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白い部屋 開かない扉 小さな窓 月の瞳

作者: さきと




紅い瞳が空から静かに見つめる夜には

胸の中に残った愛しさが心を揺らすよ

小さな窓から差し込む光に照らされて

滲む君の姿は誰にも見えないから



痛みなんて忘れた

哀しみさえ捨てた


君は虚ろに呟く


「誰も触れないで……」と



紅い瞳が空から静かに見つめる夜には

胸の奥に刻んだ哀しみが心を揺らすよ

小さな窓から流れる空の色は鮮やかで

でも君の色は薄れるだけだから



傷付けて傷付いた

終わらない夜の中


君は何かを流す


「大切だから壊して……」と



紅い瞳が空から静かに見つめる夜には

心の底へ隠した思い出達が溢れ出すよ

小さな窓から洩れる残光に手を延ばす

この手に残るものなんて何もないのに



飛べない翼 歪んだ白い檻

知らない空 消えた紅い月


今日もまた開く事のない扉を独りで眺め

決して終わらない時にただ流され続けた



ひとりぼっちの部屋



哀しみと共に消えた

いたいけな君の笑顔

取り戻す術もなくて

救う事も出来なくて


虚ろな君の姿


「触れないで……」


「全部壊して……」



泣かないで



「求めないで……」


「笑わないで……」



強がらないで……



(誰か……誰か……)


(誰か触れてよ……!)




紅い瞳が空から静かに見つめる夜には

胸の中に残った優しさが心を揺らすよ

小さな窓から差し込む光に照らされて

滲む君の姿は誰にも見えないけど


紅い空が今日もまた静かに暮れて行く

君と重ねた心の色がとても哀し過ぎて

小さな窓から見える月が教えてくれた

ずっと欲しかったもの


そう……ただ優しさが欲しかっただけ……



飛べない翼 歪んだ白い檻

知らない空 消えた紅い月


今日もまた開く事のない扉を独りで眺め

決して終わらない時にただ流され続けた



ひとりきりの部屋で……





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