3ー12 グラウス対シルア2
「よぉ、グラウス」
シルアは元気そうな明るい声でグラウスに話しかけた。
「なんだ?」
「いや。なんか元気ないなーと思ってな」
と、シルアとグラウスが話している。だが、グラウスはシルアを不気味に思っていた。何故なら闘技大会が始まってから、シルアはずっと同じ笑顔をしているからだ。
すると、
「二人とも準備はいいか?」
と、審判が訪ねると二人は返事をし開始のブザーがなった。
グラウスはアルクとの決闘で使った剣を出し、シルアは変わった形の槍を出した。
「ん?新しい槍か?」
「ああ。とある人から貰ったんだ。これが意外と軽くてよ、扱いやすいんだ」
シルアが出した槍は全体が包帯に包まれ、ただならぬ雰囲気を出していた。
槍は何故か包帯で巻かれており、槍本体が見えない形になっている。だが、シルアはそんな槍を愛おしそうに撫でると、グラウスに向けて構える。
[シンアール式槍術・白突き]
シルアの槍は白く包まれたまま突きを放つ。
[魔剣流・地の剣]
グラウスは岩の剣を生成し、シルアの[白突き]を打ち消した。
だがシルアは止まることなく、[白突き]と[地の剣]がぶつかり煙が発生しているうちに、シルアは自分の槍の間合いに入る様に距離を詰めてグラウスとの剣戟を挑んだ
「おらおらおら!どうしたグラウス?防御だけじゃあ、俺には勝てないぞ!」
シルアは槍や足など使い牽制していった。
[シンアール式槍術・牙突連撃]
と、シルアは広範囲の突きを連続で放ちグラウスを攻撃した。
「グッ!?」
グラウスはシルアの攻撃を防ぎきれず太腿、右腕、左肩に当たった。
実際外から見てもグラウスは防戦一方だった。
[魔剣流・五代剣]
グラウスは炎、水、地、風、雷の剣を作りそれらを利用しシルアの攻撃をそれぞれ防いでいった。
[シンアール式槍術・九頭竜]
と、シルアは九つの突きを竜の様に動かしグラウスの[五代剣]を打ち消し、残りの四撃をグラウス本体に放った。
[魔剣流・イリュージョン]
だがグラウスは魔法を使い5人に増え、シルアの四撃を身代わりとなり防いだ
[地魔法・地震]
闘技場の床を壊し、
[地魔法・岩の雨]
と、シルアの頭上に大量の岩の塊を降らせた。
だがシルアは槍を巧みに使い一つも当たらなかった。
[魔剣流・フレイムエッジ]
グラウスは炎の剣を作り左手に持った
[シンアール式槍術・トルネードランス]
と、シルアは槍を素早く回転させグラウスの魔法剣を吹き飛ばし、グラウスの胴体にも一撃を与え吹っ飛ばした。
「ぐふっ!?」
グラウスの口から血が吹き出した。おそらくシルアの先程の攻撃の正面から食らったのだろう。
すると翼の使用を許可するブザーが鳴った。
[顕現せよ!刮目せよ]
と、最初に翼を使ったのはシルアだった。
「くっ…[顕現せよ!刮目せよ]」
シルアの攻撃により吹っ飛ばされたグラウスも送れて翼を顕現する。
「すごいな。シルア……いつの間に強くなったんだ?」
「ふん。分からないだろう?お前には……平民に負けたお前には」
シルアが言った瞬間観客席はざわつき始めた。
「平民に負けた?」
「おい。あいつ、仮にも貴族だぞ?」
「そうだ。アイツは貴族の恥晒しだ」
「貴族たる者、平民如きに負けるとは」
と、観客席にいる貴族達はグラウスに対して罵詈雑言を言い始めた。
[光魔法・清浄なる槍]
しかしグラウスはそんな観客席の言葉には気にせず魔法を撃った。
[光魔法・清浄なる槍]
とシルアもグラウスと同じ魔法を出し相殺した
[魔剣流・エアスラッシュ]
「グッ!?」
グラウスは[ホーリーランス]が相殺したのと同時に放ちシルアの右腕を斬った。
「テメェ……槍よもっと力を寄越せ!」
と、シルアが言った瞬間シルアの持っていた槍が光シルアに吸収されていった。
するとグラウスに斬られた右腕から煙が出てどんどん再生していった。
「シルア。なんだ、その槍は?」
グラウスはシルアの体の変わり具合に動揺していた。
それもそのはず再生効果が付いている槍なんて誰も聞いた事がない。
「テメェなんかに教えるとでも思うか……っよ!」
と、シルアは再びグラウスとの剣戟に入った。
だが次第にグラウスが押されて行き、しまいには闘技場の端まで追いやられた。あと一歩でグラウスは場外になろうとした瞬間、シルアは突然苦しみ出した。
「体が……熱……い……」
と、言うとシルアの持っている槍の包帯が解けていき槍の姿を見ることが出来た
槍の見た目は骨の持ち手で赤みがかっている。
槍の穂先は返しが付いていて一度刺さると簡単に引き抜けない。より一番の特徴は槍の石突は目のような物が付いている。
「あれは……魔槍?」
「くそ……言う事を聴……け!」
と、観客席の人が言うと、今度は槍の包帯がシルアを包んだ




