『プロローグ』
人生とは、先に楽しみを見つけねばやっていけないものだ。
そんなことないと反論することはきっとできまい。
仕事一筋と言い張る人だって、きっと趣味に興じているものだろうし、もしかしたら仕事自体が楽しみになっているのか もしれない。
人によってそれは様々。
友人と遊び明かす日を楽しみに生きている者もいるだろう、
恋人との逢瀬を、はたまたまだ叶わぬ恋を楽しんでる人もいるだろう。
人と一切関わらずとも楽しむことはできる。
電子空間に入り浸る人、個人作業で日を終える人だっている。
こんな文章を読んでいるのだって、その行動の一環だ。
私だって、何の変哲もなく、その中の一人に数えることができるだろう。
私は、綺麗なものが好きだ。
綺麗な人が好きだ。
綺麗な言葉が好きだ。
綺麗な想いが好きだ。
それを見つけたとき、至高の喜びを得られる。
このために私は生きていたんだなぁ、と。そう思うことが出来る。
きっとだからこそ、私はここにいるんだろう。
こんなところにつかまって、あえて逃げ出すこともせず、それなのに文句だけをたれて。
不満でいっぱいなのに逃げ出すことが出来ない。そんな私は周りから見ればさぞや滑稽だろう。
嫌なら逃げ出せばいい。
そんなところ放っておけばいい。
何人が私にそう言ってきただろうか。呆れた視線を何度も浴び続けた。
――そうですなあ、参ったもんですなあ、正論ですなあ。
そうですそうです、自覚はあるんです。駄目なのは私も同じこと。
しかし私は言い訳だけを連ねる。自分だって納得しきれない言い訳を続ける。
この腐りきったところから、私は「捕まった」そして、「逃げ出せない」。
――人生とは、先に楽しみを見つけねばやっていけないからだ。