1話
やっと始めれた…もうこれ以上のタイトル思いつかないから諦める……
今日は午前中でアルバイトを終え、そのまま近くの無料動物園に来た。
入ってすぐ、動物園独特の臭いに思わず鼻を覆う。
この頃SNSにあげる写真はなんだかマンネリ化してて、反応がよろしくない。動物と一緒に撮れば少しは映えるかと思ったけど。
(くさい……)
昔から臭いが苦手で動物園へは学校行事くらいしか来たことが無かった。うぅ、せめてサッサと撮ってしまおう。
今のボクは黒地の服にレースやリボンがふんだんに使われた、いわゆるゴスロリというやつ。足下もそれに合わせてヒールの高い靴を履いている。間違ってもこんな格好で来る場所ではない。
服に臭いが移ったりしないよね。もう、気が気じゃない。
☆
入口に1番近いサルのコーナーで、1番小さなサルが写るように写真を撮る。
「……写真映えしないなぁ」
思わず口に出る。
家族で遊びに来たのとはわけが違う。可愛くないと。
「失礼ですね。この仔たちが生まれてきたのは撮られる為でも、観察される為でもないんです。そこにいてくれるだけでも癒されるしありがたいことです」
あちゃあ、聞かれてた。声の方を見ると、ボクと同じ学校の生徒がそこにいた。いけない。ボクのイメージが悪くなっちゃう。
「そうだね。不快にさせてごめんなさい。ふらっと立ち寄ってみたんだけど、また別の日に出直すよ」
きっと、学校帰りに来るんだったらもっと素直に楽しめるはずだから。
「ここはいいですよ。可愛い動物がたくさんいて時間があっという間に過ぎるし、何よりタダですから」
学生だし、お金がかからないに越したことはないわよね。リボンを見る限り中等部の子みたいだし尚更。
それでもウィンドウショッピングするとか、友達の家で遊ぶとかもっと他にありそうなものだけどね。
「あっ! 先輩やっぱりここにいたんですね! わっ! え、イゼリア!?」
待ち合わせだったんだ。そういえば名前呼ばれなかったから、この子はボクのこと知らないんだね。僕もまだまだなんだな。ちょっとショックかも。
駆けてきた少女に会釈して、動物園を後にした。