1-3 グランドグリズリー
ルカがグランドグリズリーに襲われた翌日、アルクは剣など準備をし、眠りの宿屋を出ようとした。
すると、扉の近くの椅子にルカが座っていた。
「あ!アルクさん」
ルカぎアルクを呼ぶと、アルクは心配そうにルカに駆け寄る。
「ルカ!まだ安静にしてないと……」
「大丈夫ですよ!」
「そうか……それじゃあ行ってくるから」
「アルクさん!気を付けて!」
そうルカに言いルカが襲われた所へ向かった。
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森に着いたアルクは、ルカが襲われた所に居た。タルバンの街では犯人は必ず現場に戻る、と言われていた。
「まずは探知魔法でも使うか」
と、アルクは言い探知魔法を使う。
「やっぱりでかい反応はないか。もうちょっと森の奥のほうでやってみるか」
そうアルクは言い森の奥へ向かおうとしたその時。
『グルアアアアアアアアアアアア』
と、雄叫びが聞こえた。
紛れもないグランドグリズリーの雄叫びだ。
「クソ!よりによって街道付近にいるのか!」
街道は人や馬車の行き来が激しい場所だ。怪我人が出る前にアルクは急いで街道へ向かう。
「早く!グラル様の馬車を守れ!」
と、兵士らしき人物が叫んだ。
「なんでこんなところにグランドグリズリーがいるんだ!」
「いいからとにかくこいつを馬車に近づけるな!」
と、2人の兵士が言った。
その様子をアルクは木の裏から覗いていた。
本来なら兵士の手伝いをしたいが、ここでアルクが入ってしまったら連携を崩してしまう場合がある。
そのため、アルクは様子を見ていた。
「おかしいな探知魔法にはグランドグリズリーの他に2体のグランドベアの反応があるんだが」
しかし見ている限りグランドベアがいる雰囲気はない。
「クソ……だめだ硬すぎて槍が刺さらな……まずい!」
と、兵士のひとりがグランドグリズリーの引っ搔きをくらった。
グランドグリズリーの引っ搔きは鉄を切り裂くほどの切れ味を持っている。
このままでは勝てないとは判断し加勢しようとした瞬間、地面から二体のグランドベアが出できた。
おそらくグランドベアの岩魔法で地面の中に隠れていたのだろう。
アルクは急いで街道へ向かい、兵士の前へ立った。
「加勢します!こっちはグランドグリズリーをやるのでグランドベアの方をお願いします」
と、アルクは言い鉄剣を抜く。
「よう、熊野郎。昨日は眠りの宿屋のルカがお世話になったな」
と、アルクは言い剣を構えた。
さっきの戦いで兵士の槍が刺さらなかったのアルクは思い返す。
(鉄剣で切るのは難しいだろう……だが目はどの生き物でも弱点だ!)
と、判断したアルクはグランドグリズリーに向かって走る。
それに反応したグランドグリズリーが地面に爪を立てた。
すると地面が揺れ始め地面が隆起する。
(なんだ?岩魔法か?)
思った通りグランドグリズリーは岩魔法を使ったが避ければ問題ない。
そして隙があるうちにグランドグリズリーに近づき目を剣で刺す。
目に剣が刺さったグランドグリズリーは驚いたのか、魔法でアルクとの距離を取る。
すると、兵士と交戦中であるグランドベアを呼び戻し、森の中は消えていった。
「大丈夫ですか?」
と、アルクはグランドグリズリーに引っかかれた兵士へ向かった。
「ああ、助かった。見ての通りかすり傷だ」
アルクはグランドグリズリーに攻撃された兵士へ駆け寄る。
「貴様ら何をもたもたしている!早く我は聖女殿に会いたいのだ!早く片付けをしろ!」
と、太った貴族らしき男が言ってきた。
「はい……グラル様申し訳ございません。今すぐ出発いたします。」
と、兵士が言った。
「ふん、分かれば良いのだ」
と、グラルという貴族は馬車の窓を閉めた。
「あの、良かったらタルバンまでご一緒にしますよ」
「おお!それはありがたい。それでも頼む!」
と、兵士がこたえてくれたのでタルバンまでの短い間護衛をすることにした。