1ー11 学院
眠りの宿屋に帰ってから2日が経った。2日の間に必要なものやお世話になった人に挨拶をした
「よし、これでいいかな」
と、アルクは荷物を片付け宿屋の一階へ降りた。
「アルクさん、2年間お疲れ様でした」
アルクを見つけたルカは声を掛ける。
「うん、ルカお疲れ様。時間があればまた会いに来るよ」
アルクはルカにそう言い頭を撫で、そのまま眠りの宿屋を出て行った。
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眠りの宿屋を出たアルクは次に冒険者ギルドに向かって行った。
「ミアさん今日から王都に引っ越す事になりました」
アルクはスキンティア学院に通う事と国王からの依頼について話した。
「そうなんですか?最近ギルドに来ないと思ったら突然王都に引っ越すなんて」
「急にすみません突然の依頼からこうなってしまって」
「別に大丈夫です。居住変更届を書くのでギルドカードを出してください」
アルクはミアにギルドカードを渡した、
「おいおい翼無しのアルクがなんでここにいるんだ?」
と、ドボンが絡んで来た。なんだこいつ。暇なのか?
「どうせ冒険者の才能がないんだからさっさとやめちまえよアルク」
「うるせぇ、なんでお前に言われなきゃダメなんだ?」
「なんだってBランクの俺が言うんだ間違いねぇよ」
「そうかよ。安心しろ今日にはタルバンを出るから」
「そうかそうか、それは良かった。じゃあ俺は指名依頼の続きをしてくるからな」
と、ドボンはギルドを出た。
ミアはドボンにあれこれ言われたアルクに声を掛けた。
「それにしてもアルクさん!いつまでもこんなに舐められていいんですか?」
「大丈夫です、慣れてるし。じゃあそろそろ王都に向かいますね」
と、言いギルドを出てタルバンの城壁を出た。
「ここら辺でいいかな[汎用魔法・飛行]」
と、アルクは唱え王都へ向かった。
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飛行魔法でバルト王国に着いたアルクはスキンティア学院に編入するために、書類を届けに行った。
スキンティア学院とは王国内に存在する学院の中で最大級の規模を誇り、教育や魔法の教えに関しては世界トップレベルだ。その為、王国外からの入学者や留学者も多い。
王都に着いたアルクは、スキンティア学院の校門前に居た。
「ここがスキンティア学院でいいのかな……それにしても大きいなぁ」
アルクはスキンティア学院の大きさに驚いていた。自分もこんな大きい学院に通うことが出来ると思うと妙に楽しみになってくる。
だが、自分のやるべき事を思い出したアルクは校門にある受付の所まで歩いた。
「あの、学院に編入したいんですけど」
「編入希望ですか?それならこの書類にサインお願いします」
と、受付の人から書類が渡され、空欄を埋めていった。
「プッ、失礼ながら平民はここに来るべき学院ではないのでお引き取りを」
アルクの書いた書類を見た受付は、なぜか笑った。
それもその筈。スキンティア学院に編入する9割が貴族やその関係者だ。
「いや、ちゃんと国王推薦状もあるんですが」
「分かりやすい嘘はしないで下さい」
「いやでも」
「しつこいですね。いい加減にしないと警備の人を呼びますよ」
と言われた瞬間
「いけませんな。人を見た目で判断しては」
と、後ろから声がした。
「こ、これは学院長!?なぜここに?」
「いや受付から声がしたもんで見に来ただけだ。ところでこの子は?」
「いやこの学院に編入したいと言ってる平民でしかも国王推薦状を持ってると分かりやすい嘘を言っているんです」
「いやでも本当に……」
「そこまで言うんなら今ここで出しなさい!」
と怒鳴られたので推薦状を出した。
「は?こんな平民に国王が出すわけないでしょ?どうせ偽物です」
「どれどれ見せてみなさい」
学院長は受付から推薦状を受け取った。
「ふむ、どうやら本物のようだ」
「え?いやじゃあなんで平民なんかに?」
「まあまあ推薦状は本物なんだから試験を受けさせない」
「分かりました。どうぞ付いてきてください」
と、受付が言いその後をついて行った。




