2ー10 計画
[敵を貫け・ストーンエッジ]
グラウスの唱えた魔法がシルアに当たりそうになる。しかしシルアの防御魔法でグラウスの魔法を防ぐ。
「負け犬のくせになかなかやるじゃないか」
「今のを防ぐのか」
「どうやら今のがお前の全力のようだな」
シルアは槍を構えた。
[シンアール式剣術・風死]
とシルアが剣をグラウスに向かって振るとグラウスの体が数カ所切り傷がついた。
「どうした?まだまだこれからだぞ」
「舐めるなよ。[真龍式剣術・奥義・雷神剣]」
とグラウスの剣に雷が纏った。
纏うだけなら良い。しかしグラウスの剣に纏った雷は高密度の魔力の塊がある。
それを人に放ったら簡単に死ぬ。
[マジックキャンセル]
誰かが魔法を唱えるとグラウスの放った斬撃が消えた。
「なんのつもりだ?アルク」
「そうだ。平民の分際で」
「模擬戦にしてはちょっとやり過ぎだお前ら」
アルクに言われグラウスが周りを見渡すと地面には穴や陥没している箇所があった。
「お前達何をしている?」
と、午後の実技の担当をしていた教師が向かって来た。
「模擬戦をしていました」
「嘘をつくな。模擬戦ならここまで酷くはならないだろ」
と、教師からしっかりお咎められた。
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「しかし、グラウス。いつの間に強くなってたんだ?」
「いや。ただただ特訓していただけだ」
「そうかい。あ、そういえばいつ闘技大会の受付が始まるんだ?」
「確か今から一ヶ月がだな」
「長いな」
「まぁ、その反面、特訓出来る時間があるから良いじゃないか」
「そうだな。……ちょっとシエラの様子でも見に行ってくるよ」
「え?そうか確か護衛も兼ねて学院に編入したんだっけ?」
「そうなんだよ」
「分かった。じゃあな」
とグラウスと別れアルクはシエラのいる教室に向かった。
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「クソが!平民に負けた雑魚が」
模擬戦が終わって自分の部屋にいたシルアはひたすらストレスを発散していた。
上級貴族のシルアにとって下級貴族のグラウスとの引き分けがシルアのプライドが許さなかった。
そして平民の分際でシルアに歯向かったアルクも気に食わなかった
「お、落ち着いて……」
「なんだと?シンアール家にへり下る従者の分際でこの俺に意見するのか?」
と従者を殴った。
「と、とんでもない!」
「ならだまれ!……クソが。そうだミネア。あの平民について調べろ」
と先程殴った従者に命令した。
「覚えとけよ。平民と負け犬が」




