1ー10 準備
ヘルメスとの決闘に勝ったアルクは、国王バルナとこの後の予定について話し合っていた。
「ではアルクよ、シエラの護衛を頼む」
と、バレルが言い謁見が終わりアルクは謁見の間を出る。通常ならこのまま王城を出る筈だ。だが、謁見の間の扉の前に聖女シエラがいた。
「アルク様。先程の決闘はお見事でした」
と、聖女シエラが言った。
「ありがとうございます。ところでどうしたんですか?」
「お父様に部屋までアルクを案内しろと言われましたので、お父様の部屋までご案内します」
と、シエラが言い、アルクをバレルの部屋まで案内してくれた。
「着きました。ここがお父様の部屋です。先に入ってお茶でも出します」
聖女シエラがそう言い、バルナの部屋に入った。
アルクはシエラに案内された通りに椅子に座り、バルナを待っている間、シエラは紅茶を入れてくれた。
その5分後バレルが部屋に入って来る。
「おおアルク来てくれたか。シエラよ案内ありがとう」
「はい、では私は部屋に戻ります」
と言い部屋を出て行った。
「アルクよ、先程の決闘素晴らしかったぞ。まさか翼を顕現した相手に勝つとは思わなかった」
「ありがとうございます」
「まあ前置きはこれで良いとして、単刀直入に言う。アルク、学院に入ってみないか?」
バルナの言っている学園とは、バルト王国最大の規模を誇るスキンティア学院の事だろう。
スキンティア学院は、それぞれ付属の学院の学長の推薦によって、スキンティア学院に入れるかが決まる。
「学院ですか?」
「ああ。シエラの護衛も兼ねた学院生活じゃ。楽しみだろう?」
「学院ですか?まあ護衛をするのに学院の外からは無理ですしね。ちなみにこれは新入生になるのですか?」
「いや、編入性として入らせる」
「いつから始まりますか?」
「一週間後に2学期が始まる」
「まじか……間に合うんですか?」
「大丈夫だ。お前さんを編入と言う形にして試験を受けさせる」
「なんか……用意周到ですね」
「まぁ、お前さんを謁見の間で見たときに準備していたからな」
「分かった……分かりました。それでは準備をする為に一度戻りますね」
アルクはタルバンの街に置いてある荷物を取りに帰る為に、窓から出ようとする。すると、今まで王として纏っていた雰囲気が消え、優しい声でアルクに声を掛ける。
「そうか。それにしてもアルク、どこ住んでいたんだ?10年前城を出て7年前に一度あったがそれっきりどこいるのか分からなくてな」
「タルバンの街に住んでましたよ」
「そうか。どうりで探しても見つからないはずだ。ここからタルバンまで一週間はかかるぞ、どうやって帰るんだ?」
「飛行魔法で帰れば往復で4日かかるが大丈夫です」
「そうか……ではこれが編入に必要な国王推薦とその書類だ無くすなよ。試験に関しては5日後に受けれるように手配しておく」
「そうか……ありがとうございます」
アルクはそう言うとバルナの部屋の窓を開けると魔法を唱えて、バルナの部屋を出た。
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飛行魔法で王都から眠りの宿屋に着いたアルクは、眠りの宿屋に入って行った。
「アルクさんまだ王都にいるのかな?」
と、ルカは独り言をしていたその時、
「ただいま」
「っ!お帰りなさいアルクさん」
「あれ?ルカいたんだ」
「はい」
アルクはルカにこれからの事について話した。アルクの話を聞いたルカは分かりやすく、ウサギの耳を垂らす。
「一週間後に王都の学院に通う事になったから今日は荷物を取りに来ただけだから。明日ぐらいにはまたここを出ていくから」
「そうなんですか?すごいですね、王都の学院に通うなんて」
「まあ王様からの指名依頼だからな。ところでまだ夕飯はある?」
「はい、今すぐに準備しますね」
アルクは夕飯を食べ王都での生活に必要なものを集めて眠りについた。