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3話 街を案内ですわ

 今日、私はイベリスと一緒に【アマリリス】の町をお散歩するのです。そして冒険者ギルドに行きます。



 事の起こりは昨日の夜。


「私、身分証がほしいですわ」

「何を言っているのですか? リリア様」


 やはり私も個人の身分証という物を持っていた方が良いと思うのです。迷子に……ゴホン! お父様の領地とは言え私の顔など知っている者は限られると思うので。

 この【アマリリス】はよく知った街ではありますが、そこですら私の名前は知っていても顔を知っているというのは限られてきます。あら、これは以前言ったかしら?


「ねえ、一番登録しやすいギルドは何処かしら?」


 イベリスに聞いてみます。別にどこかのギルドに登録して仕事をしようと言うのではなくて、あくまで私の場合は身分証を持っていたいという物ですので無理は言っていないはずです。


「……はぁ、誰でも登録できるという意味では冒険者ギルドが一番簡単です。特殊技能なども必要ありませんし。」


 イベリスは諦めたようにため息をつき問いに答えてくれました。何をあきらめたのでしょうね。


「そうなの、じゃあ、明日はそこに行きましょう。ついでに街も見て回りたいわ。」

「分かりました。」


 こうして明日の予定が決まりました。

 冒険者ギルド。確か街の何でも屋だそうですね。仕事としては街の清掃から大きなモンスターの退治まで多岐にわたるそうです。

 退治系の仕事はやはり冒険者の醍醐味だそうです。兵士もそう言った仕事はありますが、組織なのであまり自由に動けないとか。まあ、その分冒険者の方が死亡率などは高いそうですが。



 そうして当日


「おや、リリア様じゃないですか」

「おや本当だ。」


 街を歩いていると周囲から声が聞こえてきます。どうやら私の事を知っている人みたいですね。見ると野菜を売っている店にいる老人のようでした。たぶん昔からこの街に住んでいる人でしょう。

 この辺りはあまり昔から変わっていませんね。まあ頻繁に変わるようなものでもないのでしょうが。

この街の雰囲気は昔から好きです。


 そんな思いを胸に私はイベリスと共に大通りを歩いていきます。


 ここはそれなりの規模の街ですが、領地で言うと端の方のため大通りであってもそれほど混雑はしておりません。

 周囲には服飾店や食品店など様々な店が立ち並びます。この辺りは商店通りという物ですね。いえ、色々な工房や事務所などもありますのでオフィス街と言ったほうがいいかもしれませんね。 オフィスってなんです? ちなみに住宅街はまた別の所にあります。

 巡回の兵士もいて治安もそれほど悪くはありません。だからイベリスと二人で出かけても問題ないのです。



 しばらくすると一軒の大きな建物の前に着ました。

 そう、冒険者ギルドですね。冒険者ギルドの建物は大きく特徴的なのでよく分かります。各種ギルドもこの通りに門を構えています。利便性の問題ですね。


「対応は私がしますので、リリア様は余計なことをしないようにお願いします」


 イベリスがクギを刺してきます。余計なことってなんですの。まったく、プンプンですわ。


 そうして冒険者ギルドの中に入って行きます。中にはお父様と同じような筋肉質な方がたくさんいらっしゃいます。ただ、以前お父様の仕事場で見たような騎士の方たちとは違い、装備は統一性が無くてゴチャゴチャした感じです。ちゃんとした鎧を着ている人もいれば、汚れた革鎧を要所要所につけているだけの人、おおよそ防御力などないようなローブを目深にかぶった魔導師と思われる人から、上半身裸に近い人まで様々です。

 あとは、何気に女性の数も多いです。


 そのような人たちが建物のホールの端にあるテーブルについて様々な会話を交わしています。


「おや、領主んとこのお嬢様じゃないですか」


 見たところお父様と同じぐらいの男性が声をかけてきてくれました。ただ装備は汚れています。いえ、汚いというのではなく、使い込まれているなと感じさせる汚れですね。所々に傷もあります。背中には大きな斧を背負っていますね。あれでモンスターを退治したりするのでしょう。

 どうやらこの男性は私の事を知っているようですね。


「あら、私の事をご存じなの?」


 一応尋ね返します。この方とは初対面であったはずですけれど、もし以前にお会いしていたなんてことになったら問題ですものね。


「あ、ええ、以前に何度か見たことがあります。今日はどうしてこんな所へ?」


 やはり一方的な知り合いのようですね。私の記憶が間違っていなくてホッとしましたわ。


「今日はギルドに登録して身分証をもらいに来たのです」

「お嬢様がですか?」

「別にリリア様が冒険者として仕事をするわけではありません。登録してギルドカードをもらうためです」


 イベリスが追加の説明を入れてくれます。そうですね、私体が弱いので仕事はあまりできそうにありません(事務のような仕事ならともかく)。なので、仕事をするためでなくカードをもらうためにやってきました。


「ああ、そう言う、」


 男性の方は何か納得したようで、カウンターの方を指差しながら


「ならあっちの受付ですよ。」


 どうやら、受け付ける場所によって違いがあるそうで、登録の受付カウンターを教えてくれました。親切な方ですね。


「あ、……新規登録でしょうか?」


 受付に行くと年若い女性が対応してくれました。


「はい、ギルドカードが欲しいのですけれど」

「リリア様はギルドカードを欲しがっているだけですので仕事を受ける予定はありません。最低ランクの物で問題ありませんので発行していただけますか?」

「はい、少々お待ちください…………ではこちらに記入を」


 ここでもイベリスが補足を入れてくれます。そうして受付嬢が机の下から紙を取出しこちらに渡してきました。これに記入するようですね。

 名前や年齢など基本的な情報を記入していきます。

 イベリスも一緒に登録するようで、記入しています。


そうして記入した用紙を受付嬢に渡します。


「え? ……リリア=フォン=セルドランス!? あ、あの、これは……」


 受付の人がびっくりした様な表情をしていますね。何か問題があったのでしょうか?


「リリアお嬢様は領主様の娘です。ですが身分証を欲しがっているだけですので……ギルドカードだけでも発行していただけないでしょうか? それとも仕事などしなければ発行できないのでしょうか?」

「い、いえ、最低ランクであれば発行だけならすることができます。ランクを上げるには仕事をする必要がありますが、」

「それで大丈夫です。お願いします。」


 受付嬢とイベリスが話しています。やはりギルドと言うからにはそれに関連したお仕事を受ける必要があったのでしょうか。


「分かりました。少々お待ちください。」


 そう言って受付嬢は奥へ行ってしまいました。

AIが出てくるのは5話ぐらいです。そこまではお嬢様の日常が続きます。

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