3ー24 日常
「それではこれよりスキンティア学院闘技大会閉会式を始める」
と闘技場の真ん中に立って話をしているのはスキンティア学院長だ。
「今年のスキンティア学院闘技大会は非常に素晴らしい物だった。選手一人一人が全力を出し切り己の力を示した。それはどんな鍛錬よりも価値がある。来年の闘技大会も楽しみにしている」
学院長がそう言い終わると閉会式が終わり各自解散となった。
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アルクは治療室のベットに横たわっていると治療室の扉が開く。
「アルク様。今年のスキンティア学院闘技大会はお疲れ様でした。」
アルクが扉の方を見るとそこにはシエラが立っていた。
「ありがとう。ところで何でここに?」
「アルク様にこれを返そうと思って……」
と、シエラの差し出した手に持っていたのはアルクが闘技大会が始まる前に渡したロケットだった。
「いや、これはシエラが持っててくれ」
「ですがこれは大事な物なのでしょう?」
「確かにそうだ。だがシエラがこれを持ってるお陰でこっちの護衛も多少楽になる」
「ですが……」
「頼む。持っててくれ」
「……わかりました。それでは大切にします」
シエラはアルクの言葉に納得しロケットを自分のポケットに入れた。
「後もう一つ」
「どうした?」
「実は1ヶ月後の一月に私の誕生日があります」
「おお!それはめでたい」
「はい、それでその日にパーティーがあるのですがアルク様も一緒に来ませんか?」
なんとそれは貴族王族のパーティーに招待された。
しかも主役であるシエラに。
「でも、平民である俺が行ったら問題になるんじゃ……」
「大丈夫です。私の護衛という事で有れば問題ないです。」
「分かった。何すれば良い?」
「基本的に私の隣にいて執事の様な事をしていただけば」
「分かった」
と、アルクが言うとシエラはお辞儀をし治療室を出た。
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スキンティア学院闘技大会が終わって一週間が経つ。
しばらくは長期休暇として生徒は実家に帰ったりなどしている。だがアルクはずっと宿などで過ごしていたため実家などなく寮で過ごしていた。
だが流石のアルクも休んでばかりだと体が鈍ると判断し久しぶりに冒険家ギルドに行った。
「流石王都のギルド!大きいな!」
アルクは王都のギルドに驚いていた。
王都のギルドは本部なのだから大きいのは当たり前だ。
「こんにちは。新規登録ですか?」
アルクがギルドに入りカウンターに着くと受付嬢に聞かれた。
「いや。新規じゃなくて依頼を」
「それでは冒険証を提出お願いします」
と、受付嬢が言いアルクは冒険証を提出する。
「ふっ。Dランク」
笑われた!?
「お言葉ですが冒険証の更新が2ヶ月前からされてませんのでEランクに降格されます」
「そんな……じゃあ再審査は出来ますか?」
「例えしたとしてもDランク止まりの貴方が上がるとは思いませんので。例えやったとしても恥をかくだけですよ」
「でも……」
アルクがまた言い返そうとした。
「おいしつこいぞ」
「いつまで待たせるんだ?」
「おい、こいつEランクに降格したってよ」
「マジか。それはどんまいだわ」
と、背後から声が聞こえ後ろを見ると冒険家達が並んでいた。
「……分かりました。それじゃあ薬草回収の依頼を」
アルクがそう言うと依頼書を雑に投げて来た。
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「よし。これぐらいで良いか」
アルクは冒険家ギルドを出て近くの森へ向かい薬草を集めていた。
「だ、だれか!助けてくれーー!」
と近くで声が聞こえた。
アルクは薬草を集めるのを中断して声が聞こえた方へ走った。
するとそこには傷だらけの3人の男と魔物がいた。その魔物は獅子の様な体をしているが、顔は人間に近く、尻尾はサソリのようになっていた。
「あれは……マンティコア!?」
マンティコアはBランクに指定されている魔物で人語が話せる程賢い。
マンティコアは獅子の様な見た目で全体的に赤くサソリの様な尻尾と翼があり、マンティコアの毒は一滴で大人5人を殺せる毒を持っている。
するとマンティコアは赤毛の男に向かって毒針を打とうとしたがアルクが短剣を尻尾に投げ刺す。
突然の攻撃にマンティコアは怯んだ。
アルクはマンティコアの尻尾に刺さった短剣に巻かれいていた魔法陣を発動させ[汎用魔法・座標移動]を発動させる。
そのままマンティコアの尻尾にワープしたのと同時にマンティコアの尻尾を切断した。
「大丈夫ですか?」
アルクは怪我をした冒険家達を背に言った。
「これが大丈夫に見えるか?」
「そんなに話しているのなら大丈夫でしょう」
と、アルクが言うと怪我をした冒険家に回復ポーションを渡した。
「てかお前はギルドでEランクに下がったガキじゃねぇか」
怪我をした冒険家が言うとアルクは思い出した。だがアルクはまずはマンティコアを討伐しようと剣を構えた。




