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9話 有名人ですわ

 ゴブリンを倒したその後、同じように機体から降りました。その際に震電からイベリスと同じデザインのチョーカーを渡されました。なんでも情報通信端末? であり、この機体もこれで簡単な動きならば外部から行うことができるそうです。のうはしんごうをよみとる? そうです。


「皆さま、見ての通りゴブリンは私が倒しましたわよ。安心してくださいな。」


 いまだポカーンとしている人たちにそう言います。そうするとようやく何人かが我に返ったようでザワザワと騒ぎ出しました。


「リリア様、大丈夫ですか? どこか変なところはありませんか?」


 同じく機体から降りてきていたイベリスがいつの間にかいつものように後ろにいて話しかけてきました。


「ええ、大丈夫ですわ」


 不調などありませんわ。むしろ絶好調ですわ。これが実戦の空気ですのね。私、病み付きになりそうですわ


「ちょ、ちょ、ちょ、お嬢ちゃん達!」


 人垣をかき分けて大きくて筋肉質な人が出てきます。誰でしょうか。


「冒険者ギルドのギルドマスターです。」


 イベリスがこそっと教えてくれました。まあ、この方がそうでしたの。


「お初にお目にかかります。私、セルドランス伯爵が娘、リリア=フォン=セルドランスと申します」

「あ、ああ、ご丁寧にどうも、俺は……私は冒険者ギルドのギルドマスターをやっていますビーゴと申しますです。……じゃなくてですね、なんで領主様の所のお嬢様が、」

「あら、領民を守るのは領主の仕事です。そしてここは父の領地です。ならば私が守るのは当然ですわ」


 そう言うと周りの人たちは一斉に歓声をあげました。「くぅ、立派な覚悟だぜ」「さすが貴族様だ」と口々に褒め称えます。こそばゆいですわね。


「それに私は冒険者ギルドに登録していますのよ。冒険者として働いたと思ってもらっても結構ですわ。」

「え、あ、そ、そうなんですかい?」


 ちょっと混乱しているようですね。まあ無理もありません。私もイベリスの解説が無ければサッパリだったでしょう。なので、ギルドマスターには日を改めてギルドに訪れる旨を伝え、その場を後にしました。


 住民の皆さんが道の両脇から拍手をしてくれたのはなんだか照れ臭かったですわ。



 あと、あの馬車の御者の人はお仕事をクビになったそうです。



 ◇ ◇ ◇



 別荘に戻ってきた後は、震電やあの巨人の事をより詳しく説明してもらいます。と言っても震電の口から語られる言葉はちんぷんかんぷんなので、イベリスにその都度解説を入れてもらいます。

 イベリスは体内ナノマシンの活動により知識をダイレクトに受け取れるそうです。羨ましいですね。私はまだ成長途中ということ、副作用の予測が困難と言うこともあり行ってもらえませんでした。

 イベリスばっかりずるいですわ。


 震電は立体映像の投影機能も持っていたため説明はよりスムーズに進みました。すごいですね、まるで実物がそこにあるようですわ。なんでも技術が進むとこういう事ができるようになるそうです。

 銃火器についても説明を受けました、戦史などの授業は得意ではありませんが、それでもこれは戦いの革命ですわ。これを戦場に投入すればどれだけ悲惨なことになるか……考えただけでぞくぞくしますわ。

 まあ、技術が進めばいずれは発明されるものなのでしょうが、現時点であまり公にするものではないですね。

 震電も不自然な技術体系はいずれ破綻を呼ぶとか言っていますし。


 さすがに簡単に訳すことができるといっても限界があるため、ある程度ではありますが理解するまでにかなりの時間を要しましたわ。しかしその甲斐あって色々なことがわかりました。なんと私たちの住むこの大地は球形だったのですよ。皆さん知っていまして?


 それにしてもあの人型機械――開発した国では【ハウンドⅡ】という愛称がついているそうです――があれば私は自由に運動ができるのではないかしら。だってコックピットにいる私はただ寝ているだけですもの。

 それにあれがあれば冒険者ギルドの仕事もこなせるのではないでしょうか。私がモンスター退治……フフフ、いいですわね。それで二つ名とかついて有名になったり。



 ◇ ◇ ◇



 そう言えば冒険者ギルドにも顔を出しておかねばならないのでしたね。

 冒険者ギルドの建物、登録に来た時以来ですわ。早速中に入りましょう。


 あ、そうそう、ここに来るまでに私の事を子供たちが「巨人のお姉ちゃん」と呼んでいました。いえ、私が巨人なのではないですよ。正確には「巨人を操るお姉ちゃん」ですわ。


「お、お待ちしておりました。」


 ギルド内に入ると、ギルドマスターのいる部屋に通されます。そこで、ビーゴさんだったかしら……ギルドマスターが待っていました。


「本日はお越しいただきありがとうございます。あのゴブリンたちを倒してくれたおかげで街に被害が出なくて助かりました。」

「いえ、それは以前にも言ったように領主の娘としての責務ですわ。」


 私とイベリスはギルドマスターの向かいの椅子に座っています。イベリスは立っていようとしたのですが、私が座らせましたわ。


「はあ、立派なことです。……あ、あと、お嬢様が冒険者ギルドに登録しているということで以前のゴブリン退治の報酬をお支払いしたいのですが」

「そうですね。うーんお金は……いりませんわ。たしか12名ほどの冒険者が亡くなっていたはずです。その方たちの見舞金に回してくださいな。」


 そうです。冒険者が12名ほど亡くなっているのです。私はそれほどお金を必要としませんのでせめてもの足しにと思い提案しました。


「え、いいのですか? ……助かります。あとランクアップもしますのでそちらの侍女の方ともども受付に寄って行ってください。それと、あの、お嬢様方の操っていたゴーレム? についてもお聞きしたいのですが」

「それについてはお話しできません。誰であろうと何でもかんでも手の内を明かすものではないでしょう?」

「……な、なるほど。分かりました。ではお話は以上です。今日はお時間を頂きありがとうございます。」


 お金の話と、ランクアップの話をしてギルドマスターとの面会は終わりました。そうして受付に行くと、以前いた受付嬢と同じ型が対応してくれました。

 フフフ、ランクアップですわ。


 こうして私とイベリスは冒険者ギルドでランクアップを果たしました。

 カードの色が変わりましたわ。

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