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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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男の娘と親友♂の青春ー番外編〜もしも、TSを発症しなかったら〜

作者: yatsureCreate
掲載日:2018/09/11

書きたくなったので書きました。

「おっす、お待たせ!」

「おはー。ったく、何して・・・うおっ!?」


今日は電気街へパソコンパーツやら怪しい変な店やらを見に行こうと約束をしていた。パソコンパーツや使用目的の不明な部品は、眺めているだけでワクワクするというものだ。共通の駅で待ち合わせをしたのだが、5分前になっても一向に姿を表さない。待ち合わせの時間を過ぎてようやく”今電車に乗った!”と連絡が来た訳だが、結局20分くらい遅刻してやってきたのだった。聞き慣れた声に振り向くと、そこには見慣れない人間が立っていた。ナナセは女装が趣味なので、ヒラついた服をよく着ている。それは見慣れていたのだが、今日はなんか、渋谷とかにいる"結構オシャレ"なお姉さんみたいな格好をしている。本来セミロングの髪が、腰あたりまで伸びているのは、ウィッグ、というやつか・・・?一瞬、見知らぬ女性かと思って声をあげてしまった。相手が本当に見知らぬ女性だったらただの変人だが、女性とのコミュニケーションの取り方なんて学校で習っていないので仕方ない。俺は悪く無い。


「な、ナナセ・・・なんだよな?」

「はっはっは!どうよ?俺様の女子力の高さに平伏せ!」

「びっくりした・・・。マジで誰かと思った・・・。」

「これで電気街の冴えない野郎どもの視線を掻き集めてやるわ!ふはは!」

「そんなもん掻き集めてどうすんだよ。冴えない野朗どもって、俺達も入ってるからな?まぁ確かに、その位可愛いけどさ。」

「えっ・・・?」


男も女も、容姿を褒められれば気分がいい。特にセットを頑張った時なんかは。自分はお世辞が苦手なので本当の事しか言えないのだが、今日のナナセはとびきり可愛かった。ウィッグを含めあまりに自然で、どの角度から見ても女の子だ。その偽られた胸も、天然物のくびれも、いつも以上に冴えて見える。別にそんな事は求めていないのだが。何故なら、少しは並んで歩く自分の事を考えて欲しい。顔面偏差値にはそこそこ自信があるものの、自分は服のセンスが皆無なのだから。


「・・・もっかい。」

「・・・は?なにが?」

「も、もう一回、可愛いって言って。」

「え、なんでだよ恥ずかしい。アホな事言ってないでとっとと行こうぜ?向こうでまったり過ごしたいし。」

「・・・・・。」


なんか、すごいムッとしている。遅刻してきた挙句、これからずっと”隣にいるやつダサ過ぎワロタ"って視線を浴びる事を考えれば、寧ろムッとしたいのはこっちなのだが。やっぱり可愛いは正義か。

改札を通る途中、電子マネーのチャージは大丈夫か聞いたところ、完璧に無視されてしまった。スタスタと先を歩いていくナナセを追うように、自分はホームへと降りたのだった。


電車内。日中だというのに結構混み合っている。満員電車二歩手前、みたいな。相変わらずムスッとしたナナセに、今日のぶらつきプランとかを相談してみるものの、ふんっ、と、露骨に顔を背けられシカトされてしまう。おいおい、そんな所まで女子力高めなくてもよくないか?と喉元まで出かかったが、なるほど、きっと地声を周りに聞かせたくないのかな、と思う事にした。と言っても、ナナセは背が低いからか声は高めである。電車がホームに止まり、ぐぐっ・・・と人が乗り込み少し圧迫される。満員気味やんけ。まだ電気街までの道のりは長い。確か、暫くは自分が寄りかかっている出入り口は開かないはずだ。する事もないし、しゃーないと自分は腕を組み、扉にもたれ掛かりながら目を閉じた。因みにナナセは立ち回りに運がなく、自分の正面にいてどこにも寄り掛かれそうにない。ザマミロははーん。これからそれなりの時間、立ちっぱなしで苦しむがいい。


「・・・・・・。」

「・・・・・・!」


暫くすると、くいっ、くいっ、と、何かが自分の服の裾辺りを引っ張っている感覚が襲い、ふと目を開いた。なにやらナナセがこちらを見上げながら、服を引っ張っている。なんだ、面白い広告でも見つけたかと周りを見渡すも、特にそれらしいものは見当たらず、ほぼ満員になってきた、という事くらいしかわからなかった。再び視線を落とすと、なんか、顔が赤いように見える。何かを訴えているようにも見えるが、まさかここにきて体調不良とは、これだから引きこもりは・・・と呆れそうになった頃、ナナセはスマホを取り出し、間も無く自分のスマホが震えた。ナナセからのメッセージだ。


