表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/271

6-14 話し合い

 気が狂うほど暗い空間に一匹の龍は目を覚ます。


「我の呪いが消えた。厄介なのが居るな……」


 龍がそう言うと上を見上げる。


 上には巨大な樹木の様に根を張っている黒い鉱石が見え、それを通して薄暗い空間が見える。


「ここから出るにはまだまだ時間が掛かるな……それにしても奴の封印がこれ程続くとは予想外だな。だがそれも一興。もうすぐだ……もうすぐ……」


 龍がそう言うと再び眠りに着く。


 いつか封印が解かれるその日まで…………


ー-------------


 アルクはルルに掛けられていた呪いについて説明をする。


「まぁ簡単な話ですよ。禁域から出現した黒い鉱石から発生した闇の靄によってやられたんですが……問題は術者なんですよね」


 アルクが説明をすると、イグゾースは気になる事を聞く。


「それはだいたい分かるが……一体どうやって闇の呪いを解いたんだ?回復魔法も光魔法のどちらも試したのだが……」


「それは俺には闇を吸収する能力があるからです。まぁ限界値はありますけど、この程度なら問題ありません」


 アルクがイグゾースの問いに答えると、イグゾースは天井を見上げる。


「さすが神龍様の使者だ……ルルよこれならば禁域に同行させても良いのでは?」


「そうですね。本当ならもう少し禁域と使者様の様子を見てからにしようと思いましたが大丈夫でしょう」


 ルルはそう言うと、後ろに立っているアルナに視線を移す。


「アルナ。しばらく私の予定を開けるように司祭達に伝えといてください」


「分かりました」


 アルナはそう返事するとルルは視線を戻す。


「それでしたら今日はもう遅いので明日に一度ここに来てもらえることは出来ますでしょうか?」


「大丈夫よ」


「それは良かった。それではまた明日会いましょう。それと王様は執務を執り行って下さい」


「え?」


 ルルの言葉にイグゾースは困惑する。


「王様の執事から聞いたんですよ。最近書斎に閉じこもって本ばかりを読んでいると」


 イグゾースのサポートをしている執事の言う通り、ルルに呪いが掛かってからずっと執務を執事に押し付け、書斎で治療の仕方を調べていた。


「そ、それはルルの呪いを治そうとしてだな……」


「そうなんですか?それならまぁ……」


 ルルとイグゾースが仲良く話している所を見たイレナは気になる事を聞く。


「二人は親しいように見えるが家族なのか?」


「いいえ。私のお爺様と王様が知り合いで」


「なるほど。それじゃあ私達は止まっている宿に戻るわ」


 イレナはそう言うと立ち上がる。


「それではお見送りします」


「いや大丈夫だ」


「分かりました。それじゃあアルナ、案内をよろしく」


「かしこまりました」


 アルナはそう返事すると、アルク達をワイバーンが居る中庭に案内し始める。


「それにしても禁域へ行くのが明日になって予想外でしたね」


「はい。でもこんな順序良く進んで少し怖いですね」


 アルクはルルとイグゾースの面談が円滑に進んでいたことを少し気味悪く感じていた。


「確かにそうですね。私も面談の様子を見ていて順調過ぎると感じてましたが、結果良ければすべて良いでしょう」


「それもそうですね」


 しばらくすると中庭に着き、教会までアルク達を連れて来たワイバーンが居た。


「それじゃあこいつに乗れば宿まで連れて行ってくれます。それでは明日、よろしくお願いします」


「いえ。こちらこそ」


 アルクはそう言うとワイバーンに乗り、宿へ戻っていった。


―――――――――――


 宿に着いたアルク達は今日の面談の内容について話し合っていた。


「取り敢えず巫女との面談に関してだが……俺は特に裏はないと感じたがお前らはどうだ?」


「私も何も感じなかったな。リラはどうだ?」


「特に嫌な匂いはしなかったけど……」


「けど?」


「闇の呪いの匂いが朝調査してた森と匂いが似てた」


 リラの言葉にアルクは少し考えるが、直ぐに答えが分かった。


「恐らくあの森は禁域に比較的近いから匂いが似ていただけだろう」


「そう言う事ですね。なるほど」


「それじゃあ今日はもう寝ようか。明日は取り敢えず頑張ろう」


 アルクはそう言うとイレナは頷き、リラを連れて自分の部屋に戻って行った。


――――――――――――


「ルルよ。使者達の事をどう思う?」


 面談が終わった後、大聖堂の広間で椅子に座っているルルにイグゾースは聞く。


「そうですね……少なくとも怪しい言動はありませんでしたね」


「そうか。それにしても何故そこまで警戒するんだ?」


 イグゾースはルルの警戒の高さに疑問を抱いていた。


 実際ルルはアルク達と会うまでにワイバーンを通してアルク達を警戒していた。


「警戒……そうですね。はい、警戒してますよ。特に仮面を被った人間を」


 ルルの言葉にイグゾースは頷く。


「やはりお主もそう思うか……」


「はい。でも私に掛けられた闇の呪いを解いたので信用は出来ると思います」


「分かった。それではわしは溜まった執務をやるとするか」


 イグゾースはそう言うと、大聖堂の窓を開ける。


 するとそこへ赤いワイバーンが降りてくる。


「お主もあまり無理をするなよ」


「分かってます」


 ルルがそう返事するとイグゾースはワイバーンに乗り、王城へ帰って行った。


「…………アルナ?居るんでしょう?」


 イグゾースが帰った事を確認したルルはどこかに居るアルナに声を掛ける。


 すると、大聖堂の扉を開ける。


「居ますよ」


「少し予定が早くなるけど、明日。使者達を禁域に案内して黒い鉱石を取り除いてもらうわ」


「了解です。それでは私は司祭達に予定を開けるように伝えておきます」


 と、アルナはそう言うと大聖堂を出る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