異世界(学園)のトビラ
NEXT DAY
俺は乗り気じゃなかったが学園を救いたいという一心で三禮に会いに来た。
気温25度を越える暑さの中、校門前まで俺は来てしまった。
校門に恐る恐る足を踏み入れると、生徒が、特になぜか女子が反応してきた。
「玉敷君!入学式以来だね!久しぶりっ!具合どう!?」
「登校出来て良かったね!」
「私のノート見る!?」
こんなに女子に言い寄られても満更でもない顔はしない。
かと言っていつものクールな表情も乱れ、困り果てている表情だった。
「だぁー、鬱陶しい。邪魔だ、どいてくれ!教室へ行かせろ!」
そんな声も女子の黄色い悲鳴にかき消され、虚しく散った。
教室に着いた頃には制服が乱れ、疲れ果てていた。
「酷い目にあった……やっぱ学校行きたくねー」
席に着いてダラけていると、隣席の都亜がキッとした目つきで睨んできた。
ちなみに一応俺は不登校児だが生徒会長である。
成績優秀者は強制的に生徒会に入るため、不登校でも構わないらしい。
まったくこの学園のシステムが良く分かんねーなぁ。
くだらない事を思いながらぼーっとしていたら、背後から声をかけられた。
「生徒会長!登校して来たんですね!」
「んあ?」
彼の席に来たのは、副会長の更科光河だ。
少し茶髪の天然パーマで、眼鏡をかけている小柄な男子。
俺は生徒会長の代わりに務めているであろう副会長に申し訳なく思った。
よく分からないが多分生徒会だから色々仕事を押し付けられているのだろう。
「副会長か。俺がいない間仕事をしてくれたのか。感謝する」
「いえいえ、それ程仕事量も多くなかったし、会計や書記の援助もあったので」
彼は同級生だというのに会長だからか、かなり謙遜している感じだ。
「別に俺先輩じゃねーし、タメ口でよくね?」
俺あまりにも堅苦しすぎるので、軽く言ってみた。
「あ……っ、そのっ、慣れていなくて、ついつい癖で!」
彼は慌てて戸惑い、かなり滑稽にたじろいだ。
気を取り直したのか、彼は要約落ち着いて話した。
「そんな事より!腑に落ちませんね……あれだけ登校拒否したあなたが何故?」
彼は今までの柔らかい表情から、鋭い眼差しへ変わった。
俺は一瞬その眼差しに身震いし、背中がヒヤッとした。
「まぁ……副会長にも関わると思うから話しておく。三禮の件、知ってるか?」
「えぇ。今学園で問題になっている薬品乱用の疑いがある画像の件ですね」
光河は元のやわらかな表情に戻り、軽く頷いた。
「その事件を解決するべく、三禮へ会いに登校して来たって訳だ」
俺は頬杖をつきながら、気だるそうに言った。
「それで登校してきたのですね。授業は受けるつもりですか?」
「来たからには受けるしかねーだろ。授業受けずに来たら不審に思われるかもしれねーし。俺が調査してる事は内密にしたいからな」
俺は何度目か分からない溜息をつき、新品同様の教科書を取り出した。