"痴漢されてる"


はじめ、この6文字の意味がわからなかった。が、ナナセの後ろに立つ男性の表情が何か怪しい。なんか、不自然に見える。それに、ナナセはよく見ればとても恥ずかしそうに身を潜めていた。おお、何これ興奮する。じゃなかった。さて、どうしたものか。

ギロリと怪しいおじさんを睨むも、一瞬目があったかと思うと直ぐに逸らされ、反応としては一般乗車客の域を出ない。なるほど、多分ナナセと自分を赤の他人だと思っているのだろう。とはいえ、他にも何人か犯人候補はいるし、そもそも自分で防衛出来るだろ、女子力と男子力はそんなとこまで反比例するのか、とナナセに視線を送るも、プルプルと首をふり、伝わっているのか不明だが話にはならなそうだ。スマホが震え、"助けて"と送られてきたので、面白そうだし、さっきまで自分の事をシカトしてくれたのは何処の誰だったかと悪戯心がよぎる。


「(便乗して俺も触ろうかな)」

「っ・・・!っ・・・!」

「・・・・・・。」


と思った所で、ナナセの表情を改めて確認すると、なんか、急に見知らぬ他人にナナセが触られている事が気に入らなくなり、ナナセの後頭部に手を回して抱き寄せた。


「・・・・・!」


ナナセはバランスを少し崩して自分の胸元に顔を埋める。それには目もくれず、辺りを見渡し続けた。そう、真っ先に自分を見た奴。なるほど、やっぱり真後ろのおっさんだった様だ。驚いているのか、こちらから視線を逸らさないので、じろりと睨みつけてやる。こういう時、育ちの悪さと通っている学校の偏差値の低さがモロにでる。これで理解できないのなら、周りの人に迷惑をかけるが場所を無理矢理入れ替わるしかないな、と思った矢先、おっさんは露骨に両手を吊革に伸ばし、一瞬頭を下げて横を向いた。男の体を触って人生が終わるというのも同情ものだし、やめたのであればこれ以上はいいだろう。やれやれ、と一息ついていると、目的の駅に着いた様だ。

自分達側の扉が開き、どっと人が降りる。後ろ向きのまま降りるのはなかなか肝を冷やしたが、なんとか無事に電気街の地へと足を踏み入れた。なんとなく動きが固まっていそうなナナセの手を引き、そのまま改札を出て、近くの自販機で飲み物を買って手渡すと、そこでようやくナナセは口を開いた。


「た・・・助けんのがおせーんだよ!ばか!」

「はぁ!?じゃあ自分でなんとかしろよな!なに大人しく触られてんだよ、そういうプレイを楽しんでるのかと思ったわ!」

「な訳ねーだろ!お前実際触られてみ?頭真っ白になるからなマジで!」

「かーっ、情けねぇ。これだから引きこもりはよぉー・・・!いいか?世の中筋肉があれば大体なんとかなるんだよ。」

「〜〜〜っ!ばか!もういい!一生ダンベルと添い遂げてろ!!」

「え、あ、おい!待てって!」


がっしりとナナセの腕を掴む。振りほどこうとしているが、こういう単純な力比べに限って言えばナナセが自分に勝てる道理はない。ぐっ、ぐっ、とあらゆる方向に力をかけようとしてくるが、反射神経にも自信がある。


「は、な、せ・・・!!」

「嫌だ。何処行くつもり?」

「どこだっていいだろ!?」

「よくねーよ。俺、今日ナナセと色々見て回るのを楽しみにしてたんだから。」

「・・・・・・・。」

「・・・機嫌直してよ。その・・・直ぐ助けなかったのは悪かったよ。・・・ちょっと興奮しちゃいまして・・・。」

「・・・お前、ほとほとサイテーだよな・・・。」

「うっ・・・ご、ごめん・・・。」

「・・・・・・・。」

「(俺も触ろうと思った事は、言わないでおこう)」


ナナセの腕から力が抜ける。まさかそんな引っ掛けをしてくる事もないだろうと手を離すと、ナナセの指が、離したはずの手に絡み、繋がれる。呆気にとられていると、スタスタと自分を引っ張るように歩き始めたナナセが口を開く。


