陛下との出会い
ちょくちょく、ファンタジー世界を思い描いてしまう自分がいる…。
「…き…み…大丈夫か…君大丈夫か?」
と、行商人Aは、言った。
「あっ…。はい…。」
私、小橋川瀬南は、言って、体を起こし、来た道を引き返そうとした。
すると来た事の無い場所…異世界にいたのであった。
「そこのお兄さん。何か買っていくかね?」
(お兄さん!?この私が!?)
「私、男じゃ…。」
「ん?何を言っておるのじゃ?お兄さんは、お兄さんじゃ。」
と、あるお店の店主のお婆ちゃんは、手鏡を私に見せながら言った。
(誰!?この幼そうな男子は!?)
「お婆ちゃん。この手鏡って売り物?」
「ワシの私物じゃ!!!!」
と、どこぞのツッコミかというくらいの攻撃を始めた。
このお婆ちゃんは化け物(人間だけど)だった。まっ。後日談なんだけど。
「お婆ちゃん。なんかさ、王様のいる所知らない?」
「それなら、兵隊を探せば教えてくれるはずじゃ。」
「ありがとう。お婆ちゃん。」
と、私は(俺は)、言って、兵隊を探すのを目的にし、広場をぶらりと歩き回った。
-数分後-
「ここにいた。あの~…。王様に会いたいのですが…。」
「ダメだ!!!見ず知らずの奴を陛下に会わせる訳にはいかない!!」
(まっ。それはそうだよね…。)
「ところで、さっき天空から落ちてきただろ?しかもなんだその恰好は!コスプレというものか!?」
(コスプレ?な訳無いでしょ!!!)
「いえ、私は…いや、俺は、高校生で…家に帰るときに…虹色の球体に吸い込まれて…。」
「虹色!?球体!?なんだそれは!?」
と、兵士Aと話していると、厚い城門(城内の町(エクレアと呼ばれる町)と城下町を隔てる城門)から他の兵士…兵士Bが出てきた。
「ババロア卿、陛下から、『広場で大の字に寝ていた少年を連れてこい』との命だ。」
「承知した。この子だ。」
(ん?どういう事??)
「行くぞ。」
と、兵士Bは、言って、私を(俺を)連れて皇宮へ続く道を行った。
-城内町-
「わぁ~…。すごいっ。城下町とは違う賑やかさですね。」
「此処は、エクレアと呼ばれる町だ。陛下のいる場所…。皇宮はまだ遠いぞ。」
と、兵士Bは、言って、サクサク進んだ。
城内町は、城下町とは違い、魔導研究施設や商人ギルド、行商人ギルド、冒険者や魔導師、魔術師といった職業に就く人の集まる冒険者ギルドが沢山ある。それぞれ趣向を凝らした外見である。
城下町は、一般の…市民?国民?の為の場所とでも言っても良いほど賑やかとしている。城内町と比べても劣らないくらい。
「あのぉ~…。陛下って城下町だったり、城内町に行く事ってありますか?」
と、私は(俺は)、ちょっと質問したくなったので質問してみた。
「陛下が?まぁ…。物好きの子供の陛下だからな…。ちょくちょく警護兵を連れずに独りで行くのだ。あと、先の門の外は城下町と呼ばれる街だ。」
「マシュマロ…。」
「今日は、きちんと、玉座に座っているかな。」
「子供って…何歳なのですか?陛下は。」
「陛下?6歳。性別は…男。」
「おっそ~い。暇だから遊びに来た♪あっ。君が広場で…。」
「あっ!?ダメ~~。」
と、私は(俺は)、言ってなぜか陛下の口を両手で塞いでしまっていた。
「んにゅ~~。」
陛下、悶えてる。悶えなかったら人間じゃないでしょ…。
「陛下に何をする!」
「あっ。すみません。」
と、私は(俺は)、言って手を離した。
「ところで…名前は?」
「名前は…えぇ~…と…。」
そういえば、名前…分かんないや…。適当に決めちゃえ♪
「エンリケ・ドラゴン…。です。」
大丈夫かな?バレないかな?
