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こころロスト

作者: 波風



 目が覚めたら私ーー(はたの)こころは感情を無くしていた。

 厳密に言えば、私の感情を表現する面を無くしたのだ。

 か弱い少女に見えるであろう私は、こう見えても面の付喪神であり、感情が動く際に付けている面も合わせて変化する。喜びは翁、怒りは般若、哀しみは姥、楽しみは火男など多数の面が私の感情と共に動く筈なのだが、今は困惑を表す猿の面のみ。


 普通に考えて、森の中で木にもたれて寝ていたことに困惑という感情しかないのは当たり前なのだが、感情を操る程度の能力を持つ私が自分の感情を無くしたことに気づかないわけがない。寝ていた場所が悪かったのか頭も酷く痛く、昨日自分がこんなところで寝てしまった理由すら思い出せなく、さらに困った。

 ……まず、間違いなく此処は魔法の森だろう。初めて来たが、暗く見たこともないきのこが怪しく生えていて、それが異常なまでに胞子を散らせているのが何よりの証拠だ。気持ちが悪い。こんなところに住んでいるやつが居たらそいつはきっと歪んだ感情を持ったやつだな。……誰か住んでいる話を聞いたことがあるが、胞子と頭痛のせいで思い出せない。重要な問題ではないので、後回しだ。


 留まっているのも体に悪く頭痛に悪い、と言うことで歩き始めたのだが、この森が広いのか私の足が進んでいないのか全く外に出れない……。きのこの胞子もだいぶ動きを阻害している。こんな森じゃ困惑の猿がさらに困り顔を深くして他の感情を取り戻すことなんて出来ないだろう…困った。

 歩くこと15分。多分。何度も言っているが謎の頭痛ときのこの胞子、加えて疲労により限界が早めに近づいて来た。倒れそうだ。困惑の感情だけを持ったまま頭痛ときのこが死因だなんて付喪神として恥ずかしすぎる…なんてことを体をふらふらさせながら考えていると「貴女、大丈夫?」と背後から声を掛けられた。


 振り向けばそこには人形のような顔をした金髪少女が、バスケットを持ち、肩には同じ金髪の人形を乗せ、私に声を掛けた。はて? 誰だこの少女は、博麗神社で見たことがあるようなないような……。そんなことよりこんなところに迷子以外で来るものが居たとはまた困惑だ。


「……いや、大丈夫じゃない。かなり困っている。困り惑っている」

「そ、そう。気分が悪いのなら近くに私の家があるから、どうかしら?」


 なんと。此処に来た、のではなく此処に住んでいるのか、凄いな。私は15分前に失礼なことを考えていた気がするけど、それは伏せて心の中で謝っておこう。此処に住んでいる変人とは言え、初対面の私を家に招待し休ませてくれると言うのだ。女神に見える。

 こちらも限界が迫っているので、私はその提案に乗りお願いすることにした。


「辛そうね……。すぐそこだから少しだけ頑張ってね。私はアリス・マーガトロイドよ」

「……この恩は必ず返そう。私は秦こころ。付喪神だ」


 そして、私はアリス邸に向かうべく着いていく。

 アリスの言う通り、すぐに着いた。向かう中に少しではあるがアリスのことを聞いた。彼女は魔法使いで、この森は魔法使いが住むには最適で最高らしい、主にきのこが。偏見で勝手なことを思うものではないな、口には出さないが再度謝っておこう。

 謝罪の気持ち、とかではないが私のことと、私が困惑しか表せない理由を説明した。


 アリスの家は白い外壁に青い屋根。大きさはなかなか。そして、何故か周辺にはきのこの胞子が舞っていない。魔法恐るべし。


「さあ、遠慮せず入って。紅茶は飲める?」

「飲んだことないが茶であるなら飲める。ありがとう」

「緑茶とかとは全く違うものなんだけど……まあ、いいか。適当に座ってちょうだい」


 ふむ。此処までのアリスの行動に、正直喜びの1つも浮かべたいのだが、何故アリスはここまで私にしてくれるのだろうと困惑という感情とお面を浮かべたまんまだ。

 そもそも感情を落とす、失くす、盗まれる、盗られるなんてことがあるのだろうか? んー……希望を無くしたことがあるから一概にないとは言えない。

 考えていると、アリスが紅茶とクッキーをテーブルに置き、向かい側に座る。


「さあ、召し上がれ」


 いただきます、と一声言い紅茶に口をつける。

 甘くないが美味い。そして温かく、飲みやすい。不思議と頭痛も晴れていくようだ。日本茶のような苦味はないが、紅茶にはすっきりとした味わいみたいものがある。表現があっているかはわからないけど。クッキーも美味しい。手作りらしい。アリスはなんでも出来る。こんな少女がこんな森に住んでいただなんて、これは正しく棚からクッキー。


「……お面、出てるわよ」

「え」


 確認してみれば、私は驚いている。驚きを表す大飛出までちゃんと出ている。


「こころの面のどれがどの感情かは、今日あったばかりの私にはわからないけど、クッキー食べた時も変わっていたわよ」

 なんと。更に驚きだ。此処までの長い長い……長いと言っても1時間くらいの困惑のみの時間はなんだったんだ。もしかして、魔法で私の感情を取り戻し湧き出させ蘇生させたの言うか我々を!? なんてことだ、アリス・マーガトロイドという、この怪しげなきのこが生えに生えている森の中に優雅に住む少女は感情すらも動かす大魔法使いだったのか!


「全部口に出てるわよ……。魔法使いとしての実力には自信はあるけれど、感情を取り戻させるのはどんな魔法使いにも無理よ」

 失わせるのは簡単だけどね、と恐ろしいことを言っている。

「簡単な話、貴女二日酔いだったのよ」


 この(私1人だけの)大事件の真相。

 犯人は霧雨魔理沙。昨晩、博麗神社で度々行われる宴会で、度々私が行っている能を披露し終えた後、疲れた体と喉を癒すために水を飲もうと貰いにいくところ、魔理沙が私に飲ませたのだ。

 日本酒と水を間違えるなんて良くあることかもしれないが、私は酒を飲まない。そのせいで、1杯飲んだだけで酔いそのままあっちへこっちへふらふらと。そして、文頭に至るというわけだった。

 感情を無くしたのではなく、初めての二日酔いに身も心も困惑と頭痛で広がり『我々』全てが猿の面のような顔になってしまったのだ。

 そして、紅茶には多少二日酔いを軽減する効果があるとのこと(アリス談)

 下手をすれば私は二日酔いに加え、きのこの胞子によりのたれ死んでいた可能性もあるので、アリスには感謝してもしきれない。礼をさせてくれ、と言うとアリスはーー「じゃあ、能って言うのを見せてほしいわ」と私の得意分野をあげてくる。なんて、魔法使いが出来た魔法使いだ。




【あとがき】

おはようございます

東方projectの小説書きたいなー書きたいなと言いながらかなり経ってしまった。

なんせ小説を書いたことがない上に、ゲームや漫画に誘惑に負けっぱなしの人生。

やっとかけた第1作目は何故かこころちゃん。お面を失くす物語を思いついたのだけれど

理由とか、結末とかが中々見つからなく結果二日酔いとか言う、意味のわからないことになってしまった。

こじつけもいいとこである。

1%でも楽しんで頂けたら良いなと思います。

長編も考えて案もありますのでそちらも書きたいな(願望)


一作目書いたら創作垢をTwitterに作ろうと決意していたので探してみてね(は?)


では

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