6-5 故郷6
アルクは剣に魔力を流し、レイリンを見据える。するとアルクの魔力を纏った剣は赤熱化していく。
レイリンのその時、アルクが龍眼を解いているのを気付く。
[アレキウス神滅剣・爆炎剣]
アルクはナイフをレイリンに向かって投げ、目の前に飛んだ瞬間ナイフの所までワープする。そのまま勢いを殺さず剣をレイリンに向かって振り下ろす。
レイリンは警戒しながらもアルクの剣を自身の剣で受け止める。
その瞬間アルクの剣が爆発した。
だがレイリンは冷静に防御し、後ろに下がる。
「まだまだ!」
アルクは後ろに下がろうとするレイリンを追撃するために走る。
[アレキウス神滅剣・地衝斬]
レイリンは後ろに下がりながら剣で地面を切り、岩の棘をアルクに放つ。だが、アルクの爆炎斬により全て爆殺させ砕いた。
「はあ!」
アルクは後ろに下がるのを止めたレイリンに剣を振る。
[アレキウス神滅剣・剣域]
レイリンは絶対防御の技を繰り出しアルクの攻撃を防ぐ。
だが、
「ここであんたのそれを壊す!」
アルクはレイリンの繰り出した[アレキウス神滅剣・剣域]を壊そうと剣を振り続ける。
アルクの連撃にレイリンの[アレキウス神滅剣・剣域]は防がれ、辺り一帯に[爆炎剣]の爆発が飛び散る。
「うおおおおおおおおおおおおおお!」
「ふむ……確かに8年前より遥かに強くなっておる。だがまだまだじゃ」
レイリンはそう言うと[アレキウス神滅剣・剣域]を解き、体を元素化。そのままアルクの背後に回り込み、峰内でアルクの首を叩き気絶させる。
「ふぅ……む!」
レイリンはアルクを気絶させた後、右頬に痛みを感じ触れる。
「ふむ……本当に強くなったのう……」
レイリンはそう言うとアルクを抱え上げる。
「イレナ帰るぞ」
「は、はい!」
レイリンは離れた所で息を切らしているイレナに話すと、歩き始める。
イレナも急いでレイリンの後を追い、巨大樹の下へ帰っていった。
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「今日はこのぐらいにして帰りますよ」
訓練が終わったクラシスは地面にうつ伏せで倒れているリラに話しかける。
「は……はひ……」
「それにしても何回も訓練してるのに本当に慣れてませんね」
クラシスとリラは訓練を何回もしている筈だがリラはついて行くのが精一杯だった。
「だって……訓練の内容……いつでも死ねる……」
クラシスの訓練の内容としては、クラシスが生み出したレッドワイバーンと戦い、時間経過と共にどんどん増えていく。
それを訓練開始から訓練終了までさせられる。
リラは訓練当初と比べ筋力や反射神経、更には獣人特有の氣を使える事により善戦していた。
だが、リラの体力の限界でレッドワイバーンからの攻撃を受け始め強制終了、そして今に至る。
「まぁこれはアルクが1番苦手としていた訓練でしたので仕方ないですね……少し休んだら走って家に帰りますよ!」
「は……はい…」
リラは出来るだけ体力を回復するために氣を全身に巡らせる。
「よし!立って下さい!行きますよ!」
クラシスの言葉と同時にリラは立ち上がり巨大樹に向かって走り出した。
「私も!」
クラシスも少し遅れたがリラの後を追うように走り出した。
リラ達が巨大樹に着いた頃、レイリンがアルクを抱えながらイレナと共に入る所をリラが見つける。
「あ!皆さんお疲れ様です!」
リラはそう言うと頭を下げる。
「おお。お主も頑張ってたみたいじゃな」
「そうですね……ところでご主人はどうしたんですか?」
リラはレイリンに抱え上げられているアルクについて聞く。
「わしと戦って負けた……うお!」
レイリンは何か言いかけると、目を覚ましたアルクによって胸倉を掴まれる。
「クソ……今日も負けたのか……」
「落ち込むな」
「分かってる……後、降ろしてくんない?」
「む?ああ、すまんな」
レイリンはそう言うと、アルクを下ろす。
すると、リラの後を追っていたクラシスが巨大樹の下へ着いた。
「みんなも着いたのですね……あ!しまった!」
クラシスは何かを思い出したのか声を上げる。
「どうしたんだ?」
「「どうしたんだ?」じゃないです!夕飯の肉を取りに行くの忘れてました!」
「ん?肉なら白蜘蛛が取ってくれたと思うぞ」
アルクはそう言いながら、巨大樹の扉を開けていく。
するとアルクの言った通り、ワイルドボアが生きたまま糸で包まれていた。
白蜘蛛は天井にぶら下がっていたがアルク達を見かけると降りてきて、アルクの前にやって来た。
「アルク!ウチ、ガンバッタ!」
「おおそうか。良くやった」
アルクはそう言うと白蜘蛛の頭を撫でる。
白蜘蛛はこの十日間、クプ二村周辺の森でクラシスの命令に従い魔物を狩っていた。するといつの間にかホワイトスパイダーからシルバースパイダーへと進化していた。
「良くやったわ白蜘蛛。それじゃあ今日は焼き豚にしましょう!」
クラシスはそう言うと、糸に包まれているワイルドボアを鷲掴みにして台所へと向かって行った。




