2ー3 訓練
学院の授業の内容は二種類ある。
まず一つは座学。魔法や計算、歴史を学ぶ。
二つ目は実技。剣術や武術の他に魔法も学ぶ。
アルクは授業を終わらせ、訓練所に向かった。
「よし、グラウス。まずはお前の素の実力を見たいから身体強化を使わないでくれるか?」
「身体強化を使わない?そうじゃないと兵士は動けなくなるぞ。」
「そうなのか?俺は身体強化はあまり使わないんだが」
グラウスの話を聞いてみるとほとんどの学院の生徒は身体強化を使っている。
生徒だけではない兵士も常時身体強化を使っている。
逆に身体強化を使わないでここまでの身体能力はすごいとグラウスに言われた。
――――――――――
まずグラウスの身体能力を調べる為に、グラウスにある課題を言う。
「グラウスまずは100メートル全力で走って欲しい」
「それだけでいいのか」
「うん、他にもあるからさっさとやるぞ」
と、グラウスに最初に100メートル走らせた。
タイムは15秒。まずまずだ。
「次は腕力だ。この土人形を殴ってほしい」
アルクがそう言うとグラウスは土人形を殴る。
すると土人形は崩れた。
総合的に、グラウスは比較的筋肉と体力のバランスが良く、ある程度教えても直ぐに疲れないとアルクは判断した。
「まあ、確認は終わりだ。次は技の出し方についてだ。軽く説明するぞ」
と、アルクは説明をした。
説明の内容はこうだ。最も大事なのは腰の高さと腕の力の入れ方だ。
「あとはゆっくりでもいいから八回切ることが大切だ。分かったか?」
「ああ。だいたい理解した」
「そうかじゃあ説明した通りにやれば出来るようになる。少なくとも一日十回はやることだ。あとは自分で頑張れよ」
アルクはグラウスにそう言うと訓練所を後にし、第一学年に向かった。
第一学年に着いたアルクは前と同じようにドアを叩いた。
するとドアが開いた。
「またお前か平民」
「ええと、キアさんかな?シエラに会いたいんだけど」
「少し待っていろ。」
キアがそう言い待っていると二分後にドアが開いた。
入って良いということなのだろうか?
「何してる?早く入れ」
どうやら合っていた。
中に入ると前と同じようにシエラが席に座っていた。
「アルクさんこんにちは」
「こんにちは。どうしたんだ?顔色が悪いが?」
「そうですか?」
「ああ、前会った時と比べて顔が青く見える」
「そうですか。隠しても無駄ですね。実は……」
と、シエラが話した。
簡単にまとめると、とある貴族がしつこく求婚してくるらしい。
しかも今度は机の中に求婚してくれとの手紙が入ってたらしい。
シエラの話す貴族について、アルクに心当たりがあった。
「シエラ?もしかするとグレルという太った貴族か?」
「はい、そうですが?知っているのですか?」
「まぁな。タルバンの街では少し……まさか、タルバンの街からずっと?」
「はい。元々は同じ学年の生徒で入学してからずっと……」
溜息を吐くシエラを横目に、教室の入り口に立っているキアに声をかける。
「おい、キア。お前はシエラの護衛やくじゃないのか?」
「仕方ないだろ?何度も何度も来てるんだら」
「そうか、じゃあ提案だ今日寮まで見送るよ」
「え?いや、でも」
「大丈夫だ。俺はシエラの護衛だから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
こうして、少し違うが簡単な護衛が始まった。




