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6ー35 古傷

「おい!早く準備した方が良いぞ!」


 禁域で大量の魔物を見たアルクはそのことを伝えるために城に戻ったが、既に情報が回っていたのか戦いの準備をしていた。


「使者殿。お帰りをお待ちしておりました」


 茶色の鱗を持つ竜人はアルクに声を掛ける。その話しかけた竜人は長達との会議に居た竜人だった。


「そうか……えっと。名前を聞いても?」


「ああ!それは失礼。俺の名前はグリングルと言う者だ。一応地龍に関係する竜人達の長だ」


 グリングルはそう言うと握手をする為に手を伸ばした。アルクは握手に応える。


「それで?軍とかは大丈夫なのか?」


「はい。王都を守る結界はルル様が張るのですが時間が掛かります。ですから時間稼ぎとして俺の部下と共に軽く壁を作ります。ほら。イグゾースとの戦いで作った壁の様に」


「なるほど。それじゃあ大丈夫だと思いたいが……そうだ!黒龍についての情報が少しでも欲しくてな。書庫に案内できるか?」


「そうしたいのですが生憎今は手が離せなくて……俺の部下で良ければ紹介しましょう」


「部下でも良いぞ。わざわざすまない」


「ありがとうございます……おい!ちょっと来てくれ!」


 グリングルは偶然通りがかった一人の兵士を呼び止める。


「すまないが使者殿の案内を頼めるか?場所は書庫で黒龍に関連する書物を読みたいんだ」


「承知しました。それでは使者様。書庫へ案内致しますので付いて来て下さい」


 兵士はそう言いアルクを書庫へ案内した。


 しばらく兵士の後を付いて行くと書庫へ辿り着いた。


「使者様。黒龍に関係する本は一番奥にあります。本来なら証明書が必要ですが状況が状況なので今回は飛ばして構いません」


「そうか。わざわざすまない」


「いえいえ。では自分はここで失礼します」


 兵士と分かれたアルクは黒龍についての情報がいち早く欲しかった。その為、アルクは小走りで黒龍について書かれている所へ向かった。


 黒龍について書かれている本を見つけて読んでみるが、その殆どが黒龍が犯した破壊行為や特徴しか書かれていなかった。


(おかしい……この本は一巻二巻と続いているが七巻だけ無い。それにこれも……)


 アルクは長編になっている本を読んでいると明らかに不自然に消えている本がある事に気付く。


(もしかして黒龍について詳しく書かれてる本はウルカハに消された?)


 何故本が無いのか考え、とある結論を導いた。それは昔から生きているウルカハは黒龍についての情報を先に読み、消したのではないかだ。


「クソ……時間の無駄だったか……あ!」


 アルクは最も身近で黒龍について知っている者を二人思い出した。


 一人目は全ての龍の祖であるクラシス。二人目は白黒時代の住民であるアレス。


 アルクはまず、誰よりも黒龍の事を知っている筈のクラシスへの連絡を試みる。だが連絡が出来ない。


 次に黒龍の事を多少なりとも知っているであろうアレスに聞く。


『アレス。今すぐにでも黒龍の情報を詳しく知りたい。少しでも良いから教えてくれ』


『おう!良いぜ!』


 アレスの返答は以外にも快諾してくれた。だがアルクはアレスの機嫌を損なうわけにはいかずに我慢していた。


 そしてある程度だが黒龍についての情報を聞き出すことが出来た。


 それは白黒時代から続く背中の傷だ。


 白黒時代の時、黒龍は闇や光関係なく暴れていた。そして遂に共通の敵として闇と光は協力して撃退。その時に当時の光の王の魔法により背中に消えぬ傷が出来たこと。


『俺の記憶が正しければ今でも炎に焼かれている痛みが続いている筈だ。それに加えて光の王の魔法は強力だったからな。恐らく今でもその傷は治りきっていない筈だ』


『つまりそこを攻撃すれば良いんだな?』


『そうだ。まぁ殺すのは無理でも始祖龍から封印の仕方は教えてもらっていただろ?』


『ああ。まさか無駄だと思っていた事がここに来て役に立つとは思わなかったよ』


 すると、書庫の扉がノックされイレナが入って来た。そして、イレナの手には白く輝く剣を持っていた。


「アルク!この剣を見てくれ!」


 イレナは自身が持っている剣をアルクに差し出した。アルクはその剣を掴もうとすると予想外の重さに剣を落としてしまう。


「これも魔剣か?」


「少し違う。これには遥か昔に母上の毛と鱗、牙を使って作られたと言われる剣なんだ。実際私以外が持つとさっきの様になる」


「そうなんだ……黒赤刀と似てるな」


 アルクはかつて自分が持っていた刀を思い出す。


 その刀は自身の魔力が完全に染み込み、アルク以外が持つと拒絶反応を起こし、所持者に悪夢や体への負担を増やしてしまう。


「黒赤刀……ってそんな話してる場合じゃない!アルク!もうすぐで黒龍の軍勢が見えて来たんだ!」


「そんな早くに!?行かないと!」


「大丈夫だアルク。ルルの結界は完全に発動した」


「そうか……じゃあ問題は黒暗結晶と黒龍だけか」


「それと言い報告がある」


「どんな報告だ?」


 するとイレナは口角を上げて言った。


「私の兄と姉。つまり4体の龍がドラニグルへ向かっている」

 

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