3ー23 アルク対セイラ4
最初はセイラ視点です
(な、何が起こった?)
アルクに蹴飛ばされたセイラが煙の中から起き出した。
(あの時、[光の剣]で左腕を切り落とすつもりで振った。だがアルク君は私の[光の剣]を掴んだ?ありえない。[光の剣]は超高温の光の凝縮物質だ。それを掴んだとしても皮膚が焼けるどころか肉が爛れ落ちる筈だ……しかも私を蹴飛ばす時アルク君の左目が黒く染まっていた……あれは一体?)
セイラが考えているとアルクが距離を詰め剣を振った。
(重い!?まさか今までは速さ中心の攻撃が重さ中心になったのか?)
アルクの剣が左薙、右薙、振り下ろしと重なりセイラが押されて行った。
――――――――――――――
アルクがセイラを蹴飛ばしてからはアルクがセイラを押している。よほど蹴りの威力が高かったのか分からない。
アルクがセイラの懐に入り剣を下から上に上げ、セイラの剣を弾くとセイラを真上に蹴り空中に浮かせた。
[我流剣術・実像剣]
アルクがそう言うと、アルクの持っている剣が四本に増える。そしてアルクは空中に蹴り飛ばされたセイラに向かって剣を放り投げた。
[汎用魔法・場所移動]
するとアルクは最初に放り投げた剣にワープした。
[アレキウス神滅剣・五剣封殺]
アルクは剣を掴みセイラを斬るとまた[場所移動]し二本目の剣に移動した。
アルクはそれを繰り返し五本目の剣に移動すると[火雷の刃]の出力を上げ、セイラに突撃し、地面に叩きつけた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
地面に叩きつけられたセイラはゆっくりと起き上がった。
「マジか」
「それはこっちのセリフだよ……さすがS級冒険者だね。」
「やめてください。それは昔の話です」
「そうか」
「そう言えば、何で二席の人がこんなに簡単にやられるか分かった気がします」
「例えば?」
「恐らく二席は大魔法を使おうとした。だがそこで貴方の[魔法消去]で魔法陣の一部を消し、暴発させた」
「正解だよ……ッ!?」
すると顕現していたセイラの翼の内二本が消えた。
「どうやら神光が限界みたいだ」
「そうか……ぐっ……」
「ふむ。どうやら君も限界が近いみたいだね」
「だって魔力の解放だけで結構な量の魔力を使いますから。」
「そうか……どうやらお互い後一撃だけってところかな?」
「そうですね」
アルクがそう言うとセイラは剣を上段の構えにした。するとセイラの剣に光が集まっていく。アルクもセイラを真似るかの様に、剣を上段の構えにすると[火雷の刃]の出力を上げた。
[聖剣流奥義・栄光へ導く剣の道]
[アレキウス神滅剣・火雷神]
アルクとセイラは同時に剣を振った。
セイラからは光の巨大な斬撃が飛び、アルクからは炎と雷の合わさった龍の様な斬撃が発生した。
お互いの斬撃がぶつかると闘技場に展開していた結界が大きく揺れた。
「ぐっ……何なんだあの二人は?」
「これが学院生徒の全力なの?」
「け、桁違い過ぎる……」
観客席の方ではアルクとセイラのぶつかり合いを驚愕の表情で眺めていた。
「はあああああああああああああああ!!!」
「うおおおおおおおおあおおあおおお!!!」
闘技場ではアルクとセイラの激しい攻防が続いていた。
だが次第にアルクが押されていった。
理由は簡単。
それは魔力欠乏。[独自身体強化術・羅刹]は発動するために大量の魔力を使う。それだけでは無く[独自身体強化術・羅刹]を維持するのにも大量の魔力を使う。その魔力量は普通の魔法使いを3分で死に至らすほど。
するとセイラの光の斬撃はアルクの2歩前まで迫ってきた。そして遂に、アルクの[独自身体強化術・羅刹]が切れた。
[独自身体強化術・羅刹]が切れたのと同時にセイラの光の斬撃がアルクを包み、闘技場に展開していた結界が破ける。
「スキンティア学院闘技大会決勝戦優勝者十魔剣序列第一席セイラ=スキルニング!!!!」
審判がそう言うと闘技場内に拍手喝采が響き渡った。
「アルク君。良い戦いだったよ。今度機会が有ればまた戦おう。」
セイラが倒れているアルクに駆け寄り声を掛けた。
「こっちはもう戦いたくありませんよ」
「そう言われるとまた戦いたくなってくるじゃないか。」
とアルクとセイラが話していると闘技場内に担架が運ばれてきた。
「アルクさん。治療室に行きましょう」
「分かった」
アルクがそう言うと担架運ばれ治療室に向かった。
「アルク君。妹の護衛よろしく頼む!」
最後にセイラは担架で運ばれるアルクにそう言った。
ポイントワープはナルトで言う避雷針の術だと思って下さい




