5-41 暗躍する者
翔太達がミーユ支部で浄化を受けていた時、アルク達はとある場所に向かって歩いていた。
「ご主人。今まで聞かなかったけどどこに向かってるんですか?」
「あれ?行って無かったっけ?」
アルクは山道を歩きながらリラに答える。
「はい。ただとある場所に向かうとだけ……」
「そうか……今から向かう場所は俺の生まれた場所でもあるクプ二村だ」
「え!?でもクプ二村は……」
リラの知ってる限りクプ二村は10年前に闇の使徒によって滅ぼされた筈。
「お前の言いたいことは分かる。まぁここで話すより実際に行った方が早い。それもで我慢しろよ」
「分かりました」
リラはそう言い。アルクの後を付いて行った。
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とある花畑で白い少女と老人は剣を交えていた。
「む?イレナ……お主……筋力が上がったか?」
「毎日師匠とお母さまの訓練をしてれば上がるのは当然です!」
「そうか……しかしまだまだじゃな」
「え?」
老人がそう言うと、イレナの腕を掴み、イレナを地面に叩きつける。そして、そのまま地面に伏せているイレナの首に剣を向ける。
「わしの勝ちじゃ」
老人はそう言うと、剣を地面に突き刺し地面に置いてる酒を持ちそのまま飲み干す。
「ふむ………………」
老人は酒を飲み干すと、明後日の方向を向いている。
「師匠?……もしかして闇ですか?」
イレナは未熟であるがギリギリの所で不愉快な魔力を感知することが出来た。
「凄いですね……すごく離れている筈なのに感知できるなんて……」
イレナが呟くと、イレナの背後に白龍が降りてきた。
「イレナ。修業は終わったみたいですね」
「お母さま!はい……でも今日も勝てませんでした……」
「そのうち勝てるわ……にしてもあの子凄い暴れているわね。この間までやっていたのに今日も使うとは……」
「まぁアイツにもその気にさせる敵が現れたって事じゃろ」
「そうね……あの子がここに着くまでに気長に待った方が良いわ。さて……夕飯の準備をするからイレナは狩りに言って頂戴」
「分かりました」
イレナはそう返事すると後ろに聳え立っている山に向かって行った。
「クラシス……奴はどうと思っておる?」
「そうね……あの子は出来るだけ闇を使わないと言っていたけどこんな連続して使うなら相当な相手って事は分かるわ。それこそ闇が相手とかね」
「そうか。まぁアイツの魔力が次第にここに向かってるからその内合えるじゃろ」
老人はそう言うと、酒の空瓶を持ってどこかへ歩き出した。
「レイリン……またお酒を買いに行くつもりですか?」
「そうじゃ!家に置いてある酒も切れたしの」
「それではついでに香辛料も買ってきてください」
「それだけか?」
「はい」
レイリンはそう言うと、近くにある町まで向かった。
「さてと……アルク。あなたが帰ってきたら色々と聞きたいことがるんですから早めに帰ってきてください」
クラシスはそう呟くと夕飯の準備をするために家に帰って行った。
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帝国のとある邸宅の一室で5人の人間が話し合っていた。
「お前達に二つ報告がある……名も無き一人の闇の兵士が黒暗結晶の確保に失敗した。二つ目は黒暗結晶の闇を取り除かれた」
と、黒髪の青年が言う。
「それは本当ですか!?カリナ様!」
と、初老の執事が声を荒げて質問する。
「エビル。落ち着け。それにこれからについてお前達をここに呼んだんだ」
「ッ!失礼しました!」
「そうだよエビル。それに黒暗結晶はまだ残ってるんだ気長にやろうよ。ねーウェルシ」
と、黒髪の少年がウェルシと言われた少女とチェスをしながら言う。
「マシュ。お前はもう少し危機感を持て」
「はーい。それでカリナ様。これからはどうするの?」
「そうだな……それではマシュ。お前は黒暗石を大量に作ってくれ。その分報酬も弾む」
「本当ですかカリナ様?」
「ああ。約束は守る」
カリナがそう言うと、マシュは喜びウェルシと共に部屋を出て行った。
「次にイム。お前は魔道具をもう少し多く作れ。お前なら出来る筈だ」
カリナは椅子に座って槍をいじっているイムと呼ばれた少年に声を掛ける。
「良いですけど……結構話題になっても仕方ないですよ?」
「それは大丈夫だ。それに全部闇の使徒などと大層な名で言われているアルクに全部なすりつければいい」
「それならば良いですよ」
イムはそう言うと、魔法陣を起動させ部屋から消えた。
「カリナ様。私はいつも通り皇帝を操ればいいのですか?」
「そうだ。頼んだぞエビナ」
「畏まりました。それでは私もここで」
エビナはそう言う転移魔法を発動させ、部屋を出て行った。
(まさかアイツがここまで弱いとはな……まぁ良い。まだ7つも残っている。慌てる必要なない)
カリナはそう考えると部屋に置いてある蝋燭を消し、そのまま姿を消した。




