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6ー19 目覚め

 ルルの龍魔法で大爆発を起こした洞窟内は衝撃に耐えきれずに崩落しようとする。


「まずい……イレナ様!洞窟から出ましょう!」


「いや。大丈夫だ」


 洞窟から出ることを提案したルルだったがイレナは出ようとしない。


 すると、イレナの真上の天井から岩が崩れ落ちる。だが、イレナは魔力を解放し崩落した岩を割って行く。


「ルル。この際この洞窟を崩してもいいか?」


「崩す……良いでしょう。巫女である私が許可します」


 ルルがそう答えるとイレナは魔法陣を地面に構築する。


[龍魔法・劫火]


 イレナは魔法を唱えると上へ向かって大量の炎が上がり、洞窟を壊そうとする。


「おいおい……マジかアイツ!」


 イレナの行動を見た黒い竜人は驚きの声を上げ、自身の身を守ろうと専念する。


 だが、ルルは黒い竜人の行動を察知し魔法で足止めをしようとするが、黒い竜人はルルの魔法をすべて避ける。


 すると、洞窟の天井にひびが入り始める。


「まだまだぁ!」


 イレナは魔力をさらに込め、魔法の威力を上げていく。


 そして遂に、イレナの魔法は洞窟の天井を貫通し空が見えるようになる。


 また、それと同時に洞窟はあまりの衝撃に耐える事が出来なくなったのか一斉に崩れ始める。


 洞窟が崩れ終わる頃、イレナは魔防壁でルルを守っていた。


「ルル。大丈夫か?」


「私は大丈夫です。それにしても煙のせいで周りの様子が分かりませんね」


「それもそうだが……どうやら凄い事になっているぞ」


 イレナがそう言った瞬間、イレナの魔防壁に向かって何かが飛んで来た。


 ルルは飛んで来た何かを見ると小さい悲鳴をあげる。


 何故なら飛んで来た何かは人間の頭だからだ。


 ルルはもう一度人間の頭を見ようとするが、その瞬間人間の頭は黒い液体となり溶けて行った。  


 するとその瞬間、炎で辺り一体が炎に包まれる。


「イレナ様!一体何が起こってるんですか!?」


「この魔力……間違いない。白の魔法だ」


 すると、


「いい加減に……消え失せろ!」


 と、白の叫び声が聞こえた。


 辺りの炎と煙が晴れると、洞窟の入り口があった場所にアルク達が地面に剣を刺したまま立っていた。


 だが、アルクの背後には背中から血を流す竜人の騎士や、竜人の騎士を守っているリラがいた。


 そして、アルクの前には大量の黒いスライムが居た。


「イレナ!ちょうど良いところに!」


「え?え?何?」


「全力の龍魔法でこいつらを一掃してくれ!あれからずっと殺してるのに湧いてくるんだ!」


 アルクの言葉を聞いたイレナはため息を吐きながらも、魔法陣を構築する。


「自分の身は自分で守りなさいよ!」


 イレナはアルクに向かって言ったが、既に竜人の騎士や自分自身に魔防壁を張っていた。


[龍魔法・龍豪炎]


 イレナは魔法を放つと広範囲の扇状の炎が黒いスライムごと森を燃やし始める。


 イレナの魔法が終わる頃には大量に居た黒いスライム達も残り三体となっていた。


 だが残りの三体も無傷とはいかず体の一部が吹き飛んでいた。


 アルクのその隙を狙い黒いスライム達を切り刻んで行った。


「良くやったイレナ!ところで黒暗結晶についてどうだ?」


 アルクは洞窟の岩で埋もれている黒暗結晶についてイレナに聞く。


「ちょっとまずいかも」


「というと?」


「黒暗結晶の浄化中に黒龍の加護を受けた黒い竜人が襲いかかって来た」


「なるほど……その黒い竜人ってのがそこにいる奴か?」


 アルクの言葉を聞いたイレナは後ろを振り返る。


 そこには黒い炎で瓦礫を焼いている黒い竜人が居た。


「クソ……いくらなんでも力技過ぎるだろ」


 黒い竜人はそう呟くと魔法陣を構築する。


「白。私は黒い竜人を相手にするから黒暗結晶を頼める?」


「え?でも俺中に入らないぞ」


「魔力を龍魔力に変換すれば良いだけの話でしょ?」


「はぁ……分かったよ」


 アルクがそう答えるのを聞いたイレナは剣を取り出し黒い竜人へ襲い掛かる。


 アルクは魔法を使い、人間の魔力から龍魔力へ変換し結界の中に入る。


 そのまま黒暗結晶の浄化に入ろうとした時、どこからか声が聞こえる。


『時は満ちた……良くやった』


 すると、黒暗結晶の根元から黒い影が溢れ始める。


 その黒い影は膨張し続け、大人5人程の大きさとなる。


「この魔力……アルク!早く浄化をしろ!」


「分かってる!」


 アルクはそう叫ぶと黒暗結晶に近づく。


 だが、そのアルクを黒い影が襲い掛かるが、アルクはそれを受け止める。


「ナッ!?重!」


 アルクは黒い影の攻撃の重さに驚き、足を止めてしまう。


「アルク!クソ!」


「行かせねぇ……よ!」


 アルクの援護に向かおうとしていたイレナだったが黒い竜人によって足止めされてしまう。


 するとその時アルクから闇が放たれる。


「いくらなんでも目覚めるのが早過ぎる!」


 と、アルクは意味不明な事を叫び、それに反応したルルが、黒い影を見る。


 その瞬間ルルはアルクの言葉を理解する。


「黒い影が腕に……それに腕についてる紋様……まさか!」


 その瞬間、黒暗結晶の根元から大量の闇が放出され、結界内を闇で満たし始めた。

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