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お泊まり会とはパンツに似ている

「お邪魔しまーす」

「邪魔すんなら帰れ」

「邪魔しないから入れてくださーい……って懐かしいなこれ、中学の頃流行ったわ」


 懐かしいなぁ、中学時代。

 まだ純情だった時代が僕にもあった……。


「参考までに聞くけど、どれくらい純情だったの?」


 地の文をナチュラルに読んでくる辺り、茶児もやはりカオス枠だと思う。


 もう慣れているけど。


「パンツは縞パン以外ありえねー(笑)……とか思っていたくらい若かった」

「じゅん……じょう……?」


 それはさておき。

 靴を脱いで遠慮なく家に上がる。


 玄関を抜け、リビングへと足を運ぶ。

 もう慣れた光景だ。


「あれ? 白黒は?」

「あいつならもう俺の部屋に上がってスマブラの用意してるぞ」

「早っ、もぐもぐ……よくそんな他人の家で遠慮なく動けるなぁ、あいつ……もぐもぐ」


 しかし、この冷蔵庫に入ってた魚肉ソーセージ美味いな……普通にスーパーで売っているやつとちょっと違う……?

腹減ったし野菜と一緒に炒めて食べるか。


「あとは白米白米……と」

「お前も大概だと思うけどな……」

「ん?」


 なんのことだ?

 まあいいや、茶児の家には僕のmy茶碗とmy箸が常備されてるから、それを取って……と。


「あら?」


 ご飯を炊いていると、二階から茶児のお母さんが降りて来た。

 とても穏やかな人で、僕の家の母と比べると心の底から交換してくれと叫びたくなるような人である。

 美人度では同じくらいなのに……どうしてこんな違いが……慢心……環境の違い……。


「あらあら、良い匂いがすると思ったら、いらっしゃい、白黒くんも来てるの?」

「お邪魔してます、あ、魚肉ソーセージ入り野菜炒め食べます?」

「いただくわ」


 茶児は何かを諦めたかのように溜め息を吐くと、白黒が待つ自分の部屋に向かっていった。


 僕は手際よく野菜を炒め終え、皿に盛り付ける。


「いただきまーす」

「いただきます」


 茶児のお母さんと食卓を囲む。

 周囲から見れば妙な光景かもしれないが、僕たちの間ではわりとよくある光景だ。


「あら、私が作るやつよりもおいしいわねぇ、流石だわ」

「ははは、御冗談を」

「お世辞じゃないわよ? あーあ、貴方が女の子だったらなぁ、茶児の嫁に来て貰うのに」

「ははは、御冗談を」

「目が笑ってないわよぉ」


 これは単なる予感だが、僕がもし女だったらあんな変態と話したくはない。


 常識人に見える茶児だが、奴の性癖は僕や白黒を越える変態っぷりなのである。

 口に出すのもおぞましいアイツの性癖が明らかになったあの日、流石の僕も学校を休んで寝込んだくらいだ。


 ちなみにその僕が寝込んだ日は関ヶ原学園において【サイレント・デイ】と呼ばれ、学校中が安息に包まれたらしい。


「ご馳走様でした」

「ご馳走様でした」


 ほぼ同時に食べ終わり、片付けを始める。


「あ、僕が片付けるんで手伝わなくて大丈夫ですよ」

「それはこっちのセリフよ、さっさと茶児の部屋に行ってきなさい、きっと待ちわびてるわよ」

「……では、お言葉に甘えて」


 本当に良い母親だ。

 ウチの母と交換して欲しい、わりとマジで。


 そんなこんなで、僕は茶児の部屋の前に立っていた。

 ふ……今までの僕なら扉を蹴り破り、異世界冒険編で手に入れた風魔法で無意味に茶児の部屋を荒らしに荒らしていただろう……。


 だが、茶児の母親によって心が浄化された今の俺はそんなことしない!

 普通に入る!


「と、いうわけでお待たせー」


 ガチャリ、と普通に扉を開いて部屋に入る。

 茶児が驚愕の表情を浮かべてこっちを見ていた。


「馬鹿な……普通に入ってきた……だと……!?」

「お前は僕を何だと思っているんだ」

「動く核廃棄物?」

「否定できねぇ」


 はっはっはと笑い飛ばす僕。


 二人はどうやらスマブラをやっていたようだ、しかも64のやつ。無意味に古い。


 畜生、楽しそうじゃねぇか、僕も混ぜろ。


「僕ヨッ○ーな」

「じゃあ俺マ○オで」

「オレはカー○ィだ!」


 ステージはコーネリア、飛行機の上で戦う、広めのステージだ。


 さあ、僕のヨ○シー捌きを見せてやろう!

 即死コンボを! 一心不乱の即死コンボを見せてやろう!


 ……と、その前に。


「ところでお前ら飯食わなくて平気なの?」

「おう、この前カロリーメイト買い溜めしといたから」

「2日食わずにネトゲ張り付きしたことあるから余裕だお」

「お前ら……ええい! スマブラは一時中断だ! 僕がなんか栄養があるもの作ってやるから厨房に来い!」

「キタコレ! お前の作るご飯は妙に美味しくて好きだお」

「珍しいな、お前が自分と俺の母さん以外のために料理作るとか」

「まあたまにはな」


 階段を降りて、厨房へと辿りつく。

 茶児の母親は居間でテレビを見ているようだ。


 息子が腹を空かして帰ってきたのにご飯を作ろうともしない辺りこの人もあれだが、僕の母親と比べてみるとこのくらいなら天然系に見えてむしろチャームポイントと言えよう。


「さて、何かリクエストとかある?」

「ローストビーフ」

「カレーライス」


 何故手間暇かかるものを……。

 いやまあカレーはインスタント使えば簡単だけどさ……。


「ラーメンでいいよな、インスタントにアレンジ加えたやつ」

「チッ、まあそれで勘弁してやるよ」

「何様なんだよ……」


 やけに上から目線な白黒を放っておいて、さくっとラーメンを大盛り二杯、普通盛りを一杯完成させる。

 インスタント麺に葱とかチャーシューとか諸々を投入しただけの簡易的なものである。

 まあ味付けはちょっと凝ったが。


「慣れてるなー」

「まあね。普段から家で作ってるし」


 母も父も飯作れないから、僕が作るしかなかっただけである。

 妹は旅立ってるし。


「なんで妹ちゃん旅に出たんだっけ?」

「ああ……確かポ○モンマスターになるとか言ってDS片手に……っと、妹のことなんてどうでもいい、さっさと食べようぜ」

「箸を出すのは任せろーばりばりー」

「やめて!」


 白黒が凄まじい速度で箸やコップ、お茶を並べて茶児が出来上がったラーメンを食卓に運ぶ。


 いただきます。






*****





 ちゅんちゅん、と小鳥のさえずりが聞こえて、目を覚ます。


 僕はあまり朝に強いほうではないが、別に弱くも無い。

 まあ、普通だ。というわけで普通に起床。二人はまだ寝ているようだ。


(昨日は……あいつらの飯作って……スマブラやって……寝落ちしたのか)


 欠伸をしながら、昨日のことを思い出した。

 あいつらめ……僕のヨッシ○が強すぎるからって結託しやがって……まあ勝ったけど。


 しかし予期せず外泊しちゃったな……一応メールで親には伝えたけど、返信見てないんだよなぁ。


 ちょっと見てみるか。

 お、着信1件来てる。


『差出人:母 件名:返信 本文:ポテチうめぇ』


 ………………ああ、そうですか。


 我が母ながら、思考回路がまるで意味不明だった。


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