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6-18 黒い加護

 アルク達が洞窟の外で魔物と戦っていた頃、イレナとルルは黒暗結晶の前まで来ていた。


 すると、ルルは闇に耐えられなくなったのか体制を崩してしまう。


「ルル。もう少しだから耐えて」


「は、はい……」


 ルルはイレナの手を借りて、黒暗結晶の近くまで来る。


 イレナは収納魔法から白い魔石を取り出す。


 イレナが取り出した白い魔石には神龍であるクラシスの有する神の光が吸っている。その白い魔石には闇と反発する力が備わっており、黒暗結晶の浄化に使える。


 この方法を知っているのはレイリンとクラシス、イレナだけである。


「ルル。念のため私の後ろに居て」


「分かりました」


 イレナは白い魔石の使い方について思い出す。


(確か……近づけて待てばいいんだよね……)


 イレナは白い魔石を黒暗結晶に近づける。すると、黒暗結晶は白い魔石を拒絶するかのように周囲に闇を放つ。


 だが、イレナは力任せに黒暗結晶に白い魔石を近づけさせる。


 その瞬間、周りに放出していた闇が止まり、黒暗結晶の魔力が徐々に白い魔石に吸収されていく。


「ルル。この白い魔石が闇を吸い尽くしたら一緒に光をこれに注入してほしい」


「分かりました……でも本当にこれだけで良いのでしょうか?」


 ルルは黒暗結晶の浄化が本当にこれだけなのか疑問を抱いていた。


「お母さまから聞いた話だとこれだけで良いって言っていたわ」


 すると、黒暗結晶は抵抗として闇から黒いスライムを作り出す。


「ルル。後ろに……ルル?」


 イレナは黒暗結晶の闇によって作り出された黒いスライムを迎え撃とうとしたが、ルルはイレナの前に立っていた。


 するとルルは手を前に出し魔法陣を構築するが、魔法陣を見たイレナは驚いた。


「ルル!?こんな所で龍魔法はダメだよ!」


 ルルが放とうとしている魔法は龍魔法で破壊力はあるが、狭い洞窟内では余りにも危険だ。


 だが、ルルはイレナの静止を聞かずに魔法陣を構築し、完成させてしまう。


[龍魔法・龍の火球(ドラゴンボール)


 ルルは魔法を打ち、イレナは魔防壁を急いで張ったが、イレナは呆然とする。


 何故ならルルが放った[龍の火球]はイレナと比べ小さく威力が低いからだ。


 だが、黒いスライムを消滅させるには十分な火力だ。


 ルルの魔法は地面に着弾するのと同時に爆発し、黒いスライム達を蒸発させていく。


「どうですか?イレナ様!」


「どうって……」


 イレナは喜んでいるルルになんて言おうか悩んでいたがある事に気付いた。


「そうだな……()()にしては中々の威力だ」


 そう。それは龍と竜人の違いだ。


 やはり血とはかなりを差を生み、竜人がどれだけ頑張ったとしても龍に勝つ事は難しい。


 こうしている間にも黒暗結晶の闇はどんどん白い魔石に吸収されていく。


 すると、


『厄介な物を持ち込みやがって』


 と、どこからか声が聞こえて来る。


 イレナは周りを見渡すが、イレナとルル以外誰もいない。


「イレナ様……今の声は……」 


 ルルがイレナに聞くと幻聴ではない事を認識し、警戒を強める。


『仕方ない……無理矢理にでもやらせてもらおう!!』


 謎の声がそう言うと、黒暗結晶は黒く光だし闇を周囲に放つ。


 しかし黒暗結晶が大量に放つ闇は全て白い魔石に吸収される為、周囲には被害を与え切れていない。


『消えろ!』


 その声が聞こえた瞬間、黒暗結晶の根元から光線が放たれ、白い魔石が壊される。


「そんな……魔石が……」


「安心しろルル。この時の為に白い魔石は何個も持っている」


 イレナは黒暗結晶の光線や黒いスライムを警戒しながら白い魔石を取り出そうとする。


「二個目を出させると思うか?」


 と、先程聞こえた謎の声とは違う声が聞こえた。


「ルル!下がれ!」


 イレナはルルにそう叫んだがルルは反応出来ないでいたが、イレナはルルの襟首を掴み後ろに下がらせる。


 するとルルが居た位置に黒い炎が直撃する。


「余計な事をするん……じゃねぇ!」


 謎の声は今度はルルではなくイレナを直接狙ったかの様に、イレナに黒い影が襲い掛かる。


 だがイレナは剣を引き抜き黒い影を迎え撃つ。


「な!?お前は!」


 イレナは襲い掛かって来た黒い影の顔を見る。


「竜人が何でこんな所に!」


 イレナ達を襲ったのは襲ったのは竜人であった。


「イレナ様!伏せてください!」


 イレナはルルの言葉通り竜人を吹き飛ばし伏せる。イレナの頭上で[龍魔法・龍の火球]が通り竜人に直撃する。


 ルルの魔法が直撃した辺りには土煙が舞い、魔法が当たっているのか確認をすることが出来なかった。


「いってぇ~……さすが巫女様だな」


 竜人はそう言い、土埃を払うとルルの魔法が直撃したのか竜人が羽織っていたマントが焼かれ落ちていた。


「そんな……黒い竜の翼?それじゃあこいつは!」


 ルルは黒い竜人の正体に気付いたのか再び龍魔法を放とうとする。だが、黒い竜人はルルと同じ魔法陣を構築する。


[アレキウス神滅剣・地衝斬]


 イレナは黒い竜人の魔法の妨害をするべく技を放つ。


 アルクの[アレキウス神滅剣・地衝斬]と比べ、地面だけではなく壁から天井まで地の剣が形成され黒い竜人に襲い掛かる。


 [アレキウス神滅剣・地衝斬]は平野で使うには本領が発揮されず、洞窟の様な閉所で本領が発揮される。


 黒い竜人は魔法陣の構築をやめ、イレナの攻撃を避ける事を優先にした。


[龍魔法・龍の息吹]


 ルルは魔法陣から青い炎を扇状に放つが、黒い竜人は上へ飛びルルの攻撃を避ける。


「流石龍神の娘と巫女な事だけある」


「何故私達の正体を知っている!」


「そんなの教えるわけないだろ。しかしよ……黒龍も捨てたもんじゃねぇぞ!」


 竜人はそう叫ぶと魔法陣を構築するが先程の赤い魔法陣ではなく黒い魔法陣を構築する。


「死ね[龍魔法・毒龍の霧]」


 黒い竜人は魔法を発動し、緑色の毒霧をイレナ達に向かって放つ。


「もう一度![龍魔法・龍の火球]」


 ルルは毒霧を晴らすために放つが、イレナは嫌な予感を瞬時に感じた。


 すると、イレナの予感通りルルの火球が毒霧に触れた瞬間爆発を起こした。



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