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2話

「使わなくなったものや、壊れてしまったものなどあれば、ぜひボランティア部で引き取らせてくださーい」


 彼女との再会は案外早かった。

 少し考えて、率先して声をあげ続けているその子に近付く。


「こんにちは。不要なものはありますか?」

「ええ。でも少し量が多くって。部屋に引き取りに来てもらえますか?」


 顔も話し方もイゼリアと随分違うからもちろんだけど、声だけではやっぱりあの時の私だとは気付かれない。


「もちろんです。ご協力ありがとうございます」


 疑いなく後ろをついてくる。


「お名前は?」

「矢ノ原野々です。ボランティア部の部長をしています」

「部長さんだったんですね。」


 寮に着いて、部屋に案内すると、まずは彼女に鏡台の前に座ってもらう。


「乾燥肌? それともオイリー肌かしら」

「は? えっと、そうですね。乾燥肌です」


 私の部屋には、大きなチェストが2つある。そのうちの1つの、1番上の引き出しを開け、水色の瓶を手に取る。使わないものの中ではこれが1番いい値段だったはず。


「スキンケアは早ければ早いほど良いです。メイクだって、早すぎることはないですよ。しっかりケアしていれば肌が荒れることもありませんし」


 鏡台に置いたアクリルケースには、これでもかとコットンが敷き詰められている。1つ手に取って化粧水を浸し、ペちペちと彼女の頬に叩き込む。


「ヒリヒリしたりする? 敏感肌用のものを使ってるから、わりと誰でも使えると思うんですけど。テクスチャーが気に入らないとかあれば他のものもありますし」

「い、いえ。特に。あの、これは何を」


 あとはこの辺なんかももう使わないわね。この辺はボランティア部さんに。正直、気になって買ってみたものの合わない物って多いのよね。勿体ないから人にあげることもよくある。


「化粧水はコットンに染み込ませたら、叩き込むの。肌の上で伸ばすのは良くないのよ。この化粧水はコスパも良いから、ちょっと多めに使っても大丈夫。手でおさえてしっかり肌に浸透したら、余分なものはティッシュオフしてね」


 ティッシュもなるべく良いものを使うのがいい。使用感が全然違うから。


「乳液、これがちょっと私には合わなかったのよね。まあ、安いのに質は良いし、好みの問題だから」


 うん、これで保湿はされたわね。


「そうね、スキンケアからちゃんと習慣づけないと。あぁ、聞いてなかったけど、流石に化粧水と乳液くらいはもう使ってた?」

「いえ。お金が勿体ないので」

「……そう。じゃあ、このクレンジングと洗顔料もあげるからちゃんと毎日する事を覚えてね。クレンジングは手で温めたら、こんな風に3本指で顎の辺りから上にあげていって……」


 一通り説明してから、彼女に渡した物とは別に、紙袋に数本のプラスチック容器を入れて渡す。


「こっちはあなたが使ってね。後は他の部員の人でもボランティアで他の誰かにでも」

「えっと……ご協力、ありがとうございます」

「どういたしまして」

「あの、全部ご自分で買ったんですか?」


 もちろん。美容とファッションにかけられるだけかけるわ。


「もちろんです。アルバイトしてますから」

「お小遣いは?」

「流石に、自分で稼いでるのに親からも貰いませんよ。それでやっていけてるから」

「はぁ……そうですか。じゃあ、失礼します」


 なんだか納得いってないような顔だったけど、きっといずれ分かるわ。どれだけスキンケアやメイクをするのが大事か。大人になったらすっぴんじゃ外に出られなくなるって聞いたことあるもの。


私自身はスキンケアもメイクもろくにしないで外歩く人間です。あっでも最近はちゃんと日焼け止めは塗ります。

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