表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/271

6ー24 崩れる結界

 部屋へ案内されたアルクは先に椅子に座って待っていたイレナ達と再会出来た。


 アルクを見たイレナは椅子から立ち上がりアルクに近づき、どういう状況なのか聞くことにした。


「なんか協力してくれることにしてくれたみたいだ。だから安心しろ」


「は?え?どういう事?」


 アルクの大雑把な説明にイレナは理解出来ないでいたが、イグゾースが代わりに詳しく説明をしてくれた。


「そんな事が起こってたなんて……最悪な状況に行くかと思ったけどいい方向に向いたわね」


「そうだな!いや~よかったよかった」


「てかあんた仮面はどうしたの?」


「なんかもう正体ばれたからいらないかな」


 喜んでいるアルクを横目に、イレナはルルが居ない事をイグゾースに聞こうとする。すると、少し遅れてルルが部屋の中に入るが、急いでいたのか息を切らしていた。


 だが、


「匂うな」


 と、アルクはそう言うと剣を取り出しルルに切りかかる。


「アルク!どういうつもりだ!」


 イレナはルルの前に一瞬で移動しアルクの剣を防ぐ。


「アルク殿!何をしている!」


「それはこっちのセリフだ!こいつはルルじゃない!闇だぞ!」


 アルクがそう叫ぶのと同時にイレナの後ろにいたルルは黒い影で作った剣を出し、イレナに向かって振る。


「リラ!」


「はい!」


 アルクの声と共にリラは動き出し、イレナをルルから離し、白蜘蛛は単独でルルの武器を奪う。


「ど、どう、どど、しししててて」


 ルルは不気味な声を上げると共に、ルルの綺麗な白い肌は黒くなり始め、黒い液体へと変化していった。


「アルク!こいつは!」


「ああ。禁域で見た黒いスライムだ……でも何でここに?」


 アルクは黒いスライムをよく見るために近づくが、黒いスライムは体の一部を刃にしてアルクを攻撃する。


 だが、アルクは黒いスライムの攻撃を避け、黒いスライムの核を取りだし握りつぶす。


「待て……ルルに擬態?ルルはどうした!」


 アルクの声にイグゾースは急いで部屋を出る。


「イレナ!お前もイグゾースの後を追え!俺は外で様子を見る!」


「分かった!」


 イレナはアルクの言う通りに動き部屋を出た。


「リラと白蜘蛛は王城の見張りをしろ!黒いスライムの匂いは覚えたか?」


「はい!」


「それじゃあ黒いスライムを見つけたら殺せ!」


「分かりました!」


 アルクの指示と共に、白蜘蛛とリラは部屋から飛び出し、王城を走り回った。


「これは厄介なことになるな……クラシス。この件について覚悟しとけよ」


 アルクはそう言うと、飛行魔法を発動しドラニグル上空へ飛ぶ。そして飛行可能な高度限界まで飛び、禁域を見つめる。


 すると、ほんの一瞬だけ禁域に張られている結界の一部に穴が開いている箇所を見つけることが出来た。


 だが、すぐの禁域の結界が修復され穴が塞がれる。


「アルク!ルルを見つけた!」


 ドラニグルの上空で禁域の様子を見ていたアルクに、イレナはルルを見つけたことをアルクに報告する。


「そうか!ルルはどうだった?」


「見つけにくい場所に黒いスライムに拘束されてたけど何もされてない」


「黒いスライムにやられたのか……予想以上にやばい状況だな」


「そうね。どうするつもり?」


「急いで禁域に行って黒暗結晶を処理する必要があるが……問題は黒龍だ」


 アルクの『黒龍』という言葉にイレナは反応する。


「待って!黒龍って言った?」


「そう言ったが?」


「ありえない……」


「は?」


「だから黒龍が居ることがありえないの!」


「なんでだよ!それにお前も見たろ?あのでかい黒い影を!」


「だとしたら……」


「取り敢えずルルとイグゾースの所に行って状況の説明をする」


 アルクがそう言うと王城へ戻って行く。


(黒龍は本当に存在した……ということは)


 イレナはアルクと初めて出会った事を思い出す。


(だからアルクは私の事を八体目の龍と呼んでいたのね)


 ここでイレナは何故アルクに八体目の龍と呼ばれたのか分かった。


(でも何で娘の私よりも人間のアルクの方が龍について詳しいの?)


 イレナにアルクについての新たな疑問が湧いたが、その事よりもまずは禁域に集中するために疑問を頭の片隅に置くことにした。


ー------------


 アルクはルルが救出され、治療を行っている部屋へ向かっている途中で、アルクはリラと白蜘蛛に出会った。


 リラと白蜘蛛をよく見てみると体の一部に新しい傷が走っている。


「お前達!どうだ?黒いスライムはいたか?」


「はい。でも今の所まだ五体しか見つける事が出来ませんでした」


「そうか……でも何もしないよりはマシだ。良くやったな」


アルクはリラの頭を軽く撫でると、ルルが治療されている部屋に入る。


「アルク様とイレナ様。申し訳ありません」


「いや誰も予想できなかった。あと禁域の結界に穴が開いていた。今すぐにでも禁域に向かった方が良いぞ」


「禁域に穴?」


「そうだ。恐らく黒龍とそいつの加護持ちの竜人の仕業だ」


「そんな……」


「良いから早く行くぞ!イグゾース!お前も来い!」


「分かった!」


 ルルとイグゾースはアルクの指示に従い禁域に向かう事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