「俺、スキャナー見たいから、量販店からでいいか・・・?」





あの後、様々な所を見て回った。量販店、同人販売店、ゲーセン、変なお店。著作権やソフトの権利を色々と無視したような商品を取り扱うお店なんかは、やっぱり興奮する。この電気街特有の露店でケバブを買い食いし、今は歩き疲れたので喫茶店に入って休憩中。しかしながら、やはりナナセの格好、ないし容姿は結構な視線を集める。本当は自販で適当にジュースを買って道端で座り、だべって休憩したかったが、そうもいかない。なんとも面倒だなと思うも


「・・・ん?」

「・・・・なんでもないよ。」


正面から見ても見惚れる。本当によーく見ないと、まるで別人だ。無用な鼓動の高鳴りを覚え、深呼吸する。女性が苦手な自分としては、かなり複雑だ。見た目が好みに近づくほど、距離を取りたくなる。相手がナナセじゃなかったら、手を繋いで歩くなんて芸当、とてもじゃないが出来なかった。きっと、手汗が酷いことになる。


「ふー、結構回ったな。なんか欲しいもんとかあった?」

「欲しいものだらけだったよ。けどまぁ、今日はいいかな。」


手を繋ぐ、といえば、外で手を繋いだのは今日が初めてだった。この街に着いて間も無く、半ば強引に繋がれて、そのまま。自分としては繋いでもいいのだが、寧ろ嫌がっていたのはナナセの方だったはずだ。それが一体、どういう心境の変化なのだろうか。まぁ、これだけ完璧に女装すれば、恥ずかしくもないのかも知れないが、そもそもそういったスキンシップを嫌がっているかと思っていた。やっぱり休日は人が多い。見るからに履きづらそうな靴・・・ヒール?を履いているせいか、歩くのも遅い。確かに、手を繋がないと直ぐに逸れてしまいそうではあった。


「にしても、午後にもなると人って増えるんだなー。そろそろ帰るか?」

「一通り回ったし、それもいいな。・・・今日、どうする?」

「ん?どうするとは?」

「いや、今日土曜じゃん?だから、さ・・・。」

「あはん?土曜・・・?なんか、面白い番組とかあったっけ?電気街でイベントとか?」

「・・・・お前、ほんっとバカだよな。」

「なんでやねん。いいか?内臓の働きって、要は血流の量が関係してるんだぞ?筋肉量の多い俺は血液量が多い。これは脳に多くの血液を回せている、ということだ。つまり俺は」

「今日・・・うち、親がいないんだケド・・・。」

「聞けやコラ。って、へぇ、あのお母さんがお出かけか?珍しいな・・・え?」

「・・・・・・・。」


ふいっ、とナナセが目を伏せ、逸らす。どういう風の吹き回しだろうか。まさか、誘われてる・・・?いや落ち着けセナ六千日。あのナナセから”そういう”お誘いは考え難い。多分何か、夜通しやりたいゲームがあるに違いない。ナナセのお父さんは自分の所と同じで滅多に帰ってこないが、お母さんは割と常にいるイメージがある。何度も泊まりがけで遊びに行っているが、いつもお母さんがいた。それなのに、何故今に限って、”居ない”事を強調した?


「ふ、ふーん・・・。うちはほら、母さん、先週父親のとこ行ったばかりだから、居るんだけど・・・」

「・・・・・・・。」

「・・・ひ、一先ずナナセの家に行こう、かな。疲れたし、あは、あはは・・・。」

「う、うん・・・。」


どくんっ。心臓が期待で跳ねる。先週の週末の事を思い出して居るのは、自分だけではないはずだ。だめだ、快楽に正直な自分は、油断するとそういう事しか考えられなくなる。ともかく、ナナセの家に行って、やり慣れたゲームでも嗜みつつ、晩御飯について相談、だな、うん。


そんなことを考えながら駅へと向かい、あれよあれよと最寄駅。帰りの電車は、まだ夕方に差し掛るかどうか、といった時間帯だったからか空いていた。歩いて15分もすればナナセの家に着く。すると、先を歩くナナセが普段と違う道を進んで居ることに気がつき、新しい近道かと思いながらも、なんか、どんどん道が細くなっていく。方角的にも近道には思えないし。この辺りの道は正直ほとんどわからない。スマホがあるとはいえ、置いていかれたら迷子になる自信がある。いい加減、どこに向かっているのか位は聞こうかと思った矢先、ふと、少し広めの公園に出た。緑が多めで、球技用に金網で仕切られた遊技場が設けられて居る。へぇ、まだこんな公園あるんだなと思って立ち止まると、くいっ、と裾が引っ張られた。


