3ー3 チルナ戦1
一回戦が終わりアルクは闘技大会を観戦する席に座っていた。すると、グラウスがアルクの隣に座った。
「やったな、アルク!」
「グラウス。あれ?そっちは終わったのか?」
「いやこっちはDブロックだからまだまだ後だ」
と、アルクは試合が終わるたびにグラウスと軽い雑談をして、気付けば四回戦目まで進んでいた。
「良し!次の相手は……チルナ?」
「待て、チルナって言ったか?」
「ああ。どんなやつなんだ?」
「チルナは十魔剣序列10位チルナ=ハルザーク。別名雷鳴って呼ばられてる」
「雷鳴ってことは雷魔法の使い手か」
「まぁそうだが……アルク」
いつもは柔らかい表情のグラウスだったが、今回は真面目な顔をしていた。
「なんだ?」
「頑張れよ!」
と、グラウスから応援された。
アルクはいつもどおり観客席に座り大会を見ていたら突然轟音が鳴り出した。そこには対戦相手を向こうの壁まで吹き飛ばしたのか、中央に一人の生徒が立っていた。
「おお。あれが十魔剣序列10位雷鳴の異名を持つチルナ=ハルザークか」
と、声が聞こえたのでそちらを見ていたら黄色の髪の女性がいた。
「さすがです。姉様!」
どうやらあれが次の対戦相手のチルナ=ハルザークらしい。
「これぐらい大丈夫だ」
「でもさすがです!一歩も動かず魔法だけで勝つなんて」
と、二人が闘技場から出た。
ー----------------
アルクが待機部屋で椅子に座っていると、ドアがノックされ二人の生徒が入って来る。入って来たのは次の対戦相手であるチルナ=ハルザークであった。黄色い髪でアルクと同じ身長。何より目立っていたのは腰に刺してある二本の剣だ。
「やぁ。君が次の対戦相手か?」
「あなたは、チルナ=ハルザーク……」
「こら!姉様に気安く声を掛けるな!」
チルナの名前を呼んだ瞬間、アルクの前に少女が立つ。
「大丈夫だよ。ヤタ」
「でも……」
「さて気を取り直して。君が次の対戦相手のアルクくんかな?」
「分かるんですか?」
「まぁね。まぁ次の戦いはお互い死力を尽くそう」
とアルクの元を離れた。
ー-----------------
「皆さんお待たせしました。次の戦いはアルク対チルナ=ハルザークです!」
と、審判がいい会場は声援に包まれた。
「チルナ様!身の程知らずの平民を倒して下さい!」
など声が聞こえた。
「アルクくん。外野の声を気にしないで全力で戦おう」
「それでは。試合開始!」
[雷よ敵対する物を壊せ・中級魔法・電磁砲]
と、試合開始と同時にチルナが魔法を撃ってくる。アルクは反応しきれず、正面から魔法をくらってしまった。
「決まった!チルナ様の中級雷魔法」
どうやら今の魔法は人気らしい。
[炎魔法・炎の槍]
と、アルクも煙が上がっている状況でチルナに打った。
「なっ!?」
チルナの驚いた声と共に、[炎の槍]が何かに当たり爆発する事が聞こえる。
そして、その魔法がチルナに当たったのか、観客がより一層騒がしくなる。
どうやら当たったみたいだ。
チルナから見れば煙でアルクを確認出来ていないのに突然魔法が飛んでくるのだ。
「驚いた。いつもの相手なら最初の雷魔法で終わる筈なのに……」
「いや、こっちも早すぎて避けれませんでしたよ」
「そうか。じゃあ今度はちゃんと当たるように狙って撃つよ」
チルナはまるで玩具を貰った子供のように笑うと魔法陣を構築する。それを見たアルクは自身と同じ魔法陣を極めた者だと一瞬で分かった。
チルナは[雷魔法・電磁砲]をアルクに打ってきたがアルクはギリギリを避けていた。一通り[雷魔法・電磁砲]を打つと次は剣を構えて接近戦に移動する。
アルクも刀を構え迎え撃とうとしたが、チルナは雷の如く動き、アルクに接近し袈裟斬りをしたがアルクは避けた。
それからアルクは防戦一方になってしまう。何故ならチルナはアルクの苦手とする二刀流使いだからだ。
それに加えチルナの使う双剣は片方が目立つほど黒い真っ黒な剣であり、もう片方が背景に溶け込むような鏡の様な剣。
しかしアルクも反撃をした。刀にエンチャントを施し炎の刃を飛ばしチルナに詰める。
[雷剣流・防の型・雷剣の息]
と、素早い回転攻撃をした。だがそれと同時に複数の雷の刃をアルクに飛ばす。しかしアルクはそれを予想していたのか[汎用魔法・飛行]を使いチルナの頭上へ移動する。
[我流剣術・波状突き]
と、突きを放ったがチルナは避けた。アルクの突きが地面に当たった瞬間、地面は次々と波状に割れていった。
「すごいな!ただの突きなのに地面が波状に割れた!どういう突きをしたんだ?」
チルナは今までに味わった事のない剣術に狂喜しながらも、次の一手と考えている。
「教えませんっよ!」
アルクはチルナに向かって刀を振ったがチルナも二刀流で対抗した。
観客から見たら激しい攻防に見えるがチルナの斬撃には常に雷が発生しており、少しずつアルクを傷つける。
[炎魔法・炎柱]
「しまっ!」
アルクはそのまま魔法を発動させチルナの足元に発動する。その魔法は闘技場を囲っている結界にまで到達しているどころか、結界を焦がしている。
「すごい魔法だな」
と、後ろから声が聞こえた。アルクは反射的に振り向きざまに剣を振る。
「冗談だろ?いくらなんでも早すぎだろ」
「別に不思議じゃない。雷と同じ速度で動いているだけだ」
チルナは簡単そうに言うが、それはとても難しい。雷とは高密度の電気の塊であり、それと同じ速度に達するには不可能に近い。かつて雷と同じ速度で移動しようとする者が居たが、結果は体が分解してしまった。
アルクは牽制として魔法を放つ。
「甘い!」
チルナは双剣で魔法を切ったが、アルクが居ない事に気付く。そして、背後に冷たくなり、剣を背後に回す。
[我流剣術・八星]
「ぐはっ」
アルクの攻撃をある程度防ぐことには成功したが、一撃を貰ってしまう。アルクはチルナの隙を見逃さずに追撃をする。
[雷剣流・攻の型・雷鳴斬]
だが、チルナは直ぐに体制を立て直し、剣に雷を纏わせてアルクとの剣戟を挑んだ。
しかし、アルクはチルナの攻撃を避けずに全て捌いた。
[雷魔法・雷の檻]
と、アルクの周辺に雷の柱が立ちアルクを囲った。だが、アルクにとって雷の檻は無いに等しかった。
[我流剣術・八重切り]
アルクは八つの回転攻撃をして雷の檻を切った。
「さすが聖女シエラの護衛だな。では私も本気を出そう」
と、チルナは呪文を唱える。
[顕現せよ、刮目せよ]
するとチルナの背中から翼が生えた。
闘技大会では模擬戦とは違い、翼の使用は自由になっている。
「まじかよ」
「どうした?翼を顕現しないのか?」
「翼はないんだよ」
「そうか。じゃあすぐにおわらせよう」
「いや。こっちも出来る限り抵抗しますよ」




