界で5番目に高く登山者もあまりいない。


「もしかして登山者用の?」


 アルクは警戒しながら小屋のドアを開けたが中は何もなかった。


「何にもない……まぁいい。使わせてもらおう」


 アルクは荷物を置き白蜘蛛を呼びに戻った。


 白蜘蛛を呼んだアルクは小屋に元から付いていた焚き火に火を付ける。


「流石に山頂にいるから冷えるな」


 アルクは焚き火に掛けてある鍋を混ぜながら呟いた。


「良し。白蜘蛛。お前の分だ」


 アルクは鍋から雑煮を取り出し、白蜘蛛の分と自分の分に分けた。


 雑煮を食べ終わったアルクと白蜘蛛は魔法を使い周囲に簡単な結界を張り睡眠に入った。



 -------


「……うう……朝か……さむ」


 目を覚ましたアルクは自分の息が白くなっているのが分かるほど気温が下がっているのを感じることが出来た。


 アルクは急いで起き上がり焚き火に火を付け直した。


(今日はミル商業都市に行きたいな。)


 ミル商業都市は中規模の都市だが、商業都市なだけに世界中から様々な道具や食べ物が集まる。


(たしかミル商業都市には昔の冒険者カードが保管されているはず)


 アルクは都市などに入りたくなかったがある目的のためにミル商業都市に入る為がある。


 それは冒険者カードの復旧である。ミル商業都市には冒険者カードを保管することが出来る。


 アルクは昔冒険者カードを保管し現在の冒険者カードを保有している。


(それに幸いなことに、まだ俺の顔を知っている奴は少ない)


 アルクは昔の冒険者カードを保有していた時は仮面をかぶっていた為アルクの顔を知っている者は少ない。


「ワゥ~~~~」


 すると白蜘蛛が伸びてる声が聞こえた為アルクは軽い朝食の準備をし始めた。


「白蜘蛛。今日は山を下りて人間の街に入るぞ」


 アルクはそう言うと白蜘蛛はアルクを見つめたまま動かなくなった。


「え?そんな驚く?」


 白蜘蛛の驚き具合にアルクの予想の上を行った。

 確かによくよく考えてみれば白蜘蛛は魔物であり、冒険家の討伐対象の一つだ。


(あれ?ミル商業都市に入るときに襲われるか?……いや大丈夫だろ)


 アルクはそんなことを思いながら身支度をし、白蜘蛛と共に小屋を出た。


(っと。その前に髪の色を変えないとな)


 アルクは自分自身に偽装魔法を掛け、髪色と目の色を茶色に変えた。


「それじゃあ行くか」


 アルクは白蜘蛛にそう言うと収納魔法から仮面を取り出し山を下り始めた。

 

ーーーーーーーーーーーー


 「はぁ……暇だな」


 城門の見張りの為に立っている兵士がそう呟いた。


「まぁ平和ってことでいいだろ」


 同じく見張りの為に立っている兵士がそういった。


「それもそうだな」


 すると町の中から一枚の紙を持った兵士がやって来た、


「おい。新しい指名手配書が来たぞ」


「どれ見せてみろ……『闇の使徒アルク』。こいつは確か王都の方に……」


「そうだ。まぁちゃんと見張ってくれよ」


 兵士はそう言うと町の中に戻って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