「どこいくんだよ?」

「いいから、こっち。」


情報量があまりにも少ない。しかも、今通っている道は道ではない。植木の隙間を縫う様に木々の奥へと進むと、球技場の裏側へと続く場所へ辿り着いた。そこは金網で仕切られ、基本的に立ち入り禁止の空気が漂う、落ち葉と木しかない空間。球技場と近隣の塀までの幅は二メートルくらいあって、近隣に気を使っているのだとわかるが、だからなんなのだろうか。ふと、その球技場と近隣の塀との間の場所へ入れないようにする為に設けられた金網に、大きく穴が開いて居るのが目に入った。子供の悪戯だろう。こういう所、何もないのはわかっているのに入りたくなる気持ちわかるわーと思った矢先、ナナセがそこを潜っていく姿が見えた。結構大胆に穴が空いて居るので容易に潜ることが出来たようだが、え、なに、秘密基地でも作ったの?と呆然としていると、ちょいちょい、と手でこっちに来いとジェスチャーされる。全く意味がわからないまま金網を潜ると、少し奥へと進んだ。土曜の昼間だというのに、公園には人の気配が少ない。音を相殺するためか球技場側に木が植えられているので視界が悪いが、球技場で遊ぶ子供達の姿も見えない。特に基地のようなものは見えず、なんだかなと思っていると、どんっ、と塀に身体を押し付けられた。


「な、なんだよ。俺、なんかしたか・・・んむっ・・・!?」

「ん・・・・。」


ヒールを履いたナナセは、目線が自分と近い。だから、正面を向いた拍子にたまたま唇が触れただけかと一瞬思ったが、その唇を割って舌が滑り込んできた時にようやく、ナナセからキスされていることに気がついた。驚きのあまり目を見開くが、ナナセは目を瞑っている。自分だけ目を開いているのは、なんかズルい気がして間も無く瞼を閉じると、くちゅ、くちゅ、とナナセの舌が絡みつき、心臓が急激に脈を早めた。


「んは・・・!な、どうしたんだよ、ナナセからなんて珍し・・・んむっ・・・!」

「はむ・・・ん・・・。」


話をするつもりはないらしい。自分の胸元にナナセの手が添えられ、緊張する。自分の両手はと言うと、ナナセを抱きしめていいのかという迷いの結果、ナナセの腰に触れるか触れないかくらいのところでワナワナと往生していた。ナナセの舌が、気持ちいい。こうしてナナセから性的な接触をされるのはそうそうなく、本当に珍しい。だからこそ、自分は半ば混乱していた。

「はー・・・。」

「・・・なな、せ・・・?」

「・・・助けてくれて、ありがとう・・・。」

「えっ!?あ、いや、別にあれくらい・・・」

「ちょっと、キュンとした・・・。」

「・・・は?な、なんて・・・?」

「・・・そういえばセナは、どっちが好み?」

「え?バニラ味とココア味のこと?そりゃバニ」

「いつ俺がプロテインの話をしたんだよ腐れ脳筋が。・・・普段の俺と、今日の俺、だよ。」

「え?あー・・・。」

「・・・・・・・。」

「どっちも、かな。」

「なんだよそれ・・・。」

「可愛さで言ったらもちろん今日だけど、俺はナナセが好きだから、どっちでもいいし、どっちも好き。だめ?」

「・・・・・・・・そう。」

「あはは・・・。でもあれだね、今日はホント、すごい可愛いね。メイド喫茶の呼び込みの娘達が霞んで見えるレベルだったよ。」

「そ・・・!」


別に外見なんてどうでもいい、という訳でも実際は無いのだが、自分は思ったことをそのまま口にした。そして、折角なので改めて今日の感想も。自分の感想を聞いた瞬間、ナナセは何かを言いかけたが、自分と目が合うと同時に口をモゴモゴとさせながら顔を背けてしまった。改めて見ると、やっぱり可愛い。昨日、一人プレイに及ばなかったことを心底後悔する。このままでは、非常にまずい。道を歩けなくなる。


「・・・・・。」

「・・・さ、そろそろ帰ろうぜ。・・・・んなっ!?ちょ、やめ・・・んむっ!?」

「ん・・・は・・・♡セナのここ、元気、だね・・・。する・・・?口なら、いいよ・・・?」

「いや・・・あの・・・ナナセさん・・・?ここ、外なんすけど・・・?」

「俺は構わないよ・・・♡ね、セナぁ・・・♡」


どこにあるのかわからない、ナナセの発情スイッチがオンに。どうしたんだろうか。行為中に求めてくれる事はあったが、全くの素で、というのは初めてだ。それも、いくら不人気な公園とはいえ土曜の夕方。いかんでしょ。そこをさするのはいかんでしょ。