「エンリケ・ドラゴン…。僕は、フィル・グラドリア・ドラリオン…。皆からは、陛下って呼ばれてるから宜しく~♪」
バレなかったよ。名前無いから適当に言ったのに…もう一つの案は却下で…。
もう一つの案は…バナナ・ケーキ。なんと甘そうな名前。
「あっ。そうだ。君みたいな人を転生人と呼ぶんだ。この世界でその転生人探しでもしてみたら?」
「転生人?良いかも♪」
「あっ。もう自分の家に戻る時間だから帰る♪あっ。これ渡しておくね。僕の推薦書だから♪好きに回ってね♪でも皇宮は、ダメ。汚いから。」
と、陛下は、言って、推薦書を渡した後、皇宮へ戻っていった。
「皇宮を囲っている場所にも町がある。その町の名は皇宮町。そこには、俺達兵士の部屋がある。武具屋や、防具屋などはあるぞ。陛下お気に入りの行商人には、倉庫付きの宿だって支給される。」
「へぇ~…。すご~い。んじゃ、城下町にある商品って…。」
と、私は(俺は)、陛下から貰った推薦書をカバンに入れながら言った。
「陛下お気に入りの行商人や一般行商人、商人などから店員が買い取っているのだろう。あとは、冒険者から貰うってパターンもあるな。」
「へぇ~…。」
「さっき陛下が言っていた、転生人探しなら、すぐ近くの冒険者ギルドに入ってみると良い。仲間ができるぞ。」
「分かりました♪そういえば…。何かしら武器や防具着けてないや…。お金あるかな…。」
と、私は(俺は)、言ってポッケから財布を取り出した。
「なんだそのお金は?」
「あっ…。円です。」
「円?なんだそれは。ここでは見ぬお金だ。冒険者ギルド行く前にこのお金で武器と防具を買ってきなさい。」
なんと優しい兵士Bなのだろう。160ディメベール(日本円換算すると16万程度。)を渡してくれた。
1ディメベール(日本円換算すると千円。)まっ。単純計算だけど…。
「ありがとうございます。では早速武器と防具買ってきまぁ~す。」
「ちょっと待て。ここら辺にも武具屋や防具屋あるからな。」
「あっ…。はい。」
と、私は(俺は)、言って、兵士Bと別れた。
-武具屋にて-
扉を開けるとカランっと音が鳴った。
「あの~…。すみませ~ん。誰かいますか?」
「いらっしゃい♪珍しいね…。なんか用かい?」
「武器…買おうっかなぁ~って思って…。なんか凄い武器ありますか?」
「いろんなのあるから見てってな。」
「はい。」
と、私は(俺は)、言って、武具屋内をぶらりと歩きつつ品定めをした。
「大剣やら、双剣、斧、鉤爪篭手、日本刀、大太刀、小太刀、短刀、棍棒、槍、銃剣、銃槍、弓など沢山あるよ。好きなの買ってって。」
と、店主は、ジィ~っと武器図鑑を読みながら言った。
「珍しいの…あっ!?あれ…何ですか?」
と、私は(俺は)、壁に掛けている武器を指差しながら言った。
「どれどれ?」
と、店主は、武器図鑑をカウンターの上に置き、私の(俺の)近くへ行った。
「それはね…。銃剣だよ。10ディメベール。色は朱と蒼があるけどどうする?」
「じゃあ…。両方で。」
と、私は(俺は)、言って、20ディメベール払った。
「二つも?分かった。ちょっと退いてね…。」
と、店主は、言って、脚立を置いて銃剣を二つ取った。
「ありがとうございます。あと1個ほしいものがあって…。あれ…。」
と、私は(俺は)、言って、鉤爪篭手を指差した。
「あっ。あれね♪30ディメベールだよ。あっ。待ってね。仕舞う鞘を渡そうね。」
と、店主は、言って、カウンターの中の引き出しから銃剣用鞘を取り出して渡した。
「ありがとうございます。」
と、私は(俺は)、言って、鉤爪篭手の代金と引き替えに受け取った。
「装備しないといざ戦闘となると二度手間がでてしまうから装備しなさい。」
「分かりました~。」
と、私は(俺は)、言って、装備した。
「二つ買っているから¦装備連結の仕方を教える。鉤爪篭手で鞘に収めている銃剣の持ち手を握りなさい。それで終了。」
「分かりました。ありがとうございました。」
と、私は(俺は)、言いながら¦装備連結をした後、武具屋を出て防具屋に向かった。
武具屋と防具屋は、隣だったからすぐに着いた。
-防具屋にて-
扉を開けるとカランっと音が鳴った。
「いらっしゃいませ~♪」
「防具…買いに来ました…。」
「冒険者だぁ~…。一応おススメが…。」
「おススメ?どんなのですか?」
「シュッと感じの白装です。守備力増加スキル付ですよ?」
「一回試着って出来ますか?」
と、私は(俺は)、言った。
「良いですよ~♪」
「ありがとうございます。」
と、私は(俺は)、言って、おススメの白装を持って試着室で着替えた。
意外と似合ってしまう自分に喜びを感じてしまう年頃である。
「似合うや…。」
と、私は(俺は)、言って、元の服装に着替えた。
「どうでしたか?」
「これってお幾らですか?」
「30ディメベールになります。」
「買う♪」
と、私は(俺は)、言って、試着室から出て代金を払った。
生と死の狭間人です。読み方は、『せいとしのはざまにん』と読みます。
これから、この作品とともに応援よろしくお願いします。