序章 高く跳んで気づけば穴の底
1話
「ここはどこだ・・・穴に底??」
そう俺は気がつけば大きな穴の底にいた。
これに至るまでの経緯を説明しよう。
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俺は由夜、鷲宮由夜だ。
今年高校一年になったばかりの16歳。
といってももう入学から6ヶ月も経っている。
今日も授業が終わり放課後の部活動に明け暮れていた。
何部かと言うと陸上競技部だ。
三年生が部を引退し、今シーズンの大会も後一つに迫った。
次の大会は県大会出場がかかっている。
だからか部の空気は少しばかり張り詰めていた。
俺の種目は走り高跳びである。
競技人口が他の競技(100mや1500mなど)と比べると少なめなので、比較的に県大会へ出場しやすい。
そんなこんなで今日も練習に励んでいる。
説明が面倒なので簡単にまとめてみる。
まず、さっきの文の続きでとりあえず練習をしていた。
大会が近づいているので少し自分を追い込んでいた。
そこでふと練習内容にロイター板(跳び箱で使う板)を使う練習が書かれていたのを思い出した。
俺はロイター板を持ってきて踏み切り足の位置に置いた。
ここまでは良かった。
バーの高さ一々上げるのが面倒くさく一気に2m10cmまで上げた。
それがいけなかった、面倒でも5cmずつ上げていくべきだったんだ。
結果的に跳べたのだが地面に直接落ちてしまった。
そこで俺の記憶は途切れている。
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それで現在、穴の底に至る。
「まさか、校庭にこんな仕掛けがあったなんて・・・。」
いやないな。
「それともこれは夢?」
頭打ったしこれで行こう。
きっと目を覚ませば保健室のベットの上とかそんな事だ。
うん、それしかない。
そうでなければ困る。
ということで、夢を楽しむとしますか。
(・・・ていうか。これどんな夢だよ。始まりが穴の底とか詰んでるだろ。ここからどうやって出るんだよ。)
そう思いながら上を見ると丸くくりぬかれた様な青空。
少しは気分が落ち着いた気がした。
さてまずは穴を捜索するか何か見つかるかもしれない。
そう思い辺りを見渡すと光に反射して光るものを発見。
歩いてその光に近づくとそれは刀のつばの部分が光っていたようだ。
思わず手に取り抜いてみると刃は光の加減で綺麗な波紋が浮かび上がり。
わずかに青白く光っている。
(これはまさか魔剣?)
夢なら痛くないと思い、刃の部分を指でなぞってみた。
「いたっ!!」
指からは真っ赤な鮮血が溢れ出してくる。
どうやらこれは夢ではないようだ。
ではなぜ俺はこんな大きな落とし穴の下にいるんだ。
どうして俺なんだ。
この現状が現実だとわかった俺はひとまずこの穴から出る方法を探すことにした。
穴の壁に沿って歩いているとすぐに階段らしきものが見つかった。
俺は階段を上り外へ出ると空の遥か彼方にドラゴンとしか言いようのない生物が空を舞っていた。
そこで俺は新たな現実を突きつけられた。
それはここが異世界だと言うことだ。