ナナセに求められる嬉しさに、つい理性が決壊しかけるもなんとか踏みとどまる。擦り寄るナナセからは、なんか、良い匂いがして力が抜ける。そんなナナセを引き剥がすのは心苦しいが、家に帰れば出来る、と強く心の中で唱え、手をナナセの肩に添えた矢先、首筋に舌が這わせられた。


「ん・・・ぴちゃ・・・。」

「くあっ・・・!な、ナナセ・・・!やめっ・・・!」

「はー・・・♡セナ・・・♡セナ・・・♡」

「っ・・・・!」


耳元で囁かれる自分の名前に、頭が沸騰しそうだ。下半身に思考が支配されていく感覚がある。鼓動につられて脈を打ち、弱くも確かな快感を脳髄に送りつけてくるものだから、ナナセの熱い吐息も合わさり自分の息は乱れていく。既に自分が、ナナセに情欲を催しているのはバレているだろう。そもそも、ナナセからの誘惑に抗おうなんて事自体が無理なのだ。本当に、嬉しいから。それに、外でナナセに愛してもらう。こんなプレミアム、今後起こり得るのだろうかと考えると、貴重な好機を見逃す様な真似をして、一体誰が得をするのかと逆に問いたいくらいだ。


「はー・・・!はー・・・!」

「セナのここ、苦しそう・・・♡今、楽にしてあげるね・・・♡はー・・・♡」

「はーっ・・!はーっ・・!くっ・・・!」

「・・・・・♡・・・・いたぁっ!?」


ごんっ。発情し、屈んだナナセの頭に強めのチョップをお見舞いし、潜った金網の方へとナナセを見ながら少し移動する。背が塀では分が悪すぎる。それにしても危なかった。ジッパーに手がかかった時は本気で流されそうになったが、すんでのところで理性を取り戻せた。いや、今日が平日だったら、あるいは今が夜だったら、間違いなく愛してもらう事を選んだだろう。だが、今はタイミングとして最悪だ。ナナセが頭を抑えてうずくまっている隙に、呼吸を整え屈伸し、血液を分散させる。屈伸に意味があるのかどうかはわからんが・・・。


「うー・・・なんだよ、俺からされるの、嫌なのかよー・・・。」

「いや、だってここ外だし、まだ明るいし・・・!いかんでしょ・・・!」

「俺よりも羞恥を取るのか・・・?」

「・・・!・・・羞恥じゃなくて、法に触れてるの!家、家でしようよ!」

「・・・・・・・。」

「なんでそんなに不満そうな顔を・・・!?」

「我慢できない。」

「え・・・えー・・・。えーー・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・家に帰ったら、なんでも、いくらでもしてあげるから、我慢してよ・・・。」

「・・・絶対だぞ。」

「え?」


意味怖な一言が聞こえたかと思った途端、ナナセは立ち上がった。無意識にスカートに視線が移るが、どうやら大丈夫な様だ。やれやれと歩き始め、金網を潜る。後ろについてくる様にして歩くナナセになんと声をかけたらいいかわからないまま、公園の出口へと向かった。相変わらず人気がない公園は、自分の心境とは反対に穏やかで、少し助かった。出口にたどり着く頃には気持ちも落ち着き、そういえば、曲がりなりにも先ほどナナセを拒絶してしまったと思い出し、自分はナナセの方に手を伸ばした。その手に気がついたナナセは一度自分の方を見上げ、視線が合う。案の定、どこか不安そうな表情を浮かべていたナナセに対し微笑み返すと、ナナセは恥ずかしそうに手を握った。こういう時、自分ならどう思うかと置き換えて考える様にしている自分は、ナナセを引き寄せ、唇を重ねた。舌を用いない、唇同士だけの、軽い口付け。間も無く唇を離すと、ナナセが抱きついてくれた。はぁ、今日はなんて幸せな日なのだろうか。もしかしたら明日、自分は死ぬのかも知れないな、と感傷に浸っていると


「・・・今夜、寝られると思うなよ。」


と、耳元で囁かれ、今夜が峠である事を理解した。


続き希望の方がいらしたら、教えてくださいね。

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[良い点]  全年齢対象でありながら攻めの姿勢。ただの友情とは一線を画した描写。あえて野外を選ぶあたりも個人的に好きです。  初心者歓迎BL短編タグから来ましたが、ようやく求めていたものに明確に出会え…
2018/09/14 03:33 退会済み
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