3ー7 路地裏での出来事
とある大都市のとある一室にて会議が行われていた。部屋の真ん中には不思議な道具が置かれており、不思議を音を出しながら動いていた。
「シューラン。アイツらはどうなっている?」
「大丈夫だ、タミカ。ちゃんと創生教の名を使いバルト王国に送り込んだ。おそらく今はもう紛れ込んでいる」
「そうじゃなくて腕前の事を言っているんだ。どうなんだ?」
「俺が知る限り暗殺に置いて右に出る者はいない」
「そうか。ならいい」
と、シューランと呼ばれた男は微笑んでいた。
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決勝戦は午後から開始なのでアルクは闘技場の外にある屋台を見ていた。
すると聞き覚えのある声が聞こえた。
「アルクさーん!」
声の主を見つけるとそこにいたのはタルバンの街でお世話になった眠りの宿屋で働いていたルカがいた。
「ルカ!なんでここに?」
「いや、王都の学園で闘技大会が開かれるので屋台を出そうかなって思ったんです」
「という事はタルサさんも?」
「はい!呼んできますね」
と、ルカは屋台の奥に入った。
「やあ、アルク。元気そうだね」
と屋台の奥からふくよかな女性が出て来た。
名前はタルサ。眠りの宿屋を経営している。
「タルサさんも元気そうで……あと何も言わずに宿屋を出て行ってすいません」
「気にする事ないよ」
「そうですか……ところで何売っているんですか?」
「トウモロコシのタレ焼きだよ。食べてみるかい?」
「はい。いくらですか?」
「一つ銅貨2枚だよ」
「じゃあ、2つ……はい銅貨4枚」
「まいどー」
とアルクがトウモロコシのタレ焼きを貰った時、何かを感じた?
(殺気……か?)
アルクは疑問に思いトウモロコシを食べ殺気を感じた場所に向かった。
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裏路地にて黒いフードを被った2人組が話していた。
「なぁ、デルタ」
「なんだ、ガンマ?今更やめるって言っても遅いぞ」
「やめるなんて言うわけないだろ?ただ気になっている事があるんだよ」
「言ってみろ」
「そもそも創生教とミリス教って何が違うんだ?」
「創生教は我ら人間が神に作られた最初の生物で他の種族は人間の後に作られた。つまり人間至上主義」
「ああ、創生教の事は大体分かる」
「次にミリス教はまず全能神によって五体の始祖神が作られた。その五代始祖神によって人間や他の種族が作られた」
「つまり創生教は人間が一番偉くてミリス教は人間と他の種族は対等ってことか?」
「そうだ。実際バルト王国には獣人や竜人の奴隷がいないだろ」
「そうだな」
「そしてミリス教の聖女が一番邪魔」
「そう言う事か」
「そういうこ……と……!」
とフードを被ったガンマと言われた男は後ろを見た。
すると後ろには仮面を被って剣を持っている男が立っていた。華奢に見えたが、体から放たれる威圧感から強者であると二人は感じる。
それを見たフードの男達はすぐさま戦闘態勢に入った。
「誰だ!」
「別に名乗るほどの者ではないさ」
と、ガンマと仮面の男が話しているとアルファがいきなりナイフを投げてきた。投げたナイフの速さは凄まじく、常人なら気付く暇もなく刺さっている。
しかし仮面の男はナイフを避けるどころか掴み投げ返した。
ガンマはまさかの反撃に対応しきれず掌に刺さってしまう。
「アルファ!」
「心配すんな……どうする?」
「殺すしかないだろ?……来い!ゼロ部隊!」
と、ガンマが言ったが何も起こらなかった。ガンマ達が率いている暗殺部隊は二人を含めて七人で構成されている。そして、部隊長であるガンマの命令には必ず従う。
「どういうことだ?」
「ゼロ部隊ってのはお前らの後ろにいるぶら下がった奴らか?」
と、仮面の男が言いアルファが後ろを振り返る。そこには首を吊られているフードを被った5人組がいた。
その瞬間アルファは仮面の男が危険だと察知した。腐っても暗殺部隊である部隊員が音もなく殺されていたのだ。
「ガンマ……こいつはヤベー……逃げよう」
「駄目だ。こいつは多分さっきの会話も聞かれた」
「会話ってのは聖女シエラ様を殺す話か?」
と、仮面の男が言った時ガンマは鳥肌が立った。
なぜならガンマは暗殺者で気配を消すのは得意のと同時に気配を察知するのが得意だ。そのガンマですら声を掛けられるまで気付かなかないほどだ。
だが二人はまだまだ油断していた。何故なら二人が力を合わせればS級冒険者ですら殺す事が出来る。
だから二人が力を合わせれば仮面の男など簡単に殺せると判断、し剣を構えて仮面の男に襲い掛かった。




