3ー19 第一席の実力
「どうなっている?……いったい、どっちが?」
「それはこっちが聞きたい」
観客席が賑わっている理由はアルクとフローランスにあった。
それは先ほどの戦いで二人の放った技によって発生した煙によって闘技場の様子が分からなくなっていた。
「だが少し前までは人が斬れる音がしたということは?」
「闘技場に立っているものが勝ちと言うことになるな」
「おい!煙が薄まっていくぞ!」
と、観客席の人間が言うと闘技場が静まり返った。
闘技場には女性が血を流しながら倒れ、男性は剣を地面に突き刺し杖代わりにしながら立っていた。
「こ、この試合アルクの勝利!」
審判がそういうと闘技場はしばらくの間を置いて盛大なブーイングが起こる。
「ふざけるな!」
「この薄汚い平民が!」
「そうだ!ただの平民が十魔剣に勝てるわけがない!きっと不正を使ったに違いない!」
「今すぐに失格にしろ!」
「「「「「失格!失格!失格!失格!失格!」」」」」
観客達が大きな声で「失格!」と言い始めた。
確かに平民が十魔剣にそう何回も勝てるわけがない。
今この場に居る観客は平民が十魔剣に勝てたのを信じない者が多い。アルクが反論を言おうとしたらバランスを崩し倒れた。
「静まれ!」
と、誰かが大きな声で言った。
その声の主は学院長だ。
「今の戦いに置いて、アルクは不正をしていないと判断した!」
と、学院長が言うと観客席は静かになった。
「くっ……スキンティア学院の学院長が言うのなら間違い無いが……」
「学院長がそう言うなら。」
するとアルクが倒れた後に闘技場内に2台の担架が運び込まれ、アルクとフローランスは治療室に連れて行かれた。
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アルクが目を覚ますと見慣れない天井があった。
アルクがしばらく状況整理をしていると、声を掛けられた。
「起きたみたいだな」
アルクが右を見るとフローランスがベットに座っていた。
「フローランス……ここは?」
アルクは周りを見ながら聞いた。
「ここは治療室だ。」
「治療室?」
「そう……どうやら医師曰く私達は魔力欠乏の一歩手前だそうだ。」
「そうか……確かに俺達最後なんか口から血を吐いていたからな。」
「ああ。それで一日は絶対安静にした方が良いと言っていた。」
「そうか……と言うことは、俺は明日の決勝まで休めるのか。」
「そう言うことになるな。」
「それじゃあ私は自分の寮に戻ってるね。」
「もう大丈夫なのか?」
「魔力のほとんどが戻ってきたから大丈夫」
と、フローランスはアルクに言い、治療室を出た。
「それじゃあ、俺も寮にもど……る……」
アルクも自分の寮に戻ろうと立ち上がろうとしたら体に力が入らずベットに倒れた。
アルクは、フローランスを近くのベットに移すと、ベットに再び潜った。
「くつ……しばらく寝るか」
と、アルクは再び眠りについた。
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翌日
「それでは皆さんお待たせしました!決勝予選二日目の始まりです!」
審判がそう叫ぶと闘技場内が大きな歓声に包まれた。
「それでは第一回戦は十魔剣第二席対第五席です!」
闘技場の大きな歓声が更に響く。
「どうやら試合が始まったみたいだな」
アルクは闘技場の歓声によって目を覚ました。
「それじゃあ俺も観客席に……嘘?!」
アルクは起き上がろうとしたがまだ魔力が完全に回復してないようだ。
「やっぱり5年ぶりに解放したせいだな……もう少し寝てるか」
と、アルクが再び眠りについた。
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闘技場の激しい歓声でアルクは目を覚ました。
「よし、動けるな……この時間帯は準決勝か。」
と、アルクはベットから起き上がり治療室を出た。
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「おいおい、こりゃどう言う状況だ?」
アルクが観客席に着き闘技場を見ると異様な景色が映し出された。闘技場内は炎が燃え上がり地面のあちこちが陥没している。
「アルク!」
ふと聞き覚えのある声がしたので、その方向を見るとグラウスが居た。
「グラウス。なぁ、これはどう言う状況なんだ?」
「いや、こっちも知りたい。ついさっき試合が始まったのだが5分と経たずに、この有様だ!」
「おい、煙が晴れるぞ!」
と、観客席の誰かが言うとアルクは闘技場を凝視した。
すると煙の中から人が起き上がった。
「今、立ち上がったのが第二席ゾンで、そこに剣を構えて立っているのがセイラだ。」
アルクとグラウスが話し合っていると闘技場から声が聞こえた。
「本当にあんたはバケモンだな」
「そっちこそ。私の本気の技を耐えるなんて」
セイラがゾンに詰め寄ろうとした時、セイラの足元が光る。
[水魔法・水の牢獄]
水の塊がセイラを閉じ込める。おそらくセイラの窒息を狙っているのだろう。
[魔法消去]
するとセイラを閉じ込めた水の塊が形を失い地面に溢れた。
「ここで使うのかよ」
と、ゾンは諦めた様な声で言った。
「楽しかったぞ」
セイラは剣を振り下ろし試合が終わった。